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提供:アトラシアン株式会社

属人化から協働、そして全社へ──IT運用の課題が示すAI時代のチームワークのかたち

ZDNET Japan Ad Special

2025-12-12 11:00

ZDNET Japanとアトラシアンは2025年7月30日から9月30日の間、従業員1千名以上の大企業を対象に「ITSMツールに関する調査」を実施し、自社におけるITSM(ITサービスマネジメント)ツールやAI・自動化ツールの活用状況を調べた。その結果をもとに、アトラシアン エグゼクティブ プロダクトマーケティング ストラテジストの渡辺隆氏と、ZDNET Japan 編集長の藤本和彦が、IT運用現場における現状の課題と今後のAI時代にIT運用チームが進むべき方向性について考察する。
対談写真

属人化が生む停滞とナレッジの断絶

ZDNET 藤本(以下、藤本)今回のZDNET・アトラシアンの共同調査では、IT運用・サービスデスク業務の課題が多角的に浮かび上がりました。渡辺さんは今回の調査全体をご覧になって、どのような印象を持たれましたか?

アトラシアン 渡辺氏(以下、渡辺氏)まず、ITSMツールを利用している人としていない人で比べると、「ツールを利用している」という回答者の企業では課題の有無という面で一定の成果が出てきていると理解できました。ただ、ITSMツールを使っている大企業が半数弱というのは少し意外でしたね。実際は、一部では仕組み自体はあるものの部分最適化にとどまっていて、全社最適化された形でITSMツールや自動化の仕組みは導入していないという話なのかもしれませんが、もっと利用率は高いものだと思っていました。

ITSMツールの利用状況を教えてください

 確かにそうですね。では次に課題感を見ていくと、各社が抱えている「ヘルプデスク業務およびITサービス管理に関する課題」については、「業務が属人化している・標準化できていない」がトップで、「知識や情報の共有が不十分で、ナレッジベースが活用されていない」「手作業が多い」がそれに続いています。その中で「最も深刻だと感じる課題」としては、「業務が属人化している・標準化できていない」が最多で、「知識や情報の共有が不十分で、ナレッジベースが活用されていない」と「インシデントの対応時間が長い」の2つが続いています。

渡辺氏属人化・標準化問題についてはまず、恐らく日本の情報システム部門(情シス)では日々多くの業務を抱えている人が多いので、仕組みを入れたり定着させたりというところまで行動に余裕がないのだと思います。それを経営層も課題と認識できておらず、現場でも「自分のやり方が一番」という職人のような考え方を持つ人が多いため、いつまでたっても手作業がなくならず、属人化も解消されないのではないでしょうか。属人化の結果、当然ナレッジや情報を個人が抱え込むようになり、情報共有もできないという構造になっていると思われます。私は仕事柄、CIOとお話させていただく機会が多いのですが、やはり「情報共有ができていない」というお悩みが一番多いです。情報共有問題について藤本さんはどう思いますか?

藤本やはりツールやルールのサイロ化は1つ大きな要因でしょうね。部署・部門・チームごとにそれらがバラバラで、データが横串で流れていないために情報共有や標準化が進まず、その結果が属人化が解消されないという話にも繋がってくるのだと思います。

渡辺氏ITSMツールを導入する際には、併せて仕組みも変えていかなければなりません。その上でナレッジを共有し活用するためには、最近のAI導入の話でも必ず出てきますが、データをきれいにするというプロセスも必要になりますね。

ヘルプデスク業務およびITサービス管理に関する課題(複数選択可)
最も深刻だと感じる課題を1つ選んでください

ITSMの導入を阻む「構造的な壁」―人材、予算、経営層の理解

藤本少数回答のものも含めてそれらの課題の原因を見ると、「人材不足」「技術や知識不足」という回答が多く、ほかに「予算不足」や「経営層の理解不足」が挙げられています。

渡辺氏本来、人材不足と技術・知識の不足を補えるのが、ITSMのようなツールや自動化の仕組みです。これらの回答が多かったのは、ITSMツールの導入率が低いという調査結果と関係していると思われます。

藤本ITサービスのプロセスを可視化して、誰でも対応できるように作業の標準化も行い、かつ情報を見えるようにするのがITSMツールの役割ですからね。

渡辺氏そしてその原因を掘り下げると、結局「予算不足」や「経営層の理解不足」というところにつながってきます。特に、経営陣にとってITSMは投資に値するものなのか―、突き詰めると問題はそこになってくると考えます。現場レベルで解決できるものではありません。属人化問題にしても、現場で取り組むには限界があり改善レベルにとどまってしまうので、経営のテーマとして取り組んでいく必要があります。

藤本経営層に理解してもらってそこに投資をしてもらい、人も含めてリソースを割いてもらうというコミットメントが必要になってくると。ただし現在は、多くの企業においてITサービスや運用部門はコストセンター的な扱いになっていることが多いのですが、その状況下で経営層やCIOに対してどのように理解を促していけばよいでしょうか。

渡辺氏これはサービスマネジメントの定義として一般的に言われていることですが、まずはITサービスや運用のKPIと成果指標をきちんと設定・共有し、その成果を経営やユーザー部門に見せることが大切です。あとはサービスリクエスト管理のような問い合わせに関しては、回答が早くなってユーザーの満足度が改善されれば、単なるコストセンターではないと理解されるようになるでしょう。

 ただし、現状においてそれができている企業は少ないというのは、本調査の結果や回答のコメントをみても明らかです。そこで1つの成功例としてアトラシアンのツールを採用されたあるお客様のケースを紹介したいのですが、そのお客様は元々ITSMのあり方に課題を抱えていて新しくツールを導入したのですが、その際に役員の判断でITSMをけん引するチームを情シスではなく経営企画室の中に入れたのです。つまりITサービスの話のみに落とし込まず、もっと広いサービスマネジメントという視点から全社の業務改善ツールとして採用したわけです。

藤本なるほど。IT部門だけで経営層への提案から仕組み作りまでの全てを進めようとすると大変ですし、必ずしも技術者が経営的な目線を持っているとも限らないので、経営と対話できる機能を巻き込んでいくという手法は有効になるでしょうね。

渡辺氏あとは数字も求められがちですが、別のお客様は、元々問い合わせはITサポート部門宛てのグループアドレスにメールで受け、対応も属人的で自動化されていなかったところから、ツールを導入して改善された成果がROIとしても出せています。リクエストの処理件数やインシデントが上がってから解決できるまでの時間などがちゃんと見えた結果、今後ITSMの対象範囲を拡大し、さらにグローバルにも展開するという話になっているそうです。こうなると、経営層に対してITSMの業務はコスト領域ではなく、利益拡大につながるものという理解も得られやすくなるのではないでしょうか。

課題の原因としてあてはまるものをすべて選んでください(複数選択可)

AI導入の現実―効率化から知識拡張のフェーズへ

藤本昨今急速に普及するAIの活用状況についても聞いてみましたが、結果は「AIや自動化を導入していない」企業が過半数でした。ITSMツールを導入しているという回答者に限ってみても、導入しているのは57%という結果になっています。渡辺さんはこの結果をどう受け止めますか?

渡辺氏サービスマネジメントの領域は、現状最もAIが効果を出してくれる領域といわれていて、アトラシアンの「Jira Service Management(JSM)」でも問い合わせの前処理をAIがやっています。そこまではメジャーなITSMツールを導入している企業であれば活用できているはずなので、回答結果には多少のぶれがあるのかなとも思います。

サービスデスクやインシデント管理業務における自動化の取り組み状況について教えてください

渡辺氏ただし、重要なのはこれからです。今後はより“賢いAI”が活用されるようになります。例えば、インシデントが発生した際に原因調査の部分をAIが手助けし、「ソフトウェアやネットワークの設定を変更した」とか、「設定ミスではない重大なトラブルがある」といった形で最も可能性が高いポイントを考えて提示してくれるというものです。その結果、業務の効率化はもちろんのこと、人手の作業では時間がかかっていた作業領域に対し、とりあえず100点ではないにしても過去の変更履歴を見ながらAIが「ここの可能性が高い」と教えてくれるなど、AIの技術は効率化を超えた能力を有するところまで来ています。

 他にも、AIエージェントがMCPサーバーを経由して他のAIエージェントと連携して作業を自動化させていくことも可能となっています。サービスマネジメントの領域でも、IT系のインシデント管理だけでなく、人事部門における採用時のオンボーディング業務などにも「エンタープライズサービスマネジメント(ESM)」として展開が進みつつあります。

藤本調査では、AIを導入している企業では「人的負担軽減」「対応時間短縮」といった成果も出ていますが、チャットボットの活用でとどまっていると一歩先に行けない。エージェントの活用や、システム全体の自動化や連携に進んでいくと、それ以上の価値が生まれてくるということですね。

渡辺氏すでにほとんどの企業ではあらゆる業務で生成AIを導入していると思われますが、1人当たりの利用コストが年間5-6万円かかるなか、元は取れていないのが現状ではないでしょうか。その理由は、業務プロセスを変えずに生成AIを使っているからです。そこでITSMの領域でAIを活用するにあたっても、「インシデントが発生した際、途中の調査はAIに任せて、最後の判断だけ人がやればいい。途中のところはAIが70点の答えを出してくれたらいい」というようにプロセスまでを変えていくことで、単なる効率化ツールではないより高度なAI活用ができるようになります。特にサービスマネジメントはプロセスの塊なので、そこをAIファーストの考え方に変えていけばより高い効果が生まれるはずです。

自動化やAI導入の成果として感じている効果を教えてください(複数選択可)

IT運用から全社の仕組みへ―AI時代の協働基盤として進化するESM

藤本業務プロセスの改善を考える必要があるという事ですが、情シスは業務が多く疲弊している現状において、それを誰が担うべきでしょうか。

渡辺氏そもそもの話として、日本の企業は兼務が多いですよね。この手の新しいプロジェクトが始まるときは、特にそうなりがちです。そのため、まずは専任の人を立てるところから決断しないと実現は容易ではないと考えます。そしてもう1つ、情シス部門が業務過多で忙しいのは事実ですが、問題解決を上の人に委ねるだけでなく、現場からも声を上げていくことが大切です。上だけのせいにしても何も変わりませんし、それではいつまで経ってもITSMやESMをDXやAI活用の文脈で捉えてもらえるようにもならないでしょう。

藤本確かに、いまだに多くの企業では経営層からITは特定領域であり、専門家が理解しておけば良いものと認識されている節はあります。その中で1つの専門部門の現場が自分たちの困りごととしてツールの導入や業務プロセス改善の必要性をトップに上申し、理解してもらうのは難しいように思えますが、何かいい手法はありますか?

渡辺氏これは1つの案なのですが、ある国内企業では、定期的にCIOがCEOにITの勉強会をして成果を生み出しているそうです。そこで同様なことを、IT部門がCIOや他部門に実施するというアプローチも有効だと考えます。様々なレイヤーでそのような取り組みをして、上位層から末端に至るまでの考え方を変えていき、ITやITSMの問題を“全社ごと”に昇華させていくのです。そうなると、ITSMを検討する際にも単にツールを導入するとかツールを進化させるという議論にとどまらずに済みますし、社内からの見え方も含めてIT部門が「自分たちはシステムのお守りだけでなく、サービス提供者になる」という自覚のもと、建設的な議論もできるようになるでしょう。

 その際に、重要なキーワードになるのが、「会社全体の協働」と「ESM」です。特にこれからのAI活用時代には、全社協働の考え方が有効になってきます。

藤本全社協働とは具体的にどのようなことでしょうか。

渡辺氏アトラシアンでは、社内におけるチームの協働を最適化し、成果を最大化するためのフレームワークとして、「System of Work」という枠組みを採用しています。System of Workは、IT運用部門だけでなく開発・営業・人事など全社的な連携を前提としたもので、ゴール駆動の考え方で構築されています。まずはCEOのゴールがあり、その下のCROやCMOなどのゴールがありといった形で、我々の職位までに数レイヤーのゴールが存在していて、その全てを全社員が見られるようになっています。それぞれのゴールは連携していて、1つひとつのタスクがゴールとつながり、ナレッジも共有され、全社が協働して成果を作り上げていくのです。そして現在、そのSystem of Workの枠組みの中にAIを導入し、様々な領域へ適用しようとしているのですが、そこでも協働やナレッジ共有の仕組みを持っていることで、AIエージェントが社内の方向性の文脈を理解しやすくなり、パートナーとして効率的な働き方をしてくれるようになるのです。

藤本実際のところ、「何のためにこれをやっているのかわからない」という仕事であふれている企業も決して少なくないでしょう。そうなると、社員のモチベーションも上がりにくいです。一番上に経営としてのゴールがあって、それぞれがそこに紐づいて動ける仕組みは必要ですね。やはりその構造は変えていかなければなりません。

渡辺氏幸いなことに、最近はそこに気付いている経営者が増えてきたように思えます。それは本当にいい傾向です。そういった意味で、System of Workが実践されればAIも最大限効果を発揮しやすくなりますし、企業としての生産性は自ずと高まってくるはずなので、協働のフレームワークとして採用することをお勧めします。

渡辺氏そしてもう1つのESMは、ITSMの考え方を全社の業務に拡張し、IT以外の部門も含めたサービス提供と業務効率化を実現する仕組みです。System of Workという基盤上でナレッジが共有され、業務が可視化されている状態では、ESMが経営に直結する業務改善基盤として機能するようになります。その際にはワンポータルに財務、人事、マーケティング、営業などに関するサービス窓口が集約されて、ITSMの仕組みと同様に全社最適な形で業務プロセスや課題、さらにはナレッジを管理できるようになるので、そのためのツールやサービスデスクを運用管理するIT部門の存在価値は今以上に高まるでしょう。

藤本なるほど。渡辺さんのお話を伺っていて、System of Workとは“業務OS”のようなものだと感じました。まさにビジネスOSと言いますか、働くための基本システムですね。そしてESMはその上で動くソフトウェアのスイート製品のようなもので、その中にITSMという機能も含まれるといったところでしょうか。では最後に、今回の調査を通じてあらためて感じた日本企業のIT運用の課題と、これからのAI時代の協働を考えるうえで、企業が取り組むべきことを教えてください。

渡辺氏残念ながら我が国の労働人口は今後増えてゆかないということは直視しなければならない事実です。その状況においては、AIや自動化によって業務効率を徹底的に高めてゆくことは、もはや経営テーマのひとつだと言えるのではないでしょうか。ITSMがカバーする範囲は広範であり、「どこから始めるか」お悩みの方も多いと思いますが、たとえば、企業内の活動でもっとも多い「問い合わせ対応」(ITSMでいうところのサービスリクエスト管理)から着手し、そこが定着したら次の領域に拡大してゆくというステップを踏むやり方はいかがでしょう。

 サービスリクエスト管理を推進してゆくことで、問い合わせと回答のナレッジが貯まりますし、ナレッジが貯まればAIの回答精度も自ずと高まってゆきます。

 気をつけなければいけないのは、「単なるツール導入」を目指すのではなく、ITSMおよびAIの導入によってプロセスをどう変えてゆくか?目指すべきゴールをどこにおくかといった面もあわせて導入を検討いただきたいと考えます。

提供      :アトラシアン株式会社 企画/制作   :株式会社4X メディア&リード事業本部 営業部 掲載内容有効期限:2026年1月31日

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