急激に伸びているGCPのDXに有効な機能とユースケースを紹介~SCSK 講演レポート

2021-01-08 11:00

[PR]「ZDNet Japan Summit 2020 Go to デジタルノーマル~Digital as a New Normal 企業変革の未来航海図~」に、SCSKのITマネジメント事業部門 サービス開発推進部の岸岡学氏が登場。

11月4日から12月2日まで開催されたオンラインイベント「ZDNet Japan Summit 2020 Go to デジタルノーマル~Digital as a New Normal 企業変革の未来航海図~」に、SCSKのITマネジメント事業部門 サービス開発推進部の岸岡学氏が登場。「Googleの最新技術で実現するDX時代のデータ分析&利活用~SCSKが提供する最先端DWHとAI/機械学習を使ったGCP実装サンプルのご紹介」をテーマに講演を行った。

SCSKがGoogleクラウドのパートナー認定を取得

 SCSKはアプリケーションの開発から基盤の構築、システムの運用、BPO、ハードウェア、ソフトウェアの販売といった、ITに関わる必要なソリューションをフルラインナップで提供しているSIerである。顧客が製造業や流通業、金融業、通信業など幅広い業種・業態に及んでいることも特徴で、日本の約8000社にITサービスを提供している。

 働き方改革やダイバーシティといった取り組みにも注力しており、しばしばメディアにも取り上げられている。特に、残業時間と年次有給休暇の取得日数を指標に社員の健康促進に取り組んでおり、10年前と比較すると1カ月あたりの残業時間は約27時間から約18時間へと60%削減、年次有給休暇の取得日数は平均12日から18.1日と1.5倍になっている。社員の仕事とプライベートの両立を支援する、働きやすい会社であるとした。

 SCSKでは、2020年5月にGoogleクラウドのパートナー認定を取得し、GCP(Google Cloud Platform)のビジネスを開始している。これにより、SCSKが提供する「USiZE(ユーサイズ)パブリッククラウドモデル」に従来のAWSとAzureに加え、新たにGCPがラインアップされた。USiZEは、SCSKのデータセンターからお客様の環境を提供するプライベートモデルとシェアードモデル、パブリッククラウドに付加価値をつけて再販するパブリッククラウドモデルの3種類を提供している。

SCSKが提供する「USiZEパブリッククラウドモデル」
SCSKが提供する「USiZEパブリッククラウドモデル」

「イマ」GCPが注目されている理由

 続いて岸岡氏は、調査会社による資料を示した。日本国内のクラウド市場は年間平均成長率が16.2%と活況であり、その中核はSaaSからPaaSおよびIaaSへシフトしている。これは、汎用業務をSaaSで行うことが一般的になり、さらに特定業務もクラウドで行えるようPaaSおよびIaaSのニーズが高まっているためであるとした。

 クラウド事業者の売上状況をみると、AWSとAzureが二大巨頭として確固たる地位を築いているが、GCPも3位と猛追している。年間平均成長率はAWSとAzureが30%弱であるのに対し、GCPは63.2%と驚異的な伸びを示している。この躍進の背景には、Googleの持つ多数の優れたPaaSサービスがある。また、GCPを語る上で切り離させないことにDX(デジタルトランスフォーメーション)があると岸岡氏は言う。

クラウド市場におけるGoogleの成長率
クラウド市場におけるGoogleの成長率

 岸岡氏はDXを「ビジネスを動かすユーザー自身が主役となりながら、トライ&エラーでサービスを選びながら自身が変革を促進していく」と定義。DX時代を迎えた今、お客様、ユーザー自身、そして私たちSIerに求められているミッションも変わってきている。SCSKも、お客様が変革していく上で足りないIT要素や知見を適切なタイミングで埋めていくことが求められているとした。実際に中期経営計画では、従来のSoR系の事業に加え、SoE/DX系の事業も推進するとしている。

 SoE/DX系の事業で重要となるキーワードには、マルチクラウド、コンテナ、データ統合・分析、AI・機械学習がある。GCPは後発であるがゆえの尖った領域でのニーズが多く、優れたサービスを持っている。GCPではそれぞれ「Anthos」「BigQuery」「AutoML」といったソリューションとなる。

GCPが得意とする「尖った」領域
GCPが得意とする「尖った」領域

GCP活用の具体的なユースケース

 岸岡氏はGCPの3つの強みの中から、データ統合・分析とAI・機械学習を取り上げ、ユースケースを紹介した。一般的なクラウド型データ活用基盤は、データを貯めておく「データレイク」、データを分析する「DWH(データウェアハウス)」、分析したデータを参照する「BI(ビジネスインテリジェンス)」、そしてさらに解析して活用していく「AI・機械学習」という構成になる。

 これをAWSで実装すると、Amazon S3にデータを貯めてRedShiftで分析し、QuickSightで見る。そしてAIのサービスやAmazon SageMakerで解析・活用していくことになる。GCPでは、Google Cloud Storageにデータを貯め、DWHにはサーバーレスのBigQuery、BIにはLookerのほか、グラフィカルに表示できるData Portalや、BigQueryのテーブルをそのままExcelに結合できるConnected Sheetsなど、多様なサービスが用意されている。

 AI・機械学習においても、Googleが学習させている機械学習APIをはじめ、自動的な学習が可能なAutoML、開発者向けのAIプラットフォームなどもあり、初心者から上級者まで対応する幅広いサービスを持っている。

クラウド型データ活用基盤の一般的な構成
クラウド型データ活用基盤の一般的な構成

 サンプル実装の1つ目として、岸岡氏は流通業向けの顧客分析基盤の例を示した。顧客に関する分析用データが社内に点在しており、活用できていないという課題から、データを収集・結合して分析担当が顧客分析を行える環境を作りたいというニーズである。

 まず、受注管理、ECサイト、商品管理のそれぞれのシステムから、属性データやECサイトでの行動履歴、商品情報といったデータをクラウドストレージにデータレイクとして貯め込み、それをフラットファイルとして加工し、BigQueryでDWH化する。そして、BigQueryからConnected Sheetsにテーブルを連動させたExcelで、データの分析担当が見る。こうした極めてシンプルな構成で環境を作ることができる。

流通業向けの顧客分析基盤のユースケース
流通業向けの顧客分析基盤のユースケース

 岸岡氏は、1つ目の発展形となる2つ目のサンプル実装を紹介した。これは需要/供給管理システムの事例で、価格競争が非常に激化していることを背景に、過去の膨大なビッグデータを分析・利活用して最安値のタイミングで仕入をしたいというニーズに応えたもの。

 SCSKではまず、お客様が使用している商品販売のシステムと調達システムに蓄積された過去の販売データや調達実績、契約情報などをデータレイクとしてクラウドストレージに投入し、BigQueryを使ってDWH化した。

 そして、DWHに対して機械学習のサービスであるAutoMLにより、いつが買い時であるかを推論する。推論した結果を、次世代BIツールであるLookerを経由してグラフィカルに表示し、調達担当者が確認して買い時を判断する。なお、推論の精度を向上するために学習データを追加して推論のルーチンを繰り返している。

需要/供給管理システム向けに、データ分析と機械学習を組み合わせて提供
需要/供給管理システム向けに、データ分析と機械学習を組み合わせて提供

 3つ目のサンプル実装は、製造業における設計書データの可視化である。このお客様は、膨大な数の設計書が紙とデータでさまざまな場所に存在しており、ドキュメント検索ができないため業務効率が悪いという課題を抱えていた。そこで、設計書をデータ化してタグを付け、社内で類似事例を検索・ヒットできるようにしたいという依頼であった。

 SCSKでは、クラウドストレージのデータレイクを用意し、データはそのまま投入、紙の設計書はスキャンしてデータ化して投入した。そしてデータレイクに対して、Googleが提供している学習済みのAIを使ってデータの内容を分析した。AIにより分類されたデータを、VisionAPIという画像認識機能、DocumentAIというOCR機能、Natural LanguageAPIという自然言語解析機能で内容のタグ付けを実施した。

 Googleが学習させたAIなので、このままではお客様固有の単語や業界用語には対応できない。そこでもう一つ、機械学習のAutoMLを使って独自の用語を学習させてタグを追加、その結果をBigQueryに格納してデータの整形・加工を実施し、ユーザーがComputeEngine経由でデータを閲覧・検索できるようにした。岸岡氏は、3つのサンプル実装はいずれもGCPのサービスのみで完結でき、非常に簡単に実装できるとした。

データと紙の設計書をAI/MLサービスを使い合わせることにより分類、可視化
データと紙の設計書をAI/MLサービスを使い合わせることにより分類、可視化

GCPを素早く活用するために

 続いて岸岡氏は、ユースケースで取り上げたような環境を、素早く簡単に活用できるSCSKのサービスについて紹介した。SCSKの「USiZEパブリッククラウドモデル(GCP)」は、GCPの基盤の構築であるインテグレーションサービス、リソース提供サービス、請求の代行・アカウント管理サービス、SCSKのSEによるテクニカルサポートサービスなどを提供している。

 フェーズごとに見ると、企画・検討フェーズでは、AWS、Azure、GCPの3大クラウドすべてに対応しており、お客様の用途に合わせて最適なクラウドを提案し、グラウンドデザインを作成する。設計・構築フェーズでは、100以上のパブリッククラウドの構築実績から、短期間、低コスト、高品質でお客様が求める環境をSCSKが実装、実施することが可能だ。

 運用・保守においても、Webコンソールベースに加えてGoogle Meetというビデオ会議ツールをベースとした、顔の見えるサポートも提供している。お客様のコンソールをSCSKのSEが一緒に見ながら障害対応や課題解決をするといったサポートも可能となっている。

SCSKの「USiZEパブリッククラウドモデル(GCP)」
SCSKの「USiZEパブリッククラウドモデル(GCP)」

 SCSKでは、「DX促進キャンペーン」も実施している。これはキャンペーン期間中、テクニカルサポートの無償提供や、リソース費用の半額をSCSKが負担するもので、GCPを気軽に素早く利用することが可能となる。キャンペーン期間は2021年3月31日までとなっている。岸岡氏はキャンペーンの適用条件についても説明した。

 岸岡氏はまとめとして、GCPは優れたPaaSを持っていることから市場で注目されており、現在もっとも伸びているメガクラウドであること。また、マルチクラウド領域に加えて、ビッグデータ基盤とデータを持っていること、AI・機械学習などに非常に強さがあることなどを挙げた。SCSKでも非常に引き合いが多く、お客様のニーズに合ったサンプル実装をご紹介できるとした。さらにキャンペーンも実施しているので、ぜひ声をかけて欲しいとして、講演を締めくくった。

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