2018年「サービスとしてのWindows(WaaS)」が中堅・中小企業のPC環境に与える影響

ノークリサーチは「Windows 10」から導入された「サービスとしてのWindows」が中堅・中小企業のPC環境にどのような影響を与えるか?に関する調査を実施し、その結果を発表した。

株式会社ノークリサーチ

2018-07-25 12:00

<「サービスとしてのWindows」はPC管理/運用に関する中堅・中小の市場を活性化する契機となりうる> ■ 中堅・中小企業でも「WaaS」の認知は進んでいるが、対策の実施はまだ十分ではない状況 ■ 「SAC」のサービスモデルを利点と捉える顧客セグメントを特定し、事例化することが有効 ■ VDIや他OSへの移行は起きないが、業務システムのWeb化が促進される可能性がある
PRESS RELEASE(報道関係者各位) 2018年7月25日

2018年「サービスとしてのWindows(WaaS)」が中堅・中小企業のPC環境に与える影響

調査設計/分析/執筆: 岩上由高


ノークリサーチ(本社〒120-0034 東京都足立区千住1-4-1東京芸術センター1705:代表:伊嶋謙ニ TEL:03-5244-6691URL:http//www.norkresearch.co.jp)は「Windows 10」から導入された「サービスとしてのWindows」が中堅・中小企業のPC環境にどのような影響を与えるか?に関する調査を実施し、その結果を発表した。本リリースは「2018年版 中堅・中小企業のPC活用とOS更新に関する実態/予測レポート」のサンプル/ダイジェストである。


<「サービスとしてのWindows」はPC管理/運用に関する中堅・中小の市場を活性化する契機となりうる>
■ 中堅・中小企業でも「WaaS」の認知は進んでいるが、対策の実施はまだ十分ではない状況
■ 「SAC」のサービスモデルを利点と捉える顧客セグメントを特定し、事例化することが有効
■ VDIや他OSへの移行は起きないが、業務システムのWeb化が促進される可能性がある


対象企業: 年商500億円未満の中堅・中小企業700社(日本全国、全業種)(有効回答件数)
対象職責: 企業の経営に関わるまたはITの導入/選定/運用作業を担う職責
※調査対象の詳しい情報については右記URLを参照 (リンク »)


■ 中堅・中小企業でも「WaaS」の認知は進んでいるが、対策の実施はまだ十分ではない状況
従来のWindows OSでは主に「サービスパック」を通じて新たな機能が提供されてきた。「Windows 10」では「サービスとしてのWindows (Windows as a Service、WaaS)」という新たな方針が採用され、「機能更新プログラム」が年2回提供される。 これによって 「Windows 10」は今後は概ね半年毎にアップデートされていく。だが、それぞれの「機能更新プログラム」が適用された状態のサポート期間は18カ月間となっている。したがって、継続してサポートを受けるためには「機能更新プログラム」の適用を続けていく必要がある。このサービスモデルは「Semi-Annual Channel(SAC)」と呼ばれる。組み込み機器向けなどを想定し、更新サイクルが年単位と長い「Long-Term Servicing Channel(LTSC)」というサービスモデルも用意されているが、利用できるアプリケーションなどに制約を伴う。そのため、大半のユーザ企業は「LTSC」ではなく「SAC」を選ぶことになると考えられる。
(「サービスとしてのWindows」の詳細は右記の6~8ページを参照 (リンク ») )
以下のグラフは中堅・中小企業に対し、「サービスとしてのWindows」に向けた取り組み状況を尋ねた結果を年商別に集計したものだ。「サービスとしてのWindows」を少なくとも認知している割合(グラフ中の選択肢※1、※2、※3の合計割合は年商5億円未満で6割、年商5~500億円で8割前後と高い値を示しているが、「何らかの対策を実施している」の回答割合は2割強~5割弱に留まっている。したがって、中堅・中小企業における「サービスとしてのWindows」に向けた取り組みは「認知は進んでいるが、対策の実施は十分とは言えない状況」となっている。「Windows 8.1」や「Windows 7 SP1」から「Windows 10」への移行は単なるOSバージョンアップではなく、「サービスとしてのWindows」に伴うPC管理/運用の変化と捉える必要がある。ベンダや販社/SIerとしてはユーザ企業に対する啓蒙や支援を今から進めておくことが大切だ。本リリースの元となる調査レポートでは「サービスとしてのWindows」をユーザ企業がどう理解し、IT企業がどう支援すべきか?に関する分析と提言を行っている。次頁以降でその一部をサンプル/ダイジェストとして紹介している。


■ 「SAC」のサービスモデルを利点と捉える顧客セグメントを特定し、事例化することが有効
本リリースの元となる調査レポートでは前頁のグラフで「何らかの対処を実施している」を回答した場合の具体的な実施手段についても、以下のような選択肢を設けて詳しく尋ねている。当然ながら、年商規模などによって「ユーザ企業がどこまで高度な対策を講じようとしているか?」の傾向は異なる。ここでは詳細を割愛するが、ベンダや販社/SIerとしては「サービスとしてのWindows」に伴い、PC管理/運用を担うツールやソリューションの導入がどれだけ見込めるのか?を見極めておくことも大切だ。

「サービスとしてのWindows」に伴うOSアップデートを管理する手段
(調査レポートでは下記の選択肢毎に回答割合を集計/分析)
・PC毎のアップデート設定を個別に手作業で管理する
個々の従業員が情報システム部門/担当の指示に従って更新プログラム関連の設定などを行う
・ワークグループ環境でアップデート設定を省力化する
ローカルグループポリシーを複製するなどして、アップデート適用時期の設定作業を省力化する
・ADサーバを導入し、アップデート設定を一括管理する
Active Directoryを導入して、アカウントやアップデート適用時期の設定を一括で行う
・WSUSサーバを導入し、アップデートの配信/内容を制御する
Windows Server Update Servicesを導入して、アップデートの配信/内容を制御する
・SCCMサーバを導入し、アップデートを含む全設定を統合管理する
System Center Configuration Managerを導入して、PC環境全般を統合管理する
ユーザ企業から見た時、「サービスとしてのWindows」はプラス/マイナス双方の捉え方が考えられる。そこで、「Windows 10」の利点と考えられる事柄と導入における課題をそれぞれ尋ねた結果が以下のグラフである。(ここでは中堅・中小企業全体における結果を掲載しているが、調査レポートには年商/従業員数/業種/所在地などの属性別に集計したデータが含まれる)グラフ中に赤帯で示したように、「サービスとしてのWindows」を「ネットワーク経由の更新で、新たな機能が追加される」と捉えた場合は『利点』となり、「必要のない機能が更新によって追加されてしまう」と捉えれば『課題』となる。 左記のグラフが示すように中堅・中小企業全体で集計した場合は『課題』が『利点』を上回っているが、年商 / 業種 / 従業員数 /IT管理運用の人員規模 / ビジネス拠点の状況などの企業属性別に見た場合は逆に『利点』が『課題』を上回るケースもある。したがって、「サービスとしてのWindows」を中堅・中小企業がどう捉えているか?を把握する際には様々な企業属性を交えた複数のセグメントで捉えることが重要となってくる。
例えば、ここではグラフは割愛するが、ビジネス拠点に関して「2~5ヶ所の拠点があり、サーバやネットワークといったインフラは各拠点で個別に管理されている」という状況に当てはまる場合には『利点』が『課題』を上回っている。ベンダや販社/SIerが「サービスとしてのWindows」を啓蒙/訴求していく際には『利点』が『課題』を上回っているセグメントにおいて先行事例を構築し、そこで得られた成功パターンを他のセグメントにも展開していくなどの工夫も有効と考えられる。

■ VDIや他OSへの移行は起きないが、業務システムのWeb化が促進される可能性がある
さらに本リリースの元となる調査レポートでは、中堅・中小企業が「サービスとしてのWindows」にどのような方針で対処しようとしているか?を「アップデートの回数」「システム面の対策」「有償サービスの活用」といった複数の観点から尋ね、その結果に基づく分析や提言を行っている。 「サービスとしてのWindows」への対処方針を尋ねた設問の選択肢は下記の通りである。

<<アップデートの回数などに関する項目>>
・年2回の「機能更新プログラム」を着実に適用する
「サービスとしてのWindows」の考え方に従い、年2回の「機能更新プログラム」を適用できるように計画を立てて実践する ・「機能更新プログラム」の適用回数を極力減らす
「機能更新プログラム」のサポート期間が18カ月であることを考慮し、2回のうち1回は更新をスキップすることによって実質的に年1回のみのアップデートとする
・通常の「SAC」ではなく、例外的な「LTSC」を選ぶ
「機能更新プログラム」の適用が前提となるアプリケーション(Office365など)の利用を諦め、年単位で機能更新が行われる例外(Long-Term Servicing Channel)を選択する
<<システム面の対策に関する項目>>
・重要な業務システムをサーバ上で稼動させる
一部の業務アプリケーションをサーバ上で動かし、PC内へのモジュール導入を不要にすることによって「機能更新プログラム」の影響を回避する
・重要な業務システムをWebアプリケーションにする
業務アプリケーションをWebブラウザのみで利用できるWebアプリケーションへと切り替えて、「機能更新プログラム」の影響をできるだけ少なくする
・デスクトップ仮想化(VDI)を導入する
デスクトップ仮想化(VDI)によって、管理/運用の負担を軽減する
・Windows以外のOSに切り替える
LinuxやChrome OSといったWindows以外のOSに切り替える
<<有償サービスの活用に関する項目>>
・アップデート計画立案の支援を受ける
「機能更新プログラム」の反映に関する計画立案を支援するサービスを利用する
・アップデート作業を外部に委託する
「機能更新プログラム」の反映に関する一連の作業を外部にアウトソースする

多くの中堅・中小企業が「アップデートの回数」について上記の3つの選択肢のどれを選ぶか?によってベンダや販社/SIerの支援策も大きく変わってくる。また「有償サービスの活用」における2つの選択肢のうち、「外部に委託する」の割合が高ければ「サービスとしてのWindows」が中堅・中小企業向けのPC管理/運用アウトソース市場を拡大する契機となる可能性もある。
本リリースの元となる調査レポートでは上記に関する詳しい集計/分析の結果について述べている。以下では「システム面の対策」に関する4つの選択肢の回答結果を年商別に集計したものをサンプル/ダイジェストとして紹介している。
いずれの年商帯においても、「サービスとしてのWindows」に伴うシステム面の対策としては業務システムのサーバ移行やWeb化によってPC環境への依存度を下げる取り組みが多く、デスクトップ仮想化やWindows以外のOSを選ぶといったPC環境自体を変更する取り組みはごく一部に限られている。したがって、業務システムのサーバ移行やWeb化を訴求したいと考えるベンダや販社/SIerにとっては「サービスとしてのWindows」が一つの契機となる可能性もある。

本リリースの元となる調査レポート

『2018年版 中堅・中小企業のPC活用とOS更新に関する実態/予測レポート』 OSサポート終了対策が叫ばれる中、ユーザ企業は新たなOSやPC環境に何を期待し、何を課題と考えているのか?
【サンプル/ダイジェスト】 「2018年 中堅・中小企業におけるPC更新とWindows 10移行の課題と対策」
(リンク »)
「2018年「サービスとしてのWindows」が中堅・中小企業のPC環境に与える影響」 (本リリース)
(リンク »)
【レポート案内(サンプル属性、設問項目、試読版など)】 (リンク »)
【価格】180,000円(税別)


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