「ネットショッピングの課題は配送だ。過去1年間に消費者が経験したトラブルのうち、6割以上が配送に関するものだった。トラブルの第1位は、商品到着の遅れだ。不愉快な経験をした場合、6割のユーザーは次回から購入店を変える。配送トラブルを起こさないことが大切だ」――
JDAソフトウェア・ジャパンで代表取締役社長を務める尾羽沢功氏
サプライチェーンマネジメント(SCM)ソフトを手掛けるJDAソフトウェア・ジャパンは9月6日、インターネットショッピングに関する消費者意識調査の結果を発表した。調査結果について代表取締役社長の尾羽沢功氏は、「ユーザーが満足できる形で確実に商品を届けることが重要だ」と総括する。
調査によると、ユーザーが最も重視する点は「配送料などの料金の安さ」(尾羽沢氏)になる。店舗を選ぶ際に重視する項目(単一回答)の1位は送料が無料であることで、全体の70%を占める。2位が利便性(配達時間指定や決済方法の選択など)で25%、スピード(翌日配送)はわずか3%に過ぎない。
88%のユーザーは過去1年間の間に再配達を依頼しており、不在伝票を受け取ったことのないユーザーは12%しかいない。さらに、全体の33.3%のユーザーは、同一の商品で2回以上の再配達を依頼している。「再配達が常識となっている」(尾羽沢氏)状況がうかがえる。再配達を前提としているためか、ネットショッピングの際に受取日時の指定をしないユーザーが51%と過半数を占める。
ネットショッピングの課題は配送にある。トラブルの1位は商品到着の遅れ
一方で、コンビニエンスストアなど自宅以外の場所で商品を受け取る“クリック&コレクト”の利用率は低い。過去1年間の利用者は14%しかいない。クリック&コレクトの課題として利用者が挙げた理由の1位(33.3%)は、待ち時間の長さだ。コンビニエンスストアの店員が商品を見つけるまでに時間がかかるという問題だ。
コンビニエンスストアなど自宅以外の場所で商品を受け取る“クリック&コレクト”の課題は、商品受け取り時の待ち時間の長さ
14%というクリック&コレクトの利用率の低さは、日本固有の特質という。JDA Software Groupが各国で実施した調査によると、クリック&コレクトの利用者は、フランスで59%、イギリスで54%、スウェーデンで49%、中国で34%、ドイツで33%だ。「日本だけが特別低い」(尾羽沢氏)
「日本においてクリック&コレクトの利用率が低い理由は分からないが、今後は伸びる」(尾羽沢氏)。パソコンやスマートフォンから配送を細かくコントロールできるなど、「日本の配送業者が提供しているサービスレベルの異常な高さもクリック&コレクトを利用しない要因の1つかも知れない」(尾羽沢氏)
今回の調査の調査会社はインテージ。調査期間は5月20日から5月23日までで、インターネットを使って調査した。回答者は国内在住の18歳から70代までの男女で、有効回答数は2115件だった。