待ったなしの「ものづくりの現場のデジタライゼーション」、クラウドを積極活路した攻めの事例

ZDNet Japan Ad Special 2019年01月08日 12時00分

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[PR]セミナー講演より、東洋ビジネスエンジニアリング、三菱電機の事例。日本の製造業が抱えてきた課題や、デジタル化による革新について、両社が意見を投げかけた。

ZDNet JapanおよびAWS Partner Networkの主催で、クラウドの中心的存在である「アマゾン ウェブ サービス(AWS)」をテーマにした全6回のオフラインセミナーが開催された。第5回は「生産管理」をテーマに2018年11月22日に行われたが、ここでは基調講演と三菱電機による特別講演の内容をお届けする。日本の製造業の特徴である「品質や技術、製品へのこだわり」がIT化を阻んでいる側面もあるが、その特徴を生かしつつ、ものづくりの現場において、いかに「デジタライゼーション」を進めていくかのアイデアが披露された。

基調講演:日本独自の「人間系の強み」--IT化の遅れを招いた側面も

東洋ビジネスエンジニアリング
常務取締役 
羽田雅一氏
東洋ビジネスエンジニアリング
常務取締役
羽田雅一氏

 基調講演には、東洋ビジネスエンジニアリング 常務取締役 羽田雅一氏が登壇。「IT活用で製造業に革命を起こす~ものづくりデジタライゼーション~」と題して、生産現場のデジタル化を推進することで、ビジネスモデルを変革し、新たな価値を創造するための道筋を提案した。

 羽田氏は、プログラマー・システムエンジニアとして製造業向けのシステム開発に携わり、1996年にサプライチェーン管理(SCM)システムの「mcframe」を企画・開発。1999年に東洋ビジネスエンジニアリング設立とともに入社し、現在、CMO/CTOとして国内外の製造業のシステム構築支援やビジネスモデル改革に携わっている。

 羽田氏はまず、日本の製造業を取り巻く環境について、海外勢の多くが業務を円滑に進めるために「仕組み・仕掛け」が不可欠な要素となっているのに対し、日本は品質や技術、製品へのこだわりが強く、日本独自の「人間系の強み」を生かして成長してきたという事情を説明した。

 「こうした“単一性”による効率性の高さはIT化の遅れを招く要因にもなりました。それが現在のような複雑で大きな変化を伴う時代への対応の遅れにもつながっていると考えます」(羽田氏)

 実際、総務省のIoTに関する調査などから日本の製造業のデジタル化の進捗率を見てみると、2015年の段階でIoT導入率がプロセスおよびプロダクトの両面で低く、この状況は2020年になってもほとんど進まないことがわかっている。

 デジタル化の障壁はいくつかあるが、ERPソフトウェアの分野に関しては、ERPが日本の製造業の要求水準を満たしていなかったこと、企業の差別化要因を組み込む仕組み(アーキテクチャ)をERPが備えていなかったこと、導入費用が高額で不可逆的な導入方法しか選択できなかったことが大きな課題だったと羽田氏は指摘した。

ものづくりデジタライゼーションには「3つの柱」

 続いて羽田氏は、製造業のデジタル化を推進するための「ものづくりデジタライゼーション」の考え方を紹介した。ものづくりデジタライゼーションには大きく3つの柱があるという。それは、IT化が遅れているSCM領域を含む「業務領域のデジタル化」を完成させること、業務プロセス(サプライチェーン)だけでなく「製品ライフサイクル(エンジニアリングチェーン)のデジタル化を進めること、「生産技術(現場の暗黙知)をデジタル化」することで日本の製造業の強みを汎用化し拡大させることだと説明。

 「販売や生産、原価といった業務領域のIT化と効率化は必須要件です。そのうえで、設計や生産技術といった競争領域のデジタル化を図ることが重要です」(羽田氏)

 さらに羽田氏は、競争領域のデジタル化の施策としていくつかの具体案を提示した。まずは、設計・製造の連携だ。設計部品表(E-BOM)と製造部品表(M-BOM)をどう連携させるかは製造業の長年の課題で、これを解決することでPLMからSCMまでをつなぎ、マスカスタマイゼーションやフロントローディングを実現していく。

 設備をつなげることも必要だ。IoT関連技術を用いて、稼働モニタリングや設備メンテナンスなどを実施していく。人をつなげるという視点では、カメラやセンサを利用して人の動きをデジタル化して作業の異常やばらつきを分析したり、VR技術を活用して工程設計や現場教育を行ったりする。

 「IoTなどの競争領域のデジタル化の進め方としては、設備のデジタル化、人(作業)のデジタル化、現場情報のデジタル化がポイントです。現場のカイゼン(部分最適)の延長として取り組みを開始し、全社の利益増大につなげていきます」(羽田氏)

 次の段階として、業務領域と競争領域のデジタル化を融合させ、製品やサービスの価値向上を図っていく。そのことが結果的に新たなビジネスモデルの創出にもつながっていくという。

 最後に「業務領域はトップダウンで、競争領域はボトムアップで取り組み、新たな価値創造につなげていくのが日本流のアプローチだと考えます」とまとめ、講演を締めくくった。

「日本流のアプローチ」で新たな価値創造 「日本流のアプローチ」で新たな価値創造
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特別講演:FAとITをつないでデータを活用する仕組み—三菱電機

三菱電機
FAシステム事業本部
FAソリューションシステム部
主席技監
森田温氏
三菱電機
FAシステム事業本部
FAソリューションシステム部
主席技監
森田温氏

 特別講演には、三菱電機 FAシステム事業本部 FAソリューションシステム部 主席技監の森田温氏が登壇。「手段としてのIoTはものづくりに何をもたらすか」と題して、三菱電機が提唱する「e-F@ctory」とAI・知能化ロボットを活用したスマートファクトリーの実例を示しながら、次世代のものづくりの方向性を提案した。

 森田氏は1980年から三菱電機の研究所で、FA機器(NC、放電加工機、ロボット、サーボ)制御の研究開発に携わり、熟練作業者のノウハウを模擬した放電加工機適応制御装置の開発などを行い、2009年同社情報技術総合研究所所長。2011年にSI会社へ転籍後、2015年に三菱電機へ帰任し、進化するものづくりコンセプトe-F@ctoryを推進する。

 今でこそ業界から大きな注目を集めているe-F@ctoryだが、立ち上げ当初は、さまざまな苦労があったそうだ。森田氏はまず、日本のものづくりの課題を整理するなかで、今後はIoTやAIなどのデジタライゼーションの技術を活用して、労働集約型のマニュアル作業から、人と機械が協働して自動化するかたちに発展させていく必要性を感じていたことを紹介。そうしたなかで推進してきたのがFA(生産現場)とITをつなぎ、データを活用する仕組みとしてのe-F@ctoryだったという。

 「e-F@ctoryの基本コンセプトは、FA技術とIT技術を活用することで開発・生産・保守の全般にわたるトータルコストを削減し、お客様の改善活動を継続して支援すること。一歩先のものづくりを指向するためのソリューション提案」(森田氏)

 ソリューションを活用するステップは大きく3つに分かれている。ステップ1は「人+作業支援」、ステップ2は「人と機械の協働」、ステップ3は「知能化+自動化」だ。森田氏は各ステップについて、具体的なデモを見せながら、事例として紹介していった。

e-F@ctoryの活用で品質・設備情報を一元管理

 ステップ1の「人+作業支援」では、サーボアンプ組立ラインの事例がある。使用ドライバやネジ型名、現品画像などを表示するHMIと、使用ねじ指示、ねじ締め良否判定、トレーサビリティを行うシーケンサで構成され、さらに、各種データ分析の結果、表示される改善ポイントを可視化することにより、組立作業を効率化している。

 導入効果は、作業習熟時間の50%ダウン、新人教育工数の65%ダウン、後工程へのミス流出ゼロなどである。森田氏はポイントとして「部品の取り間違いの防止と電動ドライバの選択間違いの防止により不良流出がゼロにできたこと」「作業時間と冶具の改善ポイントを抽出し、設計工程へフィードバックしたこと」を挙げた。

 ステップ2の「人と機械の協働」では、電磁開閉器 ロボット組み立てセルシステムの事例を紹介した。ロボット(自動化)によりサイクルタイムを短縮するとともに、頻繁に発生する段取り替えは人作業により短時間で対応することで、生産性の高い変種変量生産を実現したものだ。

 導入効果としては、効果的な人作業の適用による生産性の30%アップ、工程集約・工法改善により“チョコ停”削減などで稼働率60%アップ、段取り替え工数ダウンで段取り工数85%ダウンなどだ。ポイントとしては「ロボットを活用して設備品質を向上させたこと」「e-F@ctoryを活用することで品質・設備情報を一元管理できるようになったこと」を挙げた。

 ステップ3の「知能化+自動化」については、タブレットからのユーザーの注文に応じて、工場内でロボットが自律的に動作し、マウスパッドとペンを製造するという、スマート工場のモデルを紹介した。

 また、注力している取り組みとして、エッジとクラウドを連携させたIoTや、パートナーと連携した「e-F@ctory Alliance」を説明。また、事例として、アマゾンジャパンの物流倉庫での稼働監視や三菱電機のAI技術「Maisart」を使ったスマート工場経営支援を紹介した。

 森田氏は最後に「IoT化自体が目的になってしまっているケースもあります。IoT導入にあたっての目的は何か、IoT化実現のためにどうすればいいか、目的と最適な手段の確認が重要です」とアドバイスした。

FAとITを組み合わせて「一歩先のものづくり」 FAとITを組み合わせて「一歩先のものづくり」
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