年商規模別に見た場合の中堅・中小企業におけるクラウド活用のシェア動向と課題

ノークリサーチは中堅・中小企業におけるクラウド活用のシェア動向や課題などを年商規模別に把握する調査を実施し、その分析結果を発表した。

株式会社ノークリサーチ

2022-03-30 12:00

<システム規模の大きな大企業とは異なる、中堅・中小企業に固有の特徴を掴むことが大切> ■グーグルや日本マイクロソフトと比較すると、AWSは年商規模による導入傾向差が小さい ■年商別+業種別の導入傾向によって、自社の顧客層に適したサービス選択が見えてくる ■年商5~300億円には管理/運用の負担軽減、5億円未満にはデータ保存場所として訴求 ■クラウド適用での最大の課題は「古いシステムの残存」と「トラブル対処時の低い自由度」
PRESS RELEASE(報道関係者各位) 2022年3月30日

年商規模別に見た場合の中堅・中小企業におけるクラウド活用のシェア動向と課題

調査設計/分析/執筆: 岩上由高


ノークリサーチ(本社: 〒160-0022東京都新宿区新宿2-13-10武蔵野ビル5階23号室:代表:伊嶋謙ニ TEL:03-5361-7880URL:http//www.norkresearch.co.jp)は中堅・中小企業におけるクラウド活用のシェア動向や課題などを年商規模別に把握する調査を実施し、その分析結果を発表した。本リリースは「2021年版 中堅・中小企業のDXにおけるクラウド活用実態セミカスタムレポート」のサンプル/ダイジェストである。


<システム規模の大きな大企業とは異なる、中堅・中小企業に固有の特徴を掴むことが大切>
■グーグルや日本マイクロソフトと比較すると、AWSは年商規模による導入傾向差が小さい
■年商別+業種別の導入傾向によって、自社の顧客層に適したサービス選択が見えてくる
■年商5~300億円には管理/運用の負担軽減、5億円未満にはデータ保存場所として訴求
■クラウド適用での最大の課題は「古いシステムの残存」と「トラブル対処時の低い自由度」


調査対象企業: 年商500億円未満の中堅・中小企業700社(日本全国、全業種)(有効回答件数)
調査対象職責: 経営層およびIT活用の導入/選定/運用に関わる立場
調査実施時期: 2021年5月中旬
※詳細は右記の調査レポート案内を参照 (リンク »)


■グーグルや日本マイクロソフトと比較すると、AWSは年商規模による導入傾向差が小さい
本リリースの元となる調査レポートでは次頁に掲載した選択肢を列挙して、DXに伴うITソリューションで導入済み/導入予定のIaaS/PaaS事業者を尋ねている。以下のグラフはその中から、「アマゾンウェブサービスジャパン(AWS)」「グーグル」「日本マイクロソフト」の3社の結果を年商別に集計したものだ。
グーグルは小規模企業層と中堅中位企業層で高い回答割合を示している。ただし、小規模企業層についてはユーザ企業自身の選択だけでなく、中小規模のSIerによる提案も影響していると考えられる。 日本マイクロソフトは中堅下位企業層における値が相対的に低く、その上位/下位の年商帯になるにつれて値が徐々に高くなっている。後述するように、既存のWindows環境における管理/運用の手順を維持したいと考える割合が高いことが要因として考えられる。一方、アマゾンウェブサービスジャパン(AWS)は他の2社と比べると年商規模による差異が少ない。IT企業が中堅・中小企業に対してクラウド活用を訴求する際にはこうした年商規模による違いも踏まえておくことが大切だ。次頁以降ではこうした観点からの分析結果の一部を調査レポートのサンプル/ダイジェストとして紹介している。


■年商別+業種別の導入傾向によって、自社の顧客層に適したサービス選択が見えてくる
本リリースの元となる調査レポートでは以下の選択肢を列挙して、DXに伴うITソリューションで導入済み/導入予定のIaaS/PaaS事業者を尋ねている。(選択肢は過去の調査結果や昨今の市場動向を元に年毎に選定/調整を行っている)
<<クラウド事業者/データセンタ事業者>>
アマゾンウェブサービスジャパン 例) 「Amazon Web Services」
グーグル 例) 「Google Cloud Platform」
セールスフォース・ジャパン 例) 「Salesforce Platform」
富士通クラウドテクノロジーズ 例) 「ニフクラ(NIFCLOUD)」
IIJ 例) 「IIJ GIO」
GMOインターネットグループ 例) 「GMOクラウド」
さくらインターネット 例) 「さくらのクラウド」
Alibaba Cloud(SBクラウド) 例) 「Alibaba Cloud」
IDCフロンティア 例) 「IDCFクラウド」
<<ベンダや販社/SIerを兼ねているクラウド事業者>>
日本マイクロソフト 例) 「Microsoft Azure」
日本IBM 例) 「IBM Cloud」
日本オラクル 例) 「Oracle Cloud Infrastructure」
NEC 例) 「NEC Cloud」
富士通 例) 「FUJITSU Cloud Service」
日立システムズ 例) 「リソースオンデマンドサービス」
サイボウズ 例) 「kintone」
フリービット 例) 「freebit cloud」
<<キャリア系のクラウド事業者>>
NTTコミュニケーションズ 例) 「SDPFクラウド/サーバー(旧:Enterprise Cloud)」
NTT東日本、NTT西日本 例) 「Bizひかりクラウド」
ソフトバンク 例) 「ホワイトクラウド ASPIRE」
KDDI(関連会社含む) 例) 「KDDIクラウドプラットフォームサービス」
楽天コミュニケーションズ 例) 「楽天クラウド」
前頁に掲載したグラフは上記の中から、「アマゾンウェブサービスジャパン(AWS)」「グーグル」「日本マイクロソフト」の3社を抜粋して年商別に集計した結果である。本リリースの元となる調査レポートでは年商だけでなく、業種、従業員数、地域、IT管理/運用の人員規模、ビジネス拠点の状況といった様々な企業属性別の集計も行っている。例えば、以下のグラフは上記3社の導入状況(導入済み/導入予定)を業種別に集計したものだ。 建設業では日本マイクロソフト、卸売業や小売業ではグーグル、IT関連サービス業ではアマゾンウェブサービスといったように業種によっても回答割合の高いIaaS/PaaS事業者が異なっていることが確認できる。IT企業としてはこうした傾向を踏まえつつ、ITソリューションの基盤とするクラウドサービスを適切に選んでいくことが重要となってくる。


■年商5~300億円には管理/運用の負担軽減、5億円未満にはデータ保存場所として訴求
本リリースの元となる調査レポートでは、以下の選択肢を列挙して、中堅・中小企業がITソリューションにクラウドを適用する際の目的や方針についても尋ねている。

<<目的に関する項目>>
システムの可用性を高めるためにクラウドを適用する※ 例) アクセスが急に増えた場合でも停止しないシステムを構築する
システムの拡張性を高めるためにクラウドを適用する 例) データ容量が増えた場合も迅速に容量を追加できるようにする
システムを迅速に構築するためにクラウドを適用する 例) オンプレミスと比べて、半分の期間でサーバの稼働を開始する
管理/運用の作業を軽減するためにクラウドを適用する※ 例) 複数のサーバを統一管理できるクラウドサービスを利用する
<<システムに関連する項目>>
新規システム導入ではクラウドを全面的に適用する 例) 新規のCRMをPaaSとSaaSの組み合わせのみで構築する
クラウドに固有のサービス部品を積極的に活用する 例) データ分析とコンテンツ配信のクラウドサービスを利用する
既存システムの追加部分にクラウドを適用する 例) オンプレミスのCRMにeコマース機能をクラウドで追加する
既存システムをクラウド移行と同時に改善する 例) 既存の会計管理パッケージを変更してクラウドに移行する
既存システムをそのままクラウドへ移行する 例) 既存の会計管理パッケージをそのままクラウドに移行する
既存システムをクラウド移行後に改善する 例) 既存のERPをそのままクラウドへ移行し、その後に刷新する
クラウドのシステムをオンプレミスに移行する 例) 販売管理を一旦SaaSに移行したが、オンプレミスに戻す
<<管理/運用に関連する項目>>
データ保存場所として積極的にクラウドを選択する※
クラウドとオンプレミスのデータ連携を推進する
<<その他>>
その他:

以下のグラフは上記の中から※のついた項目を年商別に集計した結果を抜粋したものだ。
クラウド適用の目的として「システムの拡張性」を挙げる割合は年商規模が大きくなるにつれて高くなり、中堅上位企業層を除くいずれの年商帯においても3割未満に留まっている。一方、「管理/運用の作業軽減」の割合は中小企業層や中堅の下位/中位企業層においても3割前後に達している。 また、「データ保存場所としてクラウドを選択する」という方針の割合は小規模企業層で4割弱の高い値を示している。したがって、中堅・中小企業の裾野にクラウド活用を更に広めるためには「管理/運用の作業を軽減する手段」(中小企業層や中堅の下位/中位企業層 = 年商5~300億円)や 「データの保存場所としての役割」(小規模企業層 = 年商5億円未満)を訴求することが有効と考えられる。


■クラウド適用での最大の課題は「古いシステムの残存」と「トラブル対処時の低い自由度」
さらに、本リリースの元となる調査レポートでは中堅・中小企業がクラウド適用において直面する課題についても以下の選択肢 を列挙して尋ねている。

<<システム関連の項目>>
クラウドを適用できない古いシステムが残存している※1
自社が求める業務仕様をクラウドでは実現できない
データの性質上、外部委託することができない※4
データの漏洩や消失が発生する可能性がある※3
オンプレミスとクラウドサービスを連携できない
複数のクラウドサービスを連携できない
<<管理/運用に関する項目>>
クラウドに移行すると、管理/運用の手順が変わる※5
トラブルが発生した時に自社で対処できなくなる※2
アカウントがクラウドサービス毎に散在してしまう
クラウドサービス毎のアクセス権限管理が煩雑
ネットワーク環境を全て刷新しなければならない
クラウド事業者側の都合でシステムが停止する
IT担当/部門がクラウドを扱うことができない
<<費用に関する項目>>
クラウド適用に必要な作業と費用が算出できない
オンプレミスより費用が高額になる場合がある
年額/月額での課金に対応することが難しい
<<その他>>
クラウドを適用する必要があるか?判断できない
取引先や顧客がクラウドの適用を望んでいない
既存の販社/SIerがクラウド適用を推奨しない
その他:
今は判断できない(排他)
課題は全くない(排他)

以下のグラフは上記の中から、中堅・中小企業全体において回答割合の高かった※のついた5項目を年商別に集計した結果を抜粋したものだ。
「データの漏洩/消失」(※3)や「データの性質による制約」(※4)はいずれの年商帯において概ね2割以下に留まっており、適切な対策および制度の変更や慣習の変化などによって今後は徐々に軽減されていくと予想される。一方、中堅の中位/上位企業層では「古いシステムの残存」(※1)が3割超で最も高く、中小と中堅下位の企業層では「トラブル対処の自由度の低さ」(※2)の割合が最も高く、※1がそれに続いている。IT企業としては「古いシステムの更新を促すと共に、昨今ではユーザ企業側の自由度が高いIaaSもあることを啓蒙する」ことが重要と考えられる。また、中堅下位企業層では「管理/運用の手順が変わる」(※5)の回答割合が高い点にも注意が必要だ。 同年商帯におけるこうした現状維持志向の強さが冒頭のグラフで述べた導入傾向にも影響していると考えられる。本リリースの元となる調査レポートにはこれまで述べてきた内容に加えて、クラウド種別(物理占有の有無など)や必須と考える支援や関連サービスなどに関する集計データも含まれる。

本リリースの元となる調査レポート

『2021年版 中堅・中小企業のDXにおけるクラウド活用実態セミカスタムレポート』

DXに伴うクラウド活用を「現行システムの単なるクラウド移行」に終わらせないために、IT企業は何をすべきなのか?

【対象企業属性】(有効回答件数:700社)
年商: 5億円未満 / 5億円以上~50億円未満 / 50億円以上~100億円未満 / 100億円以上~300億円未満 / 300億円以上~500億円未満
従業員数: 20人未満 / 20人以上~50人未満 / 50人以上~100人未満 / 100人以上~300人未満 / 300人以上~500人未満 /500人以上~1000人未満/ 1000人以上~3,000人未満 / 3,000人以上~5,000人未満 / 5,000人以上
業種: 組立製造業 / 加工製造業 / 建設業 / 卸売業 / 小売業 / 運輸業 / IT関連サービス業 / 一般サービス業
地域: 北海道地方 / 東北地方 / 関東地方 / 北陸地方 / 中部地方 / 近畿地方 / 中国地方 / 四国地方 / 九州・沖縄地方
その他の属性: 「IT管理/運用の人員規模」(12区分)、「ビジネス拠点の状況」(5区分)
【調査レポートの提供内容】
通常の調査レポートは「集計データ(Microsoft Excel形式)」と「分析サマリ(PDF形式)」で構成されているが、本調査レポートでは以下の内容が提供される。
・集計データ(Microsoft Excel形式)
通常の調査レポートと同様の集計データ(各設問を業種、年商などの企業属性を軸として集計した結果)
・分析サマリ(Microsoft Powerpoint形式)
購入される企業様が分析対象となる業種区分(全8項目)または年商区分(全5項目)の合計13項目から5項目を選び、購入企業様のニーズを踏まえながら、それらの分析結果を15~20スライドにまとめたもの
例) 中堅の製造業向けにIaaS活用を訴求しているので、業種は「組立製造業」と「加工製造業」、年商は「50~100億円(中堅下位企業層)」「100~300億円(中堅中位企業層)」「300~500億円(中堅上位企業層)」を選んで、合計5項目とする
例) 業種には依存しないホスティングサービスを展開しているので、「5億円未満(小規模企業層)」「5~50億円(中小企業層)」「50~100億円(中堅下位企業層)」「100~300億円(中堅中位企業層)」「300~500億円(中堅上位企業層)」の5つの年商区分を選んで合計5項目とする
・オンラインブリーフィング
上記の分析サマリの解説とQ&Aを行う90分のオンラインブリーフィング(Microsoft Teams, Zoom, WebExが対応可)を1回実施
このように個別ニーズを踏まえた「分析サマリ」を作成し、オンラインブリーフィングと組み合わせた形態を 「セミカスタムレポート」と呼ぶ。提供内容の更なる詳細は右記のレポート案内を参照。 (リンク »)
【価格】 350,000円(税別) 【発刊日】 2022年3月28日

ご好評いただいている既刊の調査レポート 各冊180,000円(税別)

「2021年版中堅・中小企業のITアプリケーション利用実態と評価レポート」
ERP/ 会計/ 生産/ 販売/ 人給/ ワークフロー/ コラボレーション/ CRM/ BIなど10分野の社数シェアとユーザによる評価を網羅
レポート案内: (リンク »)
「2021年版中堅・中小向け5G/ネットワーク関連サービスの展望レポート」
ローカル5G、ゼロトラスト、エッジコンピューティングなどの新たなNW活用を普及させるためには何が必要か?
レポート案内: (リンク »)

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当調査データに関するお問い合わせ

株式会社 ノークリサーチ 担当:岩上 由高
〒160-0022 東京都新宿区新宿2-13-10 武蔵野ビル5階23号室
TEL 03-5361-7880 FAX 03-5361-7881
Mail: inform@norkresearch.co.jp
Web: www.norkresearch.co.jp
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