Retekの買収をSAPとOracleが争ったのは2005年のことだった。当時、Retekのライバルと目されていたJDA Software(JDA)が先ごろ、Manugisticsを買収して注目を浴びた。整理統合の進むパッケージ業界にあって、小売業界向けパッケージのトップ企業であるJDAは、どのような戦略で今後の道を切り開くのか。日本法人の社長に就任したばかりの西本広之氏に話を聞いた。
--日本の小売業界でIT投資の現状をどう見ますか。
西本 以前と比べると投資は活発になってきています。競争が激化していますし、中国元の変動もあってサプライチェーン全体のコストが上がっています。また、M&Aが本格化してきて損益への意識が高まっていることも、ITへの期待を後押ししてくれています。
--正直なところ、JDAは日本市場で存在感が薄かった印象があります。
西本 日本人がいなかったからですかね(笑)。私が入社したころ(2005年11月)は、毎日が英会話学校のような状態でした。日本法人は1999年に設立されていて、日本人スタッフがいたころもあったのですが、今回、前任者がアジア太平洋地域を統括することになって、私に日本を任せてくれました。外国人スタッフも相当数が本国に戻りましたし、事業統合するマニュジスティックスの日本法人はほとんど日本人です。10月に大規模なセミナーをやりますし、これから存在感を高めていきます。
--日本の顧客にはどういった企業があるのでしょう。
西本 イオンやUCC、味の素など、80社の顧客を抱えています。旧マニュジスティックスとJDAの両方を使っていた顧客もいます。
--ソリューション構成について聞かせてください。
西本 戦略的なマーチャンダイジングを実現するために、戦略から戦術、そして実行に至るサイクルをPDCAの仮説検証型で迅速に回す仕組みを提供します。ソフトウェアは複数あり、詳細な管理から戦略的に使えるものまでがあります。具体的には、小売業向けの基幹システムであるPMM(Portfolio Merchandise Management)、マーチャンダイジング計画を全社的に行うことを支援するEP(Enterprise Planning)、カテゴリマネジメントのIntactix、価格最適化や顧客ニーズの把握を可能にするIntellect、そして在庫計画などを行うDemand/Fulfillmentなどがあります。
--その中で、日本市場で注力するソリューションは?
西本 多くの小売業者は基幹系のシステムをすでに持っていますから、この部分を入れ替えてROIを出すのは難しい。一方、計画系の分野であれば、成果を挙げながら次のステップへと進んでもらうことができます。ですから、まずはマーチャンダイジングへのフォーカスを強めます。入り口はEPです。これを導入すると、予算計画から商品計画、店舗計画、品ぞろえ計画などを実行できます。ここで成功して、目標管理、価格最適化へと段階的に幅を広げてもらいたいと考えています。