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ID活用でメディアは新たな収益源を創出できる――「コンテンツ×ファンビジネス」の実事例と可能性

2023-05-29 11:00

出版社や音楽・動画事業を提供している企業向けに、コンテンツビジネスに特化したIDサービス、マーケティングツール、オンラインストア基盤などから構成されるソリューション「Uniikeyz」を提供しているコンテンツデータマーケティング。同社では個々の消費者をIDで一意に識別し、複数のサービスで情報共有して分析していく「IDx」をコンセプトに掲げ、それを活用した仕組みで「コンテンツ×ファンビジネス」の拡大に貢献しようとしている。

同社は2023年4月26日、そうした「コンテンツ×ファンビジネス」を積極的に進めている企業をスピーカーに招いたオンラインイベント「Uniikeyz of the Day act.1」を開催した。ここでは「Uniikeyz」を導入し、ビジネスに活用してきた実例を紹介する3社の「business session」の内容を紹介する。

データを大事にしつつ、自分たちの直感も大事にするクーリエ・ジャポン

 1つ目のセッションは、講談社でクーリエ・ジャポンの編集長を務める南氏。クーリエ・ジャポンは2005年に創刊し、「ニューヨーク・タイムズ」「ル・モンド」「ガーディアン」など、欧米をはじめ世界中のメディアの記事を日本語で伝えてきた国際情報に特化した媒体だ。

株式会社講談社 クーリエ・ジャポン 編集長 南浩昭氏
株式会社講談社
クーリエ・ジャポン 編集長
南浩昭氏

 当初は紙雑誌として発行していたが、2016年に完全にWebメディアへ移行。有料の「プレミアム会員」のほか、有料会員向けの記事を月2本まで読める「無料会員」、無料記事のみ読める「ゲスト」の3タイプの会員システムを採用している。

 無料会員とゲストの仕組みを追加したのは2021年秋のこと。これによってより多くのユーザーの動きが把握できるようになり、管理データが大量に増加。一段とデータ活用の重要性が高まったことから、会員のログインシステムやデータ分析に「Uniikeyz」を導入し活かしている。それに基づき、媒体運営の改善につなげた実例を南氏が披露した。

 1つは雑誌ならではの「特集主義」的な考えからの脱却。雑誌ではその号における「特集」のテーマの強さが売れ行きに影響することが多く、Web移行後もしばらくは特集記事を毎週読めることをウリにしていたという。しかし、Webサイト内での読者の行動を見ると、「特集記事から別の特集記事に流れることは多くない」ことがわかった。そのため、雑誌時代のように一時的に集中掲載する「特集」ではなく、毎月掲載の「連載」という形の見せ方を意識するようにした。

紙雑誌では重要なファクターだった「特集」だが、Webでは必ずしもそうではないことがわかった
紙雑誌では重要なファクターだった「特集」だが、Webでは必ずしもそうではないことがわかった

 2つ目は掲載する記事ジャンルの変化。紙雑誌ではビジネス系記事が人気だったことからWeb移行後もそれを踏襲していたが、Webでは必ずしもそうではないことがデータから見えてきた。たとえば「人生観を変えるような“生き方”、“教養”に関するものなど、生活に役立つ記事」の満足度が高く、プレミアム会員登録に進んでいる率が高いことが明らかになったという。

「世界から見た日本」の記事がプレミアム会員登録に進んでいる率が高いこともわかっている
「世界から見た日本」の記事がプレミアム会員登録に進んでいる率が高いこともわかっている

 ただし、同社はデータだけに頼ることはしていない。定期的に開催しているプレミアム会員との「オンライン交流会」などで、会員から生の声を聞き、その意見をもとに方針を決めることも大事にしている、と南氏。「データに縛られてしまうと、来てくれる読者層が狭くなってしまう」とし、「データも大事だが、自分たちの考えで動くことも大事」と釘を刺す。収益拡大を狙うにはデータを活かすことも重要だが、それがすべてではない、という意識をもつことも大切なのかもしれない。

凸版印刷が「BX」でビジネス変革した総合出版社の事例

凸版印刷株式会社 情報コミュニケーション事業本部 ビジネストランスフォーメーションセンター 課長 後藤達明氏
凸版印刷株式会社
情報コミュニケーション事業本部
ビジネストランスフォーメーションセンター 課長
後藤達明氏

 続くセッションでは、「コンテンツ×ファンビジネス」を全社で実現していく方法について、凸版印刷の後藤氏が自社の手がけた実例をもとに紹介した。

 同社では、企業のビジネス変革を支援する「BX(ビジネストランスフォーメーション)」を推進しており、これをテクノロジー導入の「DX」と、顧客チャネルを強化していく「CX」、そして社内の業務プロセスを変革する「EX」という3つの要素を包含するものとして定義している。

凸版印刷が推進する「BX」は、「DX」「CX」「EX」の3要素を包含するものとして定義している
凸版印刷が推進する「BX」は、「DX」「CX」「EX」の3要素を包含するものとして定義している

 たとえば「コンテンツ×ファンビジネス」を目指す企業に向けては、ファンのデータを管理する「Uniikey」などのID・データ管理基盤の構築(DX)、ファンの熱量を高めるさまざまな体験サービスの実現に向けた取り組み(CX)、ファン理解にもとづく創造的な業務への集中を可能にする運用体制の提供(EX)といった支援を行っている。

 こうしたコンテンツビジネスのBXにより、従来型の「チャネル中心」から「ファン中心」へシフトしていくには、ファンを識別するためのIDを管理し、コンテンツ体験を横断的に提供できるようにする必要がある。そのためには現場だけでなく会社全体として進めていくための体制づくりや全社理解が不可欠だ。

 しかし、「部門の利益にはつながるが、全社のメリットとして理解されにくい」「少量多品種の事業モデルとなり、各部門のニーズに合わせたデータ活用にはコストがかかる」といった課題にもぶつかりやすい、と後藤氏。

 それらの課題を解決しながら進めることができた実例として同氏が挙げたのは、同社が手がけたとある総合出版社におけるBXの中身だ。まずは凸版印刷側が、BXが「出版社のビジネスにおいてどういった価値を提供するのか」といった点をロードマップ化して提案。続いて個人情報管理に関わるMA(マーケティングオートメーション)業務を一元化するため、専属の運用チームとMAツールをセットで提供し、編集・宣伝部門が個人情報を抱えるような余計なリスクを排除した。

 さらに社内データについても一元管理して活用を広げるべく、凸版印刷のデータエンジニアリングチームがCDP(カスタマーデータプラットフォーム)によって各部門を可視化。ID基盤の「Uniikey」を導入することで、ここでも編集部門が個人情報を扱わないことによるリスク低減を図った。

 その一方で、出版社では「事業部門ごとにビジネスモデルや課題が異なっている」ことから、各部門の特性に応じた個別提案も行った。たとえばコミック編集部では「ヒット作品の育成と継続の判断の仕方」に課題があったため、作品を評価するためのダッシュボードを構築。別の編集部では「(雑誌等における)広告収入、販売収入とは別の収益源の創出」が求められていたため、読者に直接販売可能なD2C(消費者直接取引)型のサービスを提供したという。

 ただし、そのような個別対応はしつつも、1つのID基盤を共通で使用することで、コスト面でも合理的な仕組みにできたという。こうした「ファン中心」のビジネスを目指すうえで重要なツールが「Uniikey」であるとし、「凸版のソリューションと併用することで、よりビジネスが強化され、足りない部分を補える」として、その導入メリットを強くアピールした。

Webメディアの強みはストラテジックなメディアプランニング能力にある

 3つ目のセッションでは、共働き世代に向けたWebメディア「with class」を運営する講談社の岡本氏と、デジタルマーケティングで企業を支援しているCARTA COMMUNICATIONS(CCI)の岸岡氏が対談し、将来のメディアビジネスについて議論を交わした。

株式会社講談社 with事業部 部次長 岡本朋子氏
株式会社講談社
with事業部 部次長
岡本朋子氏

 トピックの1つ目は、「サードパーティクッキーが使えなくなることで、PV重視のメディアは広告収入が減るのか」という岡本氏の質問。これは、特定のユーザーの行動を複数のWebサイト間で把握可能にするサードパーティクッキーが、2023年中にはWebブラウザー側でその機能を停止するという事情が背景にある。ユーザーのネット上の行動をもとに表示内容を変化させている広告は特に影響が大きいとされ、広告出稿に頼っているWebメディアも収益を減らしてしまう恐れがあるわけだ。

 これについて岸岡氏は、かつて「欧州で同様の規制が始まったとき、広告単価が下落して3分の2くらいになった」というプラットフォーマーのエピソードを引き合いに出した。しかし下落は一時的なものに止まり、代替手段が出てきたことで半年から1年程度で元の広告単価に戻るという結果に。このことから、サードパーティクッキーの廃止によって短期的にはWeb媒体の収益が下がる可能性はあるものの、同氏は「対策を打つ事で、中長期的には戻るのではないか」と見ている。

 とはいえWebメディアとしては、広告に頼ることなく収益を確保する方法も考えなければならない。Webメディアのマネタイズ手法としては今後何が有望なのか。それに対して岸岡氏は「新しいことをやろうとしなくてもいいと思っている」とシンプルに切り返す。雑誌やテレビなどマスメディアのなかで行ってきたもの、その矛先を「デジタルに切り替えるだけで、十分にマネタイズできるポイントがあるのではないか」と話す。

株式会社CARTA COMMUNICATIONS 取締役 岸岡勝正氏
株式会社CARTA COMMUNICATIONS
取締役
岸岡勝正氏

 サードパーティクッキーを使用せず、読者を自社Webサイトの会員にすることで情報取得しやすくする手法も考えられる。ただ、共働き世代がターゲットである「with class」においては、「その時その人がどういう状況にあるのか、(個人情報を)アップデートしていくことが重要」と同氏。なぜなら同じ共働き世代でも、子供の有無や子供の年齢などによって抱える課題は大きく変わってくることが考えられるためだ。したがって、そのような状況の違いに合わせてコンテンツを出し分けることが重要だとした。

Webメディアが抱える課題について議論を重ねる岡本氏と岸岡氏
Webメディアが抱える課題について議論を重ねる岡本氏と岸岡氏

 最後に岸岡氏は、Webメディアが強みを発揮できるのは、これまでに培ってきた「メディアプランニング」の能力にあると強調した。Webメディアには広告・宣伝の手法、露出タイミングなどについてストラテジックに考えられる能力があるはずだとし、それをクライアント企業とともに親身に考えていけること、それがWebメディアの強みであり、かつこれからのメディアに必要なことではないか、と主張する。

 「デジタルの登場で情報量が多くなり、あれこれやらなければならないと思ってしまうかもしれないが、今までやってきたことをデジタルという基盤を使って同じようにやればいい」と岸岡氏。基本に立ち返り、「ストラテジックに(クライアント企業と)一緒に考えて、ムーブメントをどうやって作っていくか、どういう人に光を当てるべきか」を追求していってほしい、と語った。

【動画】Uniikeyz of the Day act.1コンテンツビジネスは「IDx」で次の時代へ

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