無線LANトラブルシュートのケーススタディ
ここで、「AirCheck G2」や「OneTouch AT G2」を利用した、いくつかの利用ケースを紹介しよう。
ケース1:意外な伝播経路
無線LANは電波で通信を行っているため、しばしば金属製の壁やダクトなどで反射され、思わぬ場所にまで伝播していく。工場や店舗のレイアウトを変更したとき、あるいはAPを増設したときなどに、それまで問題となっていなかった伝播経路がAPどうしの干渉を発生させてしまうことがある。しかし、そのような電波状況の把握はNIerでも手間がかかる作業のため、調査を依頼すれば多額の費用が発生してしまう。
これに対し、AirCheck G2を使えば自社エンジニアが各APの電波の広がりを把握できるため、干渉を見極めながらAP配置や周波数帯(チャンネル)設定を調整していくなどの対応が可能となる。頻繁なレイアウト変更にも、大きなコスト負担を伴うことなく無線LAN環境を安定して運用し続けることができる。
ケース2:ローグAP
無線LANネットワークは、ユーザーが勝手に持ち込んだAP(いわゆるローグAP)による干渉を受けることもある。特に近年では、携帯Wi-Fiルータやスマートフォンのテザリング機能が普及しており、ローグAPは頻発傾向だ。うっかり電源を切り忘れたまま施設内に入ってきてしまうケースもあるだろうし、店舗などでは位置情報を利用したゲームのモンスターやアイテムを探索するために入ってくるケースもあるだろう。だがこれらは短時間で出ていってしまうことも多く、無線LANエンジニアの到着を待っていると原因を解明できないままになる可能性も高い。
AirCheck G2を現場スタッフに持たせれば、電波状況を見ながらローグAPを探索し、電波源を携帯していると思われる来客に対応を求めるといった対応が可能になる。また、ローグAPの情報を収集・蓄積することで、トラブルが生じにくいようなAP配置やチャネル設定などをIT部門が立案できるようになる。
ケース3:保守員の定期チェック
近隣の別の施設から新たな干渉が発生するといったこともあるため、無線LANによる安定した通信を提供するためには、定期的なチェックと対策が欠かせない。NetScoutでも、トラブルが生じてからのリアクティブ対処だけでなく、トラブルを未然に防ぐプロアクティブな対応プロセスを推奨している。
施設利用者向け無線LANサービスでは、トラブルがあっても業務に支障が出ないことから現場の従業員も気付かず、そのまま放置されかねない。すると無線LAN利用者の不興を買い、ひいては自社イメージまで悪化する可能性がある。しかしエリアが広域に及んでいたり、またAPの数が膨大であったりする場合、その全てを高頻度に巡回すれば人的負担が大きくなりすぎてしまう。
こういった場面では、日頃から施設を巡回する保守員にAirCheck G2を持たせ、「日常業務のついでに」無線LANのチェックをしてもらうという方法が考えられる。巡回経路の中でいくつかのポイントを指定し、そこで数分間だけ無線LAN状況のチェックを実施してもらえば済む。無線LANサービスの管理チームは、そうして得られたデータを管理用ソフトで確認し、問題がありそうな箇所だけ対処するというわけだ。この管理プロセスは、実際に大手私鉄が全駅に公衆無線LANを導入した際に取り入れ、大きな負担増もなくサービスの維持・メンテナンスを実現している。