JDAとPwCは、世界6か国の小売企業経営層を対象に調査を実施し、4月25日、その結果を発表した。
日本の小売企業の58%はサプライチェーン強化への投資を増加させる予定と分かった。同分野については世界全体では48%となっている。
この調査は、米国、 ドイツ、 メキシコ、 英国、 中国、日本の小売企業を対象に2016年後半に実施された。351人の経営層から回答を得ている。回答企業の22%は小売企業上位250社(売上50億ドル以上)、 その他53%が小売企業上位1000社となっている。 業種は、耐久消費財、衣料品、消費財、Eコマース、食品及び小売・消費財関連企業など。
今回の調査で、経営層の69%はこの先1年間でデジタル変革への投資を増やす計画だと回答している。一方で、回答者の半数以上(52%)は、自社のデジタル変革戦略を定義していないか、 または導入を開始していない。世界全体では、 デジタル変革戦略の導入率は中国の小売企業(58%:日本は48%)の方が米国の小売企業(40%)よりも高く、 米国の小売企業の19%(日本は14%)はデジタル戦略策定に苦労しているか、 もしくは一切定義しないことを選択しているという。
今後12カ月間で投資するまたは投資を計画している最先端技術のトップ3は、 モバイル対応アプリケーション(85%)、ビッグデータ(86%)、SNSの活用(85%)。 また、 日本企業に見られる顕著な回答として、42%が店舗内の拡張現実(AR)への投資を予定していることが挙げられた。これは、全体平均より12%多い。
オムニチャネルについては、全チャネルで需要を満たしつつ利益を上げられているのは調査対象の10%(日本企業6%)で、全チャネルでシームレスな買物体験を提供していると回答した最高経営責任者(CEO)は、 2014年には19%だったのに対し、 2016年には12%(日本企業8%)に落ち込んでいる。これらの小売企業は、オムニチャネルによる商品提供は複雑過ぎる、または費用が掛かりすぎると考え、 規模を縮小させているという。
BOPIS(インターネット購入・店頭受取り)については、 BOPISを提供している、 もしくは今後12カ月間に提供予定という回答は、 2016年の47%から51%に増えている。一方、 高コスト・低収益に傾きつつあるフルフィルメント分野に関しては、 CEOは2017年に投資を減少させており、即日配達は2016年の43%から33%に減少し、配達時間指定も2016年の48%から27%に減少している。
受注処理コストの上昇により、 経営層は戦略全体の再考を余儀なくされている。2017年には、ネット通販注文手数料の引き上げについて57%が今後12カ月間に変更を実施もしくは実施予定と回答している。また、配送料無料となる最低注文額の引き上げについては62%が、BOPISの最低受注額の引き上げについては55%が同様の回答をしている。