2012年中堅・中小企業における「帳票」の利用実態とユーザ評価

ノークリサーチは2012年の国内中堅・中小市場における「帳票」の社数ベースの導入シェアおよびユーザ企業による製品/サービス評価に関する調査を実施し、その分析結果を発表した。

株式会社ノークリサーチ

2012-11-02 15:00

<従来の定型データ出力ニーズに加え、今後はBIとの兼ね合いにも留意する必要あり> ■富士通、SAPジャパン、ウイングアークの上位三社がそれぞれの導入社数シェアを堅持 ■ASP/SaaS形態の導入はまだわずか、スマートデバイスはBI活用の広がりが大きく影響 ■機能の豊富さ、機能の追加/変更の容易性、他システムとの連携性が重要な評価項目 ■「ERPなどの業務システムから自社の求める書式に従って出力」というニーズが依然高い
PRESS RELEASE(報道関係者各位) 2012年11月2日

2012年中堅・中小企業における「帳票」の利用実態とユーザ評価

調査設計/分析/執筆: 岩上由高


ノークリサーチ(本社〒120-0034 東京都足立区千住1-4-1東京芸術センター1705:代表:伊嶋謙ニTEL:03-5244-6691URL:http//www.norkresearch.co.jp)は2012年の国内中堅・中小市場における「帳票」の社数ベースの導入シェアおよびユーザ企業による製品/サービス評価に関する調査を実施し、その分析結果を発表した。本リリースは「2012年版中堅・中小企業のITアプリケーション利用実態と評価レポート」の「帳票」カテゴリに関する速報である。


<従来の定型データ出力ニーズに加え、今後はBIとの兼ね合いにも留意する必要あり>
■富士通、SAPジャパン、ウイングアークの上位三社がそれぞれの導入社数シェアを堅持
■ASP/SaaS形態の導入はまだわずか、スマートデバイスはBI活用の広がりが大きく影響
■機能の豊富さ、機能の追加/変更の容易性、他システムとの連携性が重要な評価項目
■「ERPなどの業務システムから自社の求める書式に従って出力」というニーズが依然高い


対象企業: 日本全国/全業種の500億円未満の中堅・中小企業
対象職責: 以下のいずれかの権限を持つ社員
「情報システムの導入や運用/管理の作業を担当している」
「情報システムに関する製品/サービスの選定または決裁の権限を有している」
調査実施時期: 2012年8月
有効回答件数: 1400社(有効回答件数)
※調査対象の詳しい情報については右記URLを参照 (リンク »)


■富士通、SAPジャパン、ウイングアークの上位三社がそれぞれの導入社数シェアを堅持
以下のグラフは年商500億円未満の中堅・中小企業に対し、「導入済みの製品/サービスのうち最も主要なもの」を尋ねた結果(導入社数ベースのシェア)である。※調査実施に選択肢として挙げた製品/サービスの一覧は本リリースの末頁を参照
2011年の調査では「Interstage ListCreator」「CrystalReports」「SVFシリーズ」の順となっていたが、2012年の上位シェア順位もこれと変わらない状況となっている。
シェア上位の三製品はいずれも幅広いユーザ企業層で導入されており、年商に比例した顕著なシェア傾向は見られない。
導入年別の傾向では「Interstage ListCreator」と「SVFシリーズ」は継続的に各年での導入が見られる一方、「CrystalReports」については2009年以降からの導入が他の二製品と比べてやや少なくなっている。


■ASP/SaaS形態の導入はまだわずか、スマートデバイスはBI活用の広がりが大きく影響
以下のグラフは「導入済みの製品/サービスのうち最も主要なもの」の運用形態を尋ねた結果である。
「自社向けに独自開発し、社内人員にて運用」「自社向けに独自開発し、運用をアウトソース」は2011年ではそれぞれ19.5%、1.9%、2012年には15.6%、4.4%となっている。「自社向けに独自開発し、運用をアウトソース」は若干増加となったが、全体的には独自開発システムからパッケージへの遷移がまだ少し続いている状況と考えられる。
一方で、「ASP/SaaS形態のサービスとして利用」については2011年では0.6%、2012年では0.7%とほぼ横ばいとなっており、全体に占める割合はわずかに留まっている。業務システムが社内で構築/運用されている状態で帳票のみをASP/SaaS形態にする例まだ少なく、現段階ではCRMなどに代表されるASP/SaaS形態の業務システムに帳票機能を提供する役割が主体といえる。
以下のグラフは「導入済みの製品/サービスのうち最も主要なもの」の端末環境を尋ねた結果である。
「スマートフォン」については2011年では2.5%、2012年では3.7%、「タブレット型端末」については2011年では1.9%、2012年では7.4%といずれも増加している。特にタブレット型端末については、大きな画面を活用して経営層向けにデータを提供するといった利用が考えられる。今後もDWH・BIと併せて、タブレット型端末での帳票活用は徐々に増えていくものと予想される。ただし、経営層だけではない一般社員にも利用を広げるためには個々の社員が「自分が必要とする観点でのデータ(グラフの軸設定など)を手軽に表示/作成できる」といった「セルフサービスBI」への取り組みも併せて重要となってくる。


■機能の豊富さ、機能の追加/変更の容易性、他システムとの連携性が重要な評価項目
本調査では
「導入/サポートの価格は妥当か」
「機能が足りているか」
「動作が軽快かどうか」
「自社の要件に合致しているか」
「初めてのユーザもすぐに操作を習得できるか」
「慣れたユーザにとって操作が煩わしくないか」
「他システムとの連携手段が整っているか」
「不具合や誤動作はないか」
「プログラミングによる機能の追加/変更(カスタマイズ)がしやすいか」
「設定変更などプログラミングを伴わない形での機能の追加/変更がしやすいか」
といった数多くの項目について五段階評価で製品/サービス別にユーザ企業による評価を行っている。
以下および次頁にかけてのグラフは「導入済みの製品/サービスのうち最も主要なもの」の評価をユーザ企業に尋ねた結果のうち、以下の三項目についての結果を製品/サービス別にプロットしたものである。
「機能が足りているか」
「他システムとの連携手段が整っているか」
「設定変更などプログラミングを伴わない形での機能の追加/変更がしやすいか」
帳票では様々な業務システムからのデータを取り込み、ユーザ企業の多様なニーズに応じて出力する必要があるため、機能の豊富さ、他システムとの連携、機能の追加/変更といった評価ポイントが重要となってくる。
帳票ではユーザ企業が使いこんでいくにつれて要求も厳しくなってきやすい。そのためシェア上位製品であってもユーザ企業の評価がやや低い項目もあるが、これは必ずしもその製品の絶対的な機能や品質が劣ることを示すものではなく、導入されてからどれくらいの時間が経過しているか?という点も併せて捉えていく必要がある。
【評価ポイント算出方法】
五段階評価結果を「大変不満:-5ポイント」「多少不満:-3ポイント」「どちらでもない:0ポイント」「まあまあ満足:3ポイント」「大変満足:5ポイント」と重み付けし、ある評価項目「項目a」について、「A社の「大変不満」という回答件数= H1」「A社の「多少不満」という回答件数= H2」「A社の「どちらでもない」という回答件数= H3」「A社の「まあまあ満足」という回答件数= H4」「A社の「大変満足」という回答件数= H1」と定義した場合に、以下の計算式によって算出している。
A社の項目aに関する評価ポイント
= ( H1×(-5) + H2×(-3) + H3×0 + H4×3 + H5×5) ÷ A社の項目aに関する回答件数合計
(各製品/サービスの利用件数自体が少ない場合には、その点に留意が必要である)


■「ERPなどの業務システムから自社の求める書式に従って出力」というニーズが依然高い
以下のグラフは帳票の活用における今後の指針または重視事項を尋ねた結果である。
「手軽に帳票書式を定義できる仕組み」「複雑な帳票書式への対応」「ERPなどの基幹系業務システムとの連携」「紙面帳票書式の忠実な再現」といった項目が多く挙げられている。このことから、中堅・中小企業においては、「ERPを中心とした業務システムのデータを既存の紙文書も含めた自社の求める書式で手軽に出力したい」といったニーズが依然として高いといえる。
以下のグラフは上記と同様の帳票の活用における今後の指針または重視事項を尋ねた結果を年商別に集計したものである。「手軽に帳票書式を定義できる仕組み」「複雑な帳票書式への対応」「ERPなどの基幹系業務システムとの連携」といった項目はいずれの年商帯においても多く挙げられている。このことから「ERPを中心とした業務システムのデータを自社の求める書式で手軽に出力したい」というニーズは中堅・中小企業全般に当てはまる傾向と考えられる。また、「紙面帳票書式の忠実な再現」については年商5億円以上~50億円未満の中小企業層で比較的ニーズが高い。


■調査対象製品/サービス一覧
本調査では帳票を「業務システム内のデータを整形して出力するアプリケーション」と定義している。
導入社数ベースシェアに関する設問に掲載した選択肢は下記の通りである。
選択肢に記載する製品/サービス名は前年調査の結果やベンダの製品リリース状況などを反映して毎年の調査実施毎に改訂を行っている。(「その他」の自由回答欄に多く挙げられたものは次年の調査で明示的な選択肢に加えるなど)

Crystal Reports SAPジャパン(ビジネスオブジェクツ)
SVFシリーズウイングアーク
biz Stream ブレインセラーズドットコム
OPRO Xシリーズ日本オプロ
imageWAREシリーズキヤノン(キヤノンマーケティングジャパン)
Report Viewer Ⅱ キヤノン(キヤノンマーケティングジャパン)
Interstage List Creator 富士通
RepoAgent 富士通北陸システムズ
BIP10 PFU
FiBridgeⅡ JFEシステムズ
快速サーチャーインテック
Report Mission 日立ソフトウェアエンジニアリング
NEOSS インフォコム
Create! Form インフォテック・アーキテクツ
シーオーリポーツ電脳販売
PrintProシリーズJBAT
伝発名人ユーザックシステム
PrintStream Core Suite アクシスソフト
帳票DASH! / XRF ビーエスピー
伝助ヘキサード
Pandra-AX NTTデータビジネスブレインズ
業務システムのオプションとして導入したため詳細は不明
上記以外のパッケージ製品またはサービス
独自開発システム(オープンソースをベースとしたもの)
独自開発システム(ベースとなるものがない完全なスクラッチ開発)


本リリースの元となっている「2012年版中堅・中小企業のITアプリケーション利用実態と評価レポート」の詳細は下記URLを参照
(リンク »)

本データの無断引用・転載を禁じます。引用・転載をご希望の場合は下記をご参照の上、担当窓口にお問い合わせください。
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当調査データに関するお問い合わせ
株式会社ノークリサーチ担当:岩上由高
東京都足立区千住1-4-1東京芸術センター1705
TEL 03-5244-6691 FAX 03-5244-6692
inform@norkresearch.co.jp
www.norkresearch.co.jp
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