2021年の活動開始後、DUCKTAILは企業などのFacebook広告/ビジネスアカウントの管理権限を持つと推測される従業員のLinkedInページを経由して、Facebookアカウントを乗っ取ることを目的に活動してきました。本年夏にウィズセキュアが発表したレポートでDUCKTAILの活動が明らかになりましたが、その後もこのサイバー攻撃者グループは防御をかいくぐり、活動を拡大するためにその手法を進化させています。
ウィズセキュアのリサーチ部門であるWithSecure Intelligence (略称: WithIntel) のリサーチャーを務めるMohammad Kazem Hassan Nejad (モハマッド・カゼム・ハッサン・ネジャッド) は、今夏以降のDUCKTAILの活動について次のように語っています。
「DUCKTAILが直ちに減速する兆候は見られず、むしろ運用上の困難に直面しつつも急速に進化していると私たちは考えています。これまでDUCKTAILを背後で運用するサイバー攻撃者グループは小規模なのでと考えられてきましたが、その規模は拡大しているようです。」
本年9月上旬以降に観測されたDUCKTAILの活動で観測された動作モードの変化:
● ターゲットにフィッシングを仕掛けるためにWhatsAppなどの新たなルートを使用
● より「正規のアドレスである」と感じさせるメールアドレスを取得し、起動時にダミーの文書や動画ファイルを開くことで、マルウェアをより正規のものに見せかけるという機能の強化
● ファイル形式やコンパイルの変更、証明書の連名化など、防御回避策の強化
● ベトナムで多くのフェイク企業を立ち上げ、関連会社をオペレーションに組み込むことで、さらなるリソースの開発とオペレーションを拡大
ウィズセキュアのバイスプレジデントでありWithIntelの責任者を務めるPaolo Palumbo (パオロ・パルンボ) は、今後のDUCKTAILの動向について、こう述べています。
「ランサムウェア攻撃は注目を集めていますが、DUCKTAILのような脅威はターゲットとなる企業に金銭的にも評判においても大きな損害を与えることとなり、看過できないものとなっています。活動の活発化、新しい関連会社やフェイク企業により、今後しばらくはDUCKTAIL関連のインシデントの増加が予想されます。」
ウィズセキュアのインシデントレスポンスチームは、DUCKTAILやその他のFacebookの広告/ビジネス向けプラットフォームをターゲットとした脅威による攻撃への対応において、被害を受けた多くの企業にサポートを提供してきました。これまでのDUCKTAILの攻撃による損失は、10万米ドル~60万米ドル相当の広告クレジットと広範囲にわたっています。
Facebookの使用において個人アカウントとビジネスアカウントが分離されていないため、企業にとって管理は困難となります。ウィズセキュリティのインシデントレスポンス部門のグローバル責任者であるJohn Rogers (ジョン・ロジャーズ) は、アカウント管理の難しさについて以下のように次のように話しています。
「同じリソースをプライベートとビジネスの両方で使用することは、非常に大きな問題があります。例えば、DUCKTAILのインシデントの可能性を調査する際、個人のFacebookの履歴に関するログが必要になることがありますが、これは業務上、倫理上、法律上、予期せぬ多くの問題を引き起こす可能性があります。これは組織とその従業員に関連する事項なので、両者ともこうした状況でのリスクを理解する必要があります。」
以下、ウィズセキュアがDUCKTAILおよび類似の脅威からの防御において推奨するステップです:
● Facebook/Metaのビジネスアカウントの管理権限を持つユーザーに対し、フィッシングに関する啓発を行う
● 未知のファイルを実行できないようにするために、アプリケーションの許可リストを強制的に作成
● EDR/EPPソリューションを使用し、攻撃ライフサイクルの初期段階でマルウェアを予防/検知
● 企業のFacebookアカウントで使用される管理デバイスや個人用デバイスは、基本的なセキュリティハイジーンと保護がなされていることを確認
● Facebook Businessアカウントにアクセスする際は、プライベートブラウジングを使用して各作業セッションを認証 (終了後にセッションが切れるため、Cookieが盗まれたり悪用されたりするのを防止)
● Metaが推奨するセキュリティ対策に従う
● インシデントが疑われる場合の対応では、関連するログをできるだけ早くダウンロード/分析
リサーチの内容 (英語) は以下のページにてご覧いただけます:
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*1:
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WithSecure Webサイト:
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WithSecureプレスページ:
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このプレスリリースの付帯情報
用語解説
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