2日目の基調講演は、デジタル改革担当大臣の平井卓也氏のメッセージの後で、えがおホールディングスの前田真輔氏がスピーチを担当。さらにマイクロソフトは、デジタルトランスフォーメーション(DX)を実現するために、効果的なガバナンスの実施が不可欠であると強調した。
オンライン会議や書類作成のデジタル化を支援する社内データの状態管理、マルチデバイスの統合管理、クラウドにおける適切なセキュリティ設定などは、いずれも現場のガバナンス活動に分類できる。Day2は、現場を把握するための仕組みを構築することによるガバナンス実施と、それに伴うコンプライアンスやセキュリティへの取り組みの重要性がテーマとなった。
Day2のスピーカー
デジタル庁で一気に世界との差を縮める
平井氏からは9月1日に設立予定のデジタル庁について、「国が使うシステム予算全体の司令塔になる」と位置づけを話す。中でも、サイバー攻撃への準備は重要であり「できるだけ早くインシデントを検出し対応する体制が必要」とデジタル庁が積極的にガバナンスを利かせていくことを示唆。その際に、全体のシステムの維持管理コストを下げるためにも、クラウドを採用せざるを得ないと考えており「クラウド前提のセキュリティはデジタル庁のテーマ」と話した。
さらに、これに沿って、地方自治体と連携した取り組みや、デジタル庁が実施している人材募集についての考えを示すなど、注目のデジタル庁について、責任者の立場から豊富なメッセージを届けた。
「コロナ禍でわかったのは、世界の科学技術が大きく進歩していること。日本はやや出遅れているが、デジタル庁発足で一気に追いついていくつもりだ」(平井氏)
脱PPAPなどセキュリティ投資への考え
平井氏がいわば日本の情報セキュリティ戦略を解説した後、一転して実践的な内容となったのが、えがおの前田氏の講演である。
ガバナンス活動の1つと言える承認における押印業務の自動化に、PowerAutomateとSharePointOnlineによる仕組みを採用、また脱PPAP(パスワード付きzipファイルをメールで送り、パスワードを別送すること)に向けてAzure Information Protectionの導入を準備していることに触れ、さらにコストと時間の削減策などについても詳しく紹介している。
マルチデバイスの統合管理などマイクロソフトのソリューション提供
Day2の後半では、マイクロソフトがDXによる新たな体験を提示していくことをテーマに、具体的なソリューションにも触れた。
日本マイクロソフトのMicrosoft 365 ビジネス本部 本部長の山崎善寛氏が指摘したのは、マルチデバイスの統合管理による体験だ。デバイスポリシーのデジタル化による一元管理により、安全なBYODの利用を促進できるとする。そこから「Intune」によるマルチデバイスの動的ポリシー制御の可能性や「Azure Security Score」による社内データの状態管理にも触れている。
続いて、Microsoft Security Response Teamの垣内由梨香氏が、昨今話題になっており、不安を持つユーザーも多いというクラウドにおけるセキュリティ設定方法について、IT部門を対象に紹介した。クラウドの適切なガバナンス体制により、自宅や外出先で安心、安全にリモートワークを実施するための考え方について、詳しく話している。
さらに、Microsoft 365ビジネス本部の春日井良隆氏は、テレワークを実践する企業にとって重要な選択肢になっているTeamsについて、セキュリティとコンプライアンスの観点から説明している。データの暗号化や多要素認証などに対応し、ユーザー動向をトラックしないなどプライバシー保護を実現していることなど、より適切なガバナンス体制を構築できることを解説している。