ネットワークトラブルは現場で起こる。ネットワークにおいては、どれほど緻密な設計を行い、運用管理ツールなどを駆使していても、いわゆる足回り部分のアクセスネットワークの問題を完全に解消できるわけではない。特に近年ではオフィスをはじめとするビジネスの現場において無線LANが広く使われるようになり、「繋がらない」「切れやすい」「速度が出ない」といった問題が深刻な影響を及ぼすようになってきた。例えば工場や倉庫ではハンディ端末で検品したはずのデータの一部がサーバに届かなかったり、小売店ではPOSレジへのタイムセール情報配信が遅れる、医療機関では投薬指示が端末で確認できなくなるなど、無線LANトラブルにより業務に支障が出る。
障害を解消するには原因究明が不可欠だが、複雑な技術が組み合わさっている今のネットワークでは、その切り分けが難しくなっている。例えば端末の設定が原因なのか、無線LANアクセスポイント(AP)の設定か、あるいはAPとスイッチの間の問題なのか、はたまたログインやセキュリティ関連のシステムや、その先のインターネット回線、利用しようとしているサービスの問題か……。社内のITサポート部門やネットワークインテグレータ(NIer)のエキスパートでなければ対処は困難だ。つまりIT部門にとっては本来業務の妨げとなり、NIerなら費用が発生する。そしていずれにせよ、来てもらうまでの時間、ずっと現場の業務は止まったままだ。
また呼ばれる側のネットワークエキスパートにとっても、無線LANの接続問題の原因を突き止め解決するのは骨が折れる仕事だ。ある程度のスキルやノウハウを持った人材でも、状況を把握するためには何種類ものツールを駆使するのが一般的であり、それぞれのツールを準備してはチェックして、また別のツールでチェックするといった面倒な作業となるからだ。
「誰でも簡単に扱えるネットワークテスタ」が無線LANの問題解決フローを変える
こういった場面で役立つのが、ネットワークテスタやネットワークアナライザと呼ばれる専門ツールである。電気街のネットワーク専門店には置いていることもあるが、一般的な家電店などにはなく、高価な機材が多いので、存在を知っている人には「プロ用ツール」として認知されていることだろう。
このネットワークテスタを代表するのが、米国ネットスカウトシステムズ(以下、ネットスカウト)の製品だ。エンジニアなら旧ブランド「Fluke」と言えば通じるだろう。計測機器メーカーFlukeの子会社Fluke Networksが手掛けていたエンタープライズ向けネットワークテスタ製品群を、アプライアンス型ネットワークモニタリング製品を手掛けるネットスカウトが2年前に買収し、以降ネットスカウトがラインアップを強化しながら販売している。
図1:ネットスカウトの無線テスタ「AirCheck G2」(左)と
ネットワークテスタ「OneTouch AT G2」(右)
ネットスカウトでは現在、ポケットサイズの有線ネットワークテスタ「LinkSprinter」から、無線LAN環境全般の調査に役立つ無線アナライザ「AirMagnet」まで、様々なネットワークテスタ・アナライザ製品群を取り揃えている。
その中で、無線LAN環境のトラブル初期対応(リアクティブ)や予防(プロアクティブ)に適しているのは、最新の無線テスタ「AirCheck G2」とネットワークテスタ「OneTouch AT G2」だ。いずれもIEEE802.11ac 3×3まで対応し、非802.11信号も含めた電波状況の可視化から、各APおよび端末の詳細把握、さらには有線LANポートを使ったバックエンドネットワーク検証まで、無線LAN環境の試験に必要な機能を一台で網羅する。
ネットワーク技術を知る人が使えば、その作業効率を格段に向上させ、問題解決までの時間を短縮することができるのは言うまでもない。しかしそれだけではなく、ネットワークに詳しくない人でも簡単に扱えるよう工夫された製品となっているのが大きなポイントだ。
あらかじめ一連のテスト項目をプリセットしておいて現場に配置しておくことで、問題が発生したときにも現場の普通のユーザーの手で即座に必要なテストを行うことができる。電源を入れたら、タッチ画面でプリセットを選ぶだけで計測開始だ。しかも、その結果は専用クラウドサービス「Link-Live.com」を通じてIT部門などに転送され、現場が遠隔地でも詳細を把握することが可能だ。これにより、エンジニアが現場に出向いて対応する場面を減らすことができ、リモートで措置できる範囲なら迅速な解決が期待できるというわけだ。
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AirCheck G2は専用機材だけに機能は充実。無線LANテスタには無料または安価に利用できるスマートフォン用アプリも存在するが、その機能は端末やOSに依存し、多くの場合はテストできる範囲が限られる。
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エンジニアが自ら現場に出向かなくても、現場の誰かがAirCheck G2でテストしてくれれば、このように詳細なデータを簡単に得られる。またテスト結果を管理するためのソフトを無償で提供しており、それを利用することでドキュメント化も容易にできる。