購買行動に対する質問については、3分の1(30%)が5年前と比較してメーカーからの直接購入が増えたと回答しています。また、過去12カ月にメーカーから直接購入した成人のうち、68%は店頭で購入し、53%はオンラインで購入しています。
今回の調査で明らかになった事は、顧客がメーカーのウェブサイトから直接購入する余地はまだ十分に残されているが、メーカー側の課題としては、顧客が満足できる配送の仕組みや品揃えを充実させることが必須要件であるということです。
JDAのEMEA地域Manufacturing Industry Strategy担当 副社長 であるHans Georg Kaltenbrunnerは次のように述べています。
「オムニチャネル取引の一大ブームは、今や製造分野にも影響を与え始めています。消費財メーカーは、消費者に直販すべきか否かという岐路に立っています。これまでにも多くのメーカーが直販を試みたものの、その大半は採算が取れないという判断に至りました。現在、多くのメーカーが、自社のインターネット販売チャネルを黒字化する方法を問われています。我々はすでに小売業界も同じ課題に奮闘しているのを目にしてきています。増加する供給ロケーション数と小口注文の単品ピッキングに対応しつつ、顧客に対して選択肢と利便性を提供するためには、現在の製造サプライチェーンを再構築する必要があります。オンライン注文の拡大によってコストの増大が見込まれることから、メーカーは利益に影響を及ぼす要因に最大の注意を払う必要に迫られています」
顧客データの活用が不十分
本調査で、メーカーの顧客データ活用方法にも改善の余地があることが分かりました。実際、過去12か月にメーカーからインターネットで購入したヨーロッパの成人のうち、メーカーが顧客データを有効利用していると考える人は38%に過ぎません。ソーシャルメディアやインターネットの口コミに関しては、32%が過去12カ月間の自身の購入判断にネット上で共有された口コミやソーシャルメディアが影響を与えたと回答しています。
直接購入する理由は価格に次いで即納率や選択肢が重要
メーカーから直接購入する最大の理由は価格で、次点以降の理由は、在庫があること(39%)、製品保証(32%)、製品の選択肢(31%)、製品知識・経験(24%)でした。過去12カ月に直接購入した製品の種類に関しては、特定の分野が他を抜きん出ており、家庭用家具が半分弱(46%)、次いで洋服・履物(35%)、家電(33%)でした。さらに過去12か月にインターネットで購入した性別ごとの内訳を見ると、調査対象のすべての国で概ね、家電は男性(38%)が女性(28%)より、家庭用家具は女性(51%)が男性(40%)より、洋服・履物は女性(36%)が男性(34%)より多い、という結果でした。
パーソナル化
製品のパーソナル化は、将来メーカーの差別化要因になる可能性がありますが、サプライチェーンへの影響も大きいものとなります。現在ヨーロッパ成人の9%が過去12ヶ月間にメーカーがパーソナル化した製品を手にしていますが、4分の1以上(28%)がパーソナル化されればメーカーから製品を購入する可能性が高くなると回答しています。
Hans-Georg Kaltenbrunnerはさらに次のように述べています。
「今日のデジタル消費者の需要を満たすために、メーカーはデジタル・サプライチェーンが必要です。企画、製造および供給におけるデジタル機能により、物理的サプライチェーンを、メーカーの従来のチャネルと直取引のチャネルの両方に対応するように再構成できます。メーカーが直販チャネルを無視するか、断片的なアプローチしか取らないと、収益性が損なわれ、ブランド評価を下げる可能性があります。必要なサプライチェーン計画および実行機能を下支えとした投資を行う企業は、収益を改善し、ポジティブな顧客体験を創出することが可能になります。」
すべての数値は、特に明記がない限り、YouGov Plcからの引用です。本調査は2015年10月8日から15日にインターネットで実施されたもので、総サンプル数は成人6,146人(イギリス2,083人、ドイツ 2,025人、フランス1,029人、スウェーデン1,009人)です。数値は、英国、ドイツ、フランス、スウェーデンの全成人(18歳以上)の代表値に補正換算されています。
レポートはこちらからご覧いただけます。(英語)
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