IOWNオールフォトニクスネットワーク(APN)による低遅延通信を活かした秘密計算でのAI分析環境の実用性を実証 ~秘密計算サーバの複数拠点への配置が可能に~

日本電信電話株式会社

From: Digital PR Platform

2024-06-12 15:12


発表のポイント:

秘密分散を利用した秘密計算システムでは、大量に発生する通信の影響を最小化するため、すべてのサーバを一つのデータセンターに配置することが一般的であった。
低遅延であるAPNで相互接続されたDCを活用することにより、複数のデータセンターに分散配置された計算処理環境においても、秘密計算によるAI分析を実用的な時間で可能であることを確認した。
災害対策、エネルギー最適化およびセキュリティの観点から、複数地域に分散したDCを活用し、高精度なAIモデル構築など「安全・安心な複数事業者でのデータ利活用」が期待できる。

 日本電信電話株式会社(本社:東京都千代田区、代表取締役社長:島田 明、以下「NTT」)は、IOWN オールフォトニクス・ネットワーク(All-Photonics Network、以下APN※1)による通信の特徴である大容量・低遅延を活かし、複数のデータセンター(以下DC)に分散配置された計算処理環境においても、秘密計算によるAI分析を実用的な時間で達成できることを実証しました。本成果により、遠隔地にあるDCに配置された秘密計算サーバをIOWN APNで接続し、安全にデータ活用できるプラットフォームの実現が期待できます。

1.背景
 NTTでは、ICTにより高度化する社会システムや人間社会の変革と発展をめざし、広範な社会価値、情報利活用、サイバーセキュリティ、プライバシー、倫理、法律・制度等について研究を行ってきました。データを適切に管理し利活用を促進する技術として、秘密分散を利用した秘密計算技術の開発に長年取り組み、提案した計算方式はISO国際標準にも採択されています※2 ※3。
 また、AIやIoTをはじめとしたコンピューティング機能の需要増大に伴い、災害対策、エネルギー最適化およびセキュリティの観点から、単一の巨大なDCのみでなく、地域に分散したDCを組み合わせての利活用が期待されています。一方、従来の秘密分散を利用した秘密計算システムでは、高速に分析ができる反面、大量に発生する通信の影響を最小化するため、すべてのサーバを一つのDCに配置することが一般的でした。今回、秘密計算を地域に分散したDCと組み合わせて利活用するために、大容量・低遅延な通信の仕組みであるAPNを用いてDC間接続を行い、技術蓄積とユースケース検討を実施しました。


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2.主な取り組みの内容
 今回、より広域や複数組織間でのセキュアなデータ利活用をめざし、NTT西日本の構築したIOWN APNによる分散DCに、分散配置されたサーバによる秘密計算システムを構築しました。また、計算処理を行う際のネットワークの影響について評価するため、IOWN APNで接続している場合の構成、一般的なネットワーク接続を模擬した構成および単一のDC内の構成にて、計算処理性能をそれぞれ測定して比較しました。

 今回の測定の結果、10万件のダミーデータセットを学習対象としたAIモデルの学習処理(GBDT※4およびFFNN※5)において有意な差があることがわかりました。特にFFNNにおいては、一般的なネットワーク接続が約157分であるのに対して、IOWN APNの場合には約22分と、およそ1/7倍の時間で学習が完了することを確認できました。また、同一DC内で実施した場合のネットワーク接続は約15分の時間を要しますが、地理分散した場合でも、同一DC内と比較しておよそ1.5倍程度の時間となり、実用的な時間で処理可能であることが確認できました。
 この結果から、今までは通信速度及び遅延の関係から同一のDC内に限定していた秘密計算システムを、一定距離にあるDC間を接続して構成可能であり、異なるDCや企業間におけるシステムを用いたセキュアなデータ利活用システムへの応用が期待できます。


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3.今後の展開
 今回の実証実験により、IOWN APNを用いることで、分散DCに跨った単一の秘密計算システムが実現可能であることを示しました。今後、「安全・安心な複数事業者でのデータ利活用」や、「地域DCを統合した計算リソース活用」など、IOWN技術を応用した価値創造に向けたユースケース検証と、実導入に向けた運用課題の解決に向けて、共同実験等を通じて引き続き技術開発に取り組んでまいります。

<用語解説>
※1.IOWN APN(オールフォトニクス・ネットワーク)
IOWNは、主に、ネットワークだけでなく端末処理まで光化する「オールフォトニクス・ネットワーク(APN)」、サイバー空間上でモノやヒト同士の高度かつリアルタイムなインタラクションを可能とする「デジタル・ツイン・コンピューティング」、それらを含む様々なICTリソースを効率的に配備する「コグニティブ・ファウンデーション」の3つで構成されます。
APNは、ネットワークから端末、チップの中にまで新たな光技術を導入することにより、これまで実現が困難であった超低消費電力化、超高速処理を達成します。1本の光ファイバ上で機能ごとに波長を割り当てて運用することで、インターネットに代表される情報通信の機能や、センシングの機能など、社会基盤を支える複数の機能を互いに干渉することなく提供することができます。
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※2. NTTが規格作成を主導した初の「秘密計算技術」ISO国際標準が発行
~データ利活用とプライバシー保護を両立する先進テクノロジーの普及を推進~(2023.9)
(リンク »)

※3. NTTの秘密計算技術がISO国際標準に採択
~データ利活用とプライバシー保護を両立する高速な秘密計算技術を実現~(2024.3)
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※4. GBDT(Gradient Boosting Decision Tree: 勾配ブースティング決定木):
機械学習モデルの一つであり、木構造(樹形図)を用いたデータ分析手法である「決定木」を複数組み合わせてより高度な予測を行う。

※5.FFNN(Feedforward Neural Network:順伝播型ニューラルネットワーク ):
ニューロンを組み合わせて層状のネットワークにした機械学習モデル「ニューラルネットワーク(NN)」の一種で、入力層・隠れ層・出力層の3種類の層を順番に、値を伝搬させることで最終結果を導出する。
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