Oracle OpenWorld Tokyo 2012セッションレポート

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2012-05-15 11:00

[PR]Oracle OpenWorld Tokyo 2012、4月4日の日立製作所の講演では、日立のサーバ仮想化技術であるVirtageとOracle製品を組み合わせて、相互の特長を活かし障害や災害に強いシステムを構築した具体例、検証結果を交えた解説が紹介された。

基幹システムに求められる3つの課題

 講演のはじめ、芳野氏は「クラウドのメリットはコストの低減とスケーラブル、柔軟な運用性だ。このクラウド的な要件は、もちろん基幹システムにとっても有用だが、過度なリソースの効率化や柔軟性追求には危険な面もある」と語った。その上で、基幹システムを支えるITにはクラウド的な要素に加え、優れた性能安定性、セキュリティ、事業継続性の確保という3つの要素が必要だと強調した。


日立製作所
情報・通信システム社 ITプラットフォーム事業本部
担当部長 芳野泰成氏

 オラクルの高信頼化機能と日立のプラットフォームで提供するハードウェアベースの仮想化機構Virtageを組み合わせることで、基幹システムの3つの課題を解決できるというのが、今回の日立の提案だ。

 オラクルの高信頼化機能のひとつであるReal Application Clusters(RAC)は、Oracleデータベースのアクティブ-アクティブ型のクラスタリング技術。ロードバランス型のクラスタリング構成をOracleデータベースで実現する。高速なフェイルオーバー、ダウンタイムの最小化などの可用性とスケーラビリティを兼ね備えたデータベース製品だ。

 一方、日立のVirtageは、同社のブレードサーバBladeSymphonyで提供しているx86サーバを使い、コア技術に独自のLPAR(Logical PARtitioning)型の軽量ハイパーバイザを採用したサーバ仮想化技術。ハードウェア論理分割方式に基づく仮想化方式で、UNIXサーバと同レベルの高信頼・高性能の実現を目指した製品となっている。

占有モードで帯域保証し、性能を安定化

 コンソリデーションを行う際、過度にVMを詰め込んだり、サイジングを誤ると性能が不安定になったりする可能性がある。「例えばVM同士でリソースを奪い合う、あるいは隣のVMが非常に負荷がかかりだした場合、当該VMにもその影響が及ぶといったように性能がぶれる。しかし、基幹システムにおいては、そのような性能の不安定性は許されない。そのため、帯域保証という考え方が必要になる」(芳野氏)という。

 これに対して、Virtageは複数のリソース割付の設定が可能だ。とくに帯域保障の面では占有モードの割付が可能でこれが有効となる。例えば、CPUリソースを占有割付した場合、「複数のOSを制御するソフトであるハイパーバイザの介在(ディスパッチオーバーヘッド)が減少するとともに、それぞれが、特定論理プロセッサーで固定的に動作するためキャッシュなどのコントロールの乱れも少なく、予想性能を確保できるという特長がある」と芳野氏は語った。

オーバーヘッドなくデータベースを暗号化し、セキュリティを強化

 次に芳野氏はセキュリティについて解説した。「トラフィックの盗聴、ディスクの直接参照、バックアップメディアの盗難などは、アクセスコントロールだけでは防げない。したがって、データそのものを暗号化する必要がある」(芳野氏)という。

 インテル Xeonプロセッサー 5600番台が搭載するAES-NI (Advanced Encryption Standard New Instructions) を用いた暗号化では、暗号化、復号をハードウェアで高速化するため7つの命令セットが追加されており、高速実行が可能となっている。

 Virtageは、AES-NIをサポートしており、Oracle Transparent Data Encryption (TDE)とインテル AES-NI を組み合わせることで、データベース暗号化処理を飛躍的に高速化し、データベースの暗号化とパフォーマンスの両立を実現する。暗号化処理の高速化の検証結果では、暗号化を行わない場合と比較してほぼ同等の処理時間を実現していることを示した。CPUの使用率についても、AES-NIを使用することにより、ソフトウェアによる処理と比べて大幅にCPUパワーを削減できることが実証されたとしている。

壊れたときにもサービスを止めない高可用化技術

 3番目の課題となる事業継続性について芳野氏は、Oracle DatabaseとVirtageによる事業継続性の実現方法を提案した。

 サービスを止めないための対策のひとつは「障害隔離」だ。「これにはVirtageの部分障害閉塞機能が威力を発揮する」と芳野氏はいう。「Virtageは、ハードウェアに部分障害が発生した場合もそれを使っていたLPARには障害が発生するが他のLPARには障害は伝播しない。影響部位のみを切り離し、システムの他の部分は処理を継続することが可能」なのだという。

 さらに、Oracle RACとVirtageの組み合わせも事業継続性の観点から有用である。ここで、VirtageはWindows環境とLinux環境の両方でOracle社からの認定を受けており、Oracle社からの正式サポートが得られる点が強味であると芳野氏はいう。Oracle RACとVirtageを組み合わせた代表的なユースケースや顧客事例も紹介された。

 また、壊れてもサービスを止めずに復旧する稼動時保守機能も説明された。「理論的にはライブマイグレーションで移行すればサービスは止まらないが、そうはいっても基幹で動いているデータベースシステムをその状態で動かすのはリスクが高い。しかし、Virtageの稼働時PCIホットプラグ機能は、隣のLPARは性能影響を受けずに稼働できるため、OSを稼働させたまま故障したI/Oカードを交換することができる」(芳野氏)。そのため、重要な業務に影響を与えることなく復旧することが可能だという。

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