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「指先の感触で、何をするものかが直感的にわかる」――。
多数の機能が有機的に配置された新型「MT-09」搭載のスイッチボックス
「次世代ハンドルスイッチ」を掲げて開発
「あくまでも暗黙知でしかないのですが、“人が触れる部分を大切にする”というマインドは、この会社のものづくりに深く根づいた文化であり、また流儀の一つだと感じています」
そう話すのは、当社・機能モジュール開発部の長崎義貴さんです。同部門のHMI(ヒューマン・マシン・インターフェイス)チームでは、人間工学に基づいてスイッチやレバー、ペダル類など、ライダーとマシンの接点となる各種機能部品の要素研究から開発までを担っています。
バイクの運転中、ライダーはしっかりとグリップを握った上で、さまざまな手元操作を行います。ウィンカーやライトなどの灯火類、ホーン、走行モードの切替など、走る・曲がる・止まるをコントロールしながら、これらの操作を行う必要があるのです。誤操作を防ぎ、扱いやすく違和感のないスイッチの配置や形状、また気持ちの良いタッチ感等を実現するためには、まずヒトの構造や感覚を深く知ることが欠かせません。
「これまでの開発では、既存品の流用・応用によって製品ごとの最適を追求してきました」と長崎さん。それに対して新型「MT-09」や「XSR900GP」に搭載したスイッチボックスでは、「フルスクラッチで、今後のスタンダードにもなり得る“次世代スイッチ”を目指しました」と振り返ります。
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「純度の高いライディングに、スイッチ操作から貢献したい」と、
機能モジュール開発部の堀内さん、長崎さん、池谷さん(左から)
「直感的かつユニバーサル」なスイッチを
スイッチの設計は、驚くほどデリケートです。たとえば親指を引く動作を解析すると、一旦、指先を軽く押し当てることで感触を確かめ、その感触をきっかけに引く動作に移ることがわかります。また、その引き始めた指を、今度はライダーの意思通りに止めるためのデザインも重要です。その最適解を導き出すために、クレイモデルにスクレーパーを当て、透けるほど薄く削り出していく繊細な検討も繰り返されました。
対応力や汎用性といった点でも、綿密なアプローチが行われています。指の長短などライダーごとの差異、またグローブの厚みや構造の違いなど、さまざまな設定で走行実験による検証が重ねられました。
「一口に押すと言っても、ストロークやクリック感の微妙な違いで、気持ち良く感じたり、逆に違和感が出たりします。ですから走行実験の現場には、いくつもの仕様を持ち込んで比較検討していきました」と開発メンバーの池谷亮介さん。また堀内智貴さんも「そうしてつくり込んだスイッチ類を機械的な要件で損なわないよう、ねじ曲げが可能なフレキシブル基盤などを用いて内部構造をまとめました。結果、非常にコンパクトに仕上がり、汎用性も高められたと思います」と振り返ります。
求めたのは、直感的操作で扱えるユニバーサルなスイッチ。「操作に関わるストレスやノイズを取り除くことで、ライダーは純度高くライディングを楽しめるはず。そこに貢献できたら本望」(長崎さん)と話してくれました。
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複雑な構造の有機的なパッケージングには、フレキシブル基盤が貢献。
基盤とスイッチの接点にラバーコンタクトを採用し、防水性やクリック感を向上
■指の動きからデザインされたハンドルスイッチ(動画)
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■広報担当者より
ヤマハ発動機の第1号製品「YA-1」(1955年)は、独DKW社の製品を手本とするモデルでした。しかし、シートやグリップ等については日本人の身体に合わせてオリジナルのデザインが加えられるなど、人と接する部品への手厚い配慮は当社の伝統の一つです。現在ではHMIという概念も広く知られるようになりましたが、長年大切にしてきたそうした価値観が、現在の長崎さんらの仕事につながっているのだと感じます。次世代スイッチボックスの詳細については、ぜひ動画をご覧ください。
お問い合わせにつきましては発表元企業までお願いいたします。