2024年 中堅・中小企業におけるHCIの社数シェアと導入障壁

ノークリサーチは中堅・中小企業におけるHCI(ハイパーコンバージドインフラ)の社数シェアおよび導入障壁に関する調査を行い、その結果を発表した。

株式会社ノークリサーチ

2024-03-25 12:00

<オーバースペックを防ぐ適切なサイジングを行えば、中堅・中小向けのHCI市場はさらに拡大する> ■HCIの導入済み割合は18.0%、廃止率が1.6%に留まる一方で、28.0%の導入予備軍が存在 ■今後期待されるHCI新規導入の社数シェアではデル・テクノロジーズとHPEが比較的優勢 ■オーバースペック提案がHCIの大きな導入障壁、適切なサイジングを行う取り組みが重要
PRESS RELEASE(報道関係者各位) 2024年3月25日

2024年 中堅・中小企業におけるHCIの社数シェアと導入障壁

調査設計/分析/執筆: 岩上由高


ノークリサーチ(本社〒160-0022東京都新宿区新宿2-13-10武蔵野ビル5階23号室 代表:伊嶋謙ニ TEL:03-5361-7880URL:http//www.norkresearch.co.jp)は中堅・中小企業におけるHCI(ハイパーコンバージドインフラ)の社数シェアおよび導入障壁に関する調査を行い、その結果を発表した。本リリースは「2024年版 サーバ&エンドポイントにおけるITインフラ導入/運用の実態と展望レポート」のサンプル/ダイジェストである。


<オーバースペックを防ぐ適切なサイジングを行えば、中堅・中小向けのHCI市場はさらに拡大する>
■HCIの導入済み割合は18.0%、廃止率が1.6%に留まる一方で、28.0%の導入予備軍が存在
■今後期待されるHCI新規導入の社数シェアではデル・テクノロジーズとHPEが比較的優勢
■オーバースペック提案がHCIの大きな導入障壁、適切なサイジングを行う取り組みが重要


調査件数: 700社(有効回答件数)
対象企業: 中堅・中小企業(年商500億円未満)および大企業(年商500億円以上)(日本全国、全業種)
対象職責: ITインフラ関連の決裁、計画立案、選定/導入、管理/運用のいずれかを担う職責
※調査対象の詳しい情報については本リリース4ページを参照

■HCIの導入済み割合は18.0%、廃止率が1.6%に留まる一方で、28.0%の導入予備軍が存在
本リリースの元となる調査レポート「2024年版 サーバ&エンドポイントにおけるITインフラ導入/運用の実態と展望レポート」では有効回答件数700社(年商500億円未満の中堅・中小企業が9割、比較のため年商500億円以上の大企業を一部含む)のユーザ企業を対象として、HCI(ハイパーコンバージドインフラ)の導入状況、社数シェア、管理/運用などにおける課題を分析している。以下のグラフはその中から「HCIの導入状況」の一部を抜粋したものだ。(グラフ内の選択肢に関する詳細は次頁を参照) 「導入済み」の割合は18.0%だが、「判断不可」や「不要」を除いた潜在的なHCI導入予備軍である「未導入」の割合は40.4%に達している(左側グラフ)。その内訳(右側グラフ)を見ると、今後のHCI導入が期待できる「未導入&検討」と「未導入&予定」の合計割合は28.0%である。したがって、近い将来にはHCIの導入割合が46%に達する可能性も十分考えられる。
また、左側の円グラフにおける「導入あり&廃止」(過去に導入したが、やめてしまった場合)の値は1.6%とごく僅かに留まっている。このように導入後の廃止が少ない点もHCIが有望なサーバ商材として期待されている大きな要因の1つと考えられる。
ここでは詳細は割愛するが、本リリースの元となる調査レポートでは「導入済み」についても、「導入済み&拡大」 「導入済み&維持」 「導入済み&縮小」といった内訳を分析し、HCI導入済みのユーザ企業において更なるHCI活用の活性化を進めるためには何をすべきか?も提言している。次頁以降では中堅・中小企業におけるHCIの社数シェアや導入障壁に関する分析結果の一部をサンプル/ダイジェストとして紹介している。

■今後期待されるHCI新規導入の社数シェアではデル・テクノロジーズとHPEが比較的優勢
本リリースの元となる調査レポートでは、以下に列挙した選択肢を設けてHCIの詳細な導入状況を集計/分析している。
P1. HCIの導入状況
未導入&検討 未導入だが、現在は検討を進めている
未導入&予定 未導入だが、今後導入する計画がある
未導入&停滞 未導入で、検討しているが進展がない
導入済み&拡大 導入済みであり、今後は規模を拡大する
導入済み&維持 導入済みであり、現在の規模を維持する
導入済み&縮小 導入済みであり、今後は規模を縮小する
導入あり&廃止 過去に導入していたが、やめてしまった
不要 自社にはHCIは不要と考えている
判断不可 未導入であり、何も判断できない
前頁のグラフはHCIの導入状況全体(前頁左側)と「未導入」における内訳(前頁右側)を有効回答件数700社全体で集計した結果を掲載したものだ。
さらに調査レポートでは、年商/業種/地域といった企業属性別の集計によって、「HCIの新規導入が期待できる年商帯はどこか?」や「導入済みHCI環境の拡充が見込める業種はどれか?」などを明らかにしている。 また、以下の一覧は導入済み/導入予定のHCI製品ベンダを尋ねた設問の選択肢である。
P2.導入済み/導入予定のHCI製品のベンダ名(複数選択可)
<<サーバ機器を主体とするベンダ>>
・デル・テクノロジーズ 例) 「Dell VxRail」、「Dell XCシリーズ」
・日本ヒューレット・パッカード(HPE) 例) 「HPE SimpliVity」、「HPE ProLiant DXシリーズ」
・レノボ・エンタープライズ・ソリューションズ 例) 「Lenovo ThinkAgile HXシリーズ」
・シスコシステムズ 例) 「Cisco Compute Hyperconverged」
・日本アイ・ビー・エム 例) 「Storage Fusion HCI System」
・NEC 例) 「NEC Hyper Converged System」
・富士通 例) 「FUJITSU Integrated System PRIMEFLEX」
・日立製作所 例) 「日立HCIソリューション」
・Huawei 例) 「Fusion Cube」
<<HCI基盤ソフトウェアを主体とするベンダ>>
・ヴイエムウェア(VMware) 例) 「VMware Virtual SAN」
・ニュータニックス・ジャパン(Nutanix) 例) 「Nutanix AOS ストレージ」
・日本マイクロソフト 例) 「Microsoft S2D」、「Azure Stack HCI」
<<その他>>
・その他:
・ベンダは決まっていない(排他)
HCIはサーバ機器とHCI基盤ソフトウェアで構成されているが、両者のベンダが異なる際には双方にチェックを付ける形式で尋ねている。
こうして得られた社数シェアの結果から、「導入済み&拡大」(左側)および「未導入&予定」(右側)の「サーバ機器主体のベンダ」(回答割合が5%以上)を抜粋したものが以下のグラフである。 突出して高い値を示すベンダは見られないが、HCIを導入済みのユーザ企業で更なる拡大が見込めるという点ではデル・テクノロジーズ、新たにHCI導入を予定する場合にはHPEとデル・テクノロジーズがやや優勢な状況となっている。
次頁では、HCIの導入提案でベンダや販社/SIerが留意すべき点は何か?を述べる。


■オーバースペック提案がHCIの大きな導入障壁、適切なサイジングを行う取り組みが重要
さらに、本リリースの元となる調査レポートではサーバ環境における全般的な課題とHCI導入有無との関連性、およびHCIに固有の課題に関する分析も行っている。以下は「HCIに関する課題(HCIに固有の課題)」を尋ねた選択肢の一覧である。
P3. HCIに関する課題(複数選択可)
<<選定や導入における課題>>
・自社に適したHCI製品が見つからない
・価格に見合う効果があるか分からない
・店舗/工場などには狭くて導入できない
・小さなシステム規模には適していない
・高性能かつ高価なサーバ機器が必要
・IaaS/ホスティングへの移行が困難
・メリット/デメリットが良く分からない
<<運用や保守における課題>>
・トラブル発生時の原因切り分けが困難
・HCI基盤ソフトウェアの更新作業が負担
・データ容量と比べてCPUやメモリが余る
・CPUやメモリと比べてデータ容量が余る
・サポート窓口が複数に分かれてしまう
・特定のサーバベンダに依存してしまう
・システムバックアップの方法が不明
・データバックアップの方法が不明
<<その他>>
・その他:
・課題は全くない(排他)
・判断できない(排他)
以下のグラフは本リリースの冒頭に掲載したHCIの導入状況で「未導入」または「導入済み」と回答したユーザ企業に対して上記に列挙したHCIにおける課題を尋ねた結果のうち、全体平均と比べて10ポイント以上高い値を示した項目を示したものだ。「未導入」のユーザ企業では「価格に見合う効果があるか分からない」という課題が多く、「導入済み」のユーザ企業では「小さなシステム規模には適していない」「高性能かつ高価なサーバ機器が必要」「データ容量と比べてCPUやメモリが余る」「CPUやメモリと比べてデータ容量が余る」といった課題が多く挙げられていることがわかる。
これらの課題はいずれも業務システムの要件(求められる規模、性能、容量など)に合致したHCI環境を提示できておらず、オーバースペック気味になっていることが主な要因と考えられる。つまり、導入前の段階ではやや過剰な提案であるためにユーザ企業が「価格に見合う効果が得られるのか?」に疑問を持ち、導入時には実際よりも大きなシステム規模を想定したサーバ環境を提案することで、CPU/メモリ/データ容量が余剰な状態になりやすい。いずれも経営層から見た場合には投資対効果の評価を下げる要因となるため、新規/追加の双方においてHCIの導入障壁となる課題だ。 当然ながら、将来を見越して余裕を持ったシステム構成を提案することは大切だ。また、サーバ筐体を単位としてシステム増強を行うHCIでは、データ容量とCPU/メモリのどちらか一方が余剰となる状況が生じやすいという根本的な制約もある。
しかし、「スモールスタートが可能であり、複雑なハードウェア構成を伴わずにスケールアウトできる」ことがHCIの利点であり、IT企業もそうしたアピールを行ってきた。その結果、ユーザ企業も同様の期待を抱いており、そうした期待と実際とのギャップが上記の課題として表れている。このギャップを少しでも解消するため、ベンダや販社/SIerとしては今後必要とされる処理量やデータ量についてユーザ企業と協議しながら、HCI導入におけるサイジングを最適化していく取り組みが重要となってくる。


本リリースの元となる調査レポート

『2024年版 サーバ&エンドポイントにおけるITインフラ導入/運用の実態と展望レポート』
サーバはクラウドファーストの加速とオンプレ回帰のどちらに進むのか?PCでWindows 11移行を加速させるための施策とは?

【対象企業属性】(有効回答件数:700社、調査実施期間:2024年3月)
職責: ITインフラ関連支出の決裁を下す立場である(215件) / ITインフラに関わる計画立案を担っている(155件) /ITインフラの選定や導入を担っている(171件) / ITインフラの管理/運用を担っている(159件)
年商: 5億円未満 (157件)/ 5億円以上~50億円未満(151件) / 50億円以上~100億円未満(120件) /100億円以上~300億円未満(103件) / 100億円以上~300億円未満(89件) / 500億円以上(80件)
業種: 組立製造業(89件) / 加工製造業(89件) / 建設業(87件) / 卸売業(87件) / 小売業(87件) /運輸業(86件)/ IT関連サービス業(87件) / 一般サービス業(88件)
従業員数: 20人未満(132件) / 20人以上~50人未満(65件) / 50人以上~100人未満(58件) /100人以上~300人未満(126件) /300人以上~500人未満(79件) / 500人以上~1,000人未満(81件) / 1,000人以上~3,000人未満(76件) /3,000人以上~5,000人未満(26件) / 5,000人以上(57件)
IT管理/運用の人員規模: 兼任1名(123件) / 兼任2~5名(148件) / 兼任6~9名(43件) / 兼任10名以上(44件) / 専任1名(42件) /専任2~5名(68件) / 専任6~9名(43件) /専任10名以上(61件) / 社内常駐の外部人材に委託(17件) / 非常駐の外部人材に委託(20件) /IT管理/運用は全く行っていない(46件) / 都度適切な社員が対応(42件) / その他:(3件)
ビジネス拠点の状況: 拠点は1ヶ所のみ(199件) / 2~5ヶ所、インフラは全拠点で統一管理(199件) / 2~5ヶ所、インフラは各拠点で個別管理(104件)/6ヶ所以上、インフラは全拠点で統一管理(121件) / 6ヶ所以上、インフラは各拠点で個別管理(76件)、その他:(1件)
本社所在地: 北海道地方(25件) / 東北地方(33件) / 関東地方(311件) / 北陸地方(20件) / 中部地方(96件) / 近畿地方(132件) /中国地方 (23件) / 四国地方(19件) / 九州・沖縄地方(41件)

【分析サマリ(調査結果の重要ポイントを述べたPDFドキュメント)の概要】
第1章: サーバ形態の推移(現状と今後)
業務システムのサーバ形態がオンプレミス(オフィス内設置、サーバルーム設置、ハウジング)とクラウド(IaaS/ホスティング、PaaS、FaaS(サーバレス/マイクロサービス))およびSaaSへとどのように推移したか?を以前から現状、現状から今後のそれぞれで分析し、クラウド移行の加速状況やオンプレ回帰の動向などを明らかにしている
第2章: 導入済み/導入予定のサーバOSとベンダ/サービス事業者
オンプレミスとクラウドの双方に渡る導入済み/導入予定のサーバOSおよびサーバのベンダ(オンプレミスの場合)/サービス事業者(クラウドの場合)を集計/分析している。
第3章: サーバ環境における現状の課題と今後の方針
サーバの管理/運用などにおいてユーザ企業が現状で抱える課題および今後の方針を集計/分析している。
第4章: ハイブリッドクラウドの動向
ハイブリッドクラウドの適用状況を「未適用&検討」「未適用&計画」「未適用&停滞」「適用済み&拡大」「適用済み&維持」「適用済み&縮小」「適用済み&廃止」などの多様な選択肢によって尋ね、さらに用途についても確認することでハイブリッドクラウド導入の障壁は何か?更なる拡大を図るためにIT企業が取り組むべきことは何か?を分析している。
第5章: HCI(ハイバーコンバージドインフラ)の動向
HCIの導入状況を「未導入&検討」「未導入&予定」「未導入&停滞」「導入済み&拡大」「導入済み&維持」「導入済み&縮小」「導入あり&廃止」などの多様な選択肢によって尋ね、HCI導入の障壁は何か?を明らかにすると共に導入済み/導入予定のベンダ社数シェアを集計/分析している。
第6章: ストレージの動向
オンプレミス/クラウド双方の業務システムにおける導入済み/導入予定のストレージ形態とその課題を集計/分析している。
第7章: エンドポイント環境のOSとベンダ
PCやスマートデバイスで利用するエンドポイント環境における導入済み/導入予定のOSおよびベンダの社数シェア(オンプレミス/クラウドのVDIや1to1リモートデスクトップ、データレスPC、データ分散PCなども含む)を集計/分析している。
第8章: Windows 11導入の動向と対策
Windows 11の導入状況を確認した上で、Windows 11への移行が進まない要因は何か?IT企業が取るべき施策は何か?を分析している
【発刊日】 2024年4月初旬予定 【価格】 225,000円(税別)

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株式会社 ノークリサーチ 担当:岩上 由高
〒160-0022 東京都新宿区新宿2-13-10 武蔵野ビル5階23号室
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