2024年 中堅・中小向け生産管理システムにもSaaSが新たな変化をもたらすか?

ノークリサーチはSaaS化が中堅・中小向け生産管理システム市場に与える影響に関する調査を行い、その結果を発表した。

株式会社ノークリサーチ

2024-10-10 12:00

<「中堅・中小向けの生産管理はSaaSに不向き」という従来の視点に固執しないことが大切> ■社数シェアだけでなく、「最も主要な生産管理システムとして導入されているか?」も重要 ■今後は「パッケージ(社内設置)」が減少する一方、「SaaS利用」は微増で1割に達する予想 ■SaaS形態の生産管理サービスでは「共同受注を支援する仕組み」が差別化ポイントの1つ
PRESS RELEASE(報道関係者各位) 2024年10月10日

2024年 中堅・中小向け生産管理システムにもSaaSが新たな変化をもたらすか?

調査設計/分析/執筆: 岩上由高


ノークリサーチ(本社〒160-0022東京都新宿区新宿2-13-10武蔵野ビル5階23号室 代表:伊嶋謙ニ TEL:03-5361-7880URL:http//www.norkresearch.co.jp)はSaaS化が中堅・中小向け生産管理システム市場に与える影響に関する調査を行い、その結果を発表した。本リリースは「2024年版 中堅・中小企業のITアプリケーション利用実態と評価レポート」の生産管理分野に関するサンプル/ダイジェストである。

<「中堅・中小向けの生産管理はSaaSに不向き」という従来の視点に固執しないことが大切>
■社数シェアだけでなく、「最も主要な生産管理システムとして導入されているか?」も重要
■今後は「パッケージ(社内設置)」が減少する一方、「SaaS利用」は微増で1割に達する予想
■SaaS形態の生産管理サービスでは「共同受注を支援する仕組み」が差別化ポイントの1つ


調査時期: 2024年7月~8月
対象企業: 年商500億円未満の中堅・中小企業1300社(日本全国、全業種)(有効回答件数)
対象職責: 情報システムの導入や運用/管理または製品/サービスの選定/決済の権限を有する職責
※調査対象の詳しい情報については本リリース5ページを参照


■社数シェアだけでなく、「最も主要な生産管理システムとして導入されているか?」も重要
左側のグラフは中堅・中小企業(年商500億円未満)における「生産管理」製品/サービスの導入済み社数シェアを単一回答と複数回答の場合で比較したものだ。4ページに列挙されているように本リリースの元となる調査レポートでは40超に渡る製品/サービスの社数シェアを集計/分析している。その中から単一回答の上位14製品/サービスを抜粋したものが以下のグラフだ。
一方、右側のグラフは製品/サービス毎に「主要製品/サービス率 = 単一回答シェア÷複数回答シェア」を算出した結果である。
この値が高いほど、最も主要な生産管理システムとして導入されている割合が高いことになる。5%超の単一回答シェアを示す上位5つの製品/サービスの中でも、「生産革新シリーズ」「OBIC7」は「EXPLANNER/J,Z」「Factory‐ONE電脳工場」「GLOVIAiZ生産/smartシリーズ」と比べて主要製品/サービス率の値が高い。シェア数値が同じ場合でも、最も主要な生産管理システムとしての位置付けを確保できているか?によって今後の展開は大きく変わってくる。次頁では主要製品/サービス率に影響する要因は何か?を確認していく。


■今後は「パッケージ(社内設置)」が減少する一方、「SaaS利用」は微増で1割に達する予想
本リリースの元となる「2024年版 中堅・中小企業のITアプリケーション利用実態と調査レポート」では年商、業種、従業員数、地域などの基本的な企業属性だけでなく、以下に列挙した「導入元」「導入年」「運用形態」などの様々な観点から計10分野に渡る業務アプリケーションの社数シェアやユーザ評価を集計/分析している。

製品/サービスの導入元
・最も主要な委託先/購入先(プライムの販社/SIer)
・主要ではない委託先/購入先
・開発元ベンダからの直接購入
製品/サービスの導入年
・2020年以前
・2021年
・2022年
・2023年
・2024年
製品/サービスの運用形態
<<パッケージ>>
・パッケージ(社内設置)
・パッケージ(データセンタ設置)
・パッケージ(IaaS/ホスティング利用)
<<独自開発システム>>
・独自開発システム(社内設置)
・独自開発システム(データセンタ設置)
・独自開発システム(IaaS/ホスティング利用)
・独自開発システム(PaaS利用)
<<SaaS>>
・SaaS利用

ITアプリケーション開発/拡販の施策を練る際はこうした様々な視点から市場を把握することが大切だ。例えば、以下のグラフは生産管理における導入済み社数シェア(単一回答)のうち、シェア上位5製品/サービスの値を導入元別に集計した結果である。
「生産革新シリーズ」と「OBIC7」は「最も主要な委託先/購入先」および「開発元ベンダからの直接購入」におけるシェア数値が高いことがわかる。実際、両者は自社または100%子会社による開発体制を採っており、製品/サービスの開発とシステムインテグレーションが一体化または極めて近い状態となっている。この点が前頁に述べた「主要製品/サービス率」の高さに大きく影響していると考えられる。ここでは詳細を割愛するが、運用形態におけるSaaS利用の比率も「主要製品/サービス率」を左右する。(SaaS利用の比率と主要製品/サービス率の相関関係がプラス/マイナスのいずれか?も調査レポート内で述べている) さらに、「生産管理」製品/サービスの運用形態を導入済み/導入予定で比べた左記のグラフが示すように、今後はパッケージ(社内設置)が減少する一方、SaaS利用は微増となっており、1割超に達しようとする傾向が確認できる。
次頁ではこうした生産管理におけるSaaS利用をどのように捉えるべきか?の詳細について述べていく。

■SaaS形態の生産管理サービスでは「共同受注を支援する仕組み」が差別化ポイントの1つ
中堅・中小企業向け生産管理システムではユーザ企業毎のカスタマイズも発生しやすいため、SaaSには不向きとされてきた。
しかし前頁のグラフが示すように、同市場においてもSaaSが徐々に運用形態における選択肢の1つとなりつつある。その際に生産管理システムを開発/販売するベンダや販社/SIerが見極めるべきなのは「SaaS形態の生産管理はオンプレミスの補助的な位置付けとなるのか、それとも主要な生産管理システムとしての利用を前提とした固有の課題/ニーズ傾向があるのか?」という点だ。それを探るために、本リリースの元となる調査レポートでは以下の項目を列挙して「生産管理の製品/サービスが今後持つべきと考える機能や特徴(今後のニーズ)」を集計/分析している。(同様に、「導入済み製品/サービスに関する課題」についても明らかにしている)
生産管理におけるニーズ項目
<<他のシステムやサービスとの連携に関する項目>>
・企業間取引基盤(EDI)と連携して受発注を効率化できる
・営業支援システム(SFA)と連携して販売増を実現できる
・BOM製品/サービスと連携して部品管理を精緻化できる
・IoTセンサを活用して製造工程を可視化、効率化できる
・AIツールやデータ分析によって製造工程を改善できる
・生産スケジューラと連携して工程管理を精緻化できる
・倉庫管理システム(WMS)と連携して配送を改善できる
<<DXやスマートファクトリーに関する項目>>
・他社の工場と連携し、全体の生産性を向上できる
・複数の自社工場を連携し、統合的に管理できる
・共同受注を仲介/調整する付加サービスがある
・部品や資材の調達/見積サービスを利用できる
・原材料や部品のトレーサビリティを確保できる
・AR技術で効率改善や技術継承を実現できる
<<原価管理や生産計画に関連する項目>>
・精緻な原価管理によって利益を確保することができる
・需要や資材の変動を生産計画に迅速に反映できる
<<システム形態(クラウドやカスタマイズ)に関連する項目>>
・自社向けにプログラムを改変することができる
・プログラミングをせずに個別要件に対応できる
・SaaSのみで全ての要件を満たすことができる
・パッケージをIaaS/ホスティングで利用できる
・パッケージとSaaSを選択/併用できる
・業態別に製品/サービスを選択できる
・豊富なテンプレートが用意されている
<<その他>>
・その他:
以下のグラフは上記に列挙したニーズ項目の中から、<<DXやスマートファクトリーに関する項目>>に着目し、パッケージや独自開発の運用形態と比べてSaaS利用での回答割合が高いものは何か?を探った結果の一部を抜粋したものだ。
パッケージとSaaSを比較すると、「他社の工場と連携し、全体の生産性を向上できる」および「複数の自社工場を連携し、統合的に管理できる」の回答割合に大きな差は見られない一方、「共同受注を仲介/調整する付加サービスがある」はSaaSの値が大幅に上回っている。 そのため、SaaS形態の生産管理を開発/販売する際は共同受注を支援する何らかの仕組みが差別化ポイントの1つとなってくる。ここでは<<DXやスマートファクトリーに関する項目>>の一部について触れたが、本リリースの元となる調査レポートでは上記に列挙したニーズ項目やそれと対になる課題項目について更に詳細な集計/分析を行っている。


補記:社数シェア集計/分析の対象となっている生産管理製品/サービスの一覧

本調査において選択肢に記載した生産管理製品/サービスの一覧は以下の通りである。選択肢に掲載される製品/サービスは過去の調査結果や最新の市場状況などを踏まえた上で選定される。自由回答の中で多く挙げられたものは選択肢として新たに取り上げ、逆に一定期間以上シェア数値がないものは割愛するという方針で年毎に調整を行っている。製品/サービス毎の評価や導入費用の集計/分析はサンプル件数が一定以上の条件(件数が少ない場合は参考値扱いとなるケースもある)を満たした(※)のみが対象となる。

生産革新シリーズ(Fu-jin/Raijin/Ryu-jin/Wun-jinなど)  OSK(大塚商会) (※)
OSK(大塚商会)製のその他の生産管理システム  OSK(大塚商会) (※)
Factory-ONE電脳工場  エクス、NEC (※)
EXPLANNER/J,Z  NEC (※)
FlexProcess  NEC (※)
NEC製のその他の生産管理システム  NEC (※)
GLOVIA iZ生産/smartシリーズ  富士通 (※)
glovia G2(glovia.comを含む)  富士通 (※)
富士通製のその他の生産管理システム  富士通 (※)
ビズインテグラル(SCAWを含む)  NTTデータ・ビズインテグラル (※)
mcframeシリーズ  ビジネスエンジニアリング(B-EN-G) (※)
OBIC7  オービック (※)
FutureStage(TENSUITE for Fabrication)  日立システムズ (※)
スーパーカクテルシリーズ  内田洋行 (※)
アラジンオフィス  アイル (※)
ProAxis  キッセイコムテック (※)
MarianEx  マーズコンピュータ
Prevision  インプローブ
GEN(ジェン)  GEN(ジェン) (※)
スマートF  ネクスタ
Cloud2Mfg  Cloud2works
Othello Connect  CMA(シーマ)
PT-SaaS  TFGデータ
GrowOne 生産情報システム  ニッセイコム
CORE Plus NEOシリーズ  日本事務器
DS-mart ERP 生産販売システム 電算システム
GEMPLANET  日立製作所 (※)
R-PiCS  JBアドバンスト・テクノロジー(リードレックス)
MAPS  システム技研
TPiCS  ティーピクス研究所
TECHS  テクノア (※)
i-PROW(アイプロダブル)  Digit Works
ATOMS QUBE  クオリカ
rBOM  大興電子通信
UNIMEX Ⅱ/Quickシリーズ  オープンストリーム(ニュートラル)
AMMIC/STRAMMIC/Lite Factory  アミック
WorkGear  モリックス
ASPAC-生産管理 ア スコット
FLEXSCHE  フレクシェ
Asprova  アスプローバ
最適ワークス  スカイディスク
ADAP  構造計画研究所
日本IBM製の生産管理システム 日本IBM (※)
その他の製品/サービス
ERP/基幹系システムの一機能として利用
販売管理システムを利用
独自開発システム

本リリースの元となる調査レポート

『2024年版 中堅・中小企業のITアプリケーション利用実態と評価レポート』
従来の社数シェアやユーザ評価に加えて、各アプリ分野の重要トピックに関する新たな分析/提言まで網羅した進化版レポート

【調査時期】 2024年7月~8月
【対象企業属性】(有効回答件数:1300社)
年商: 5億円未満 / 5億円以上~10億円未満 / 10億円以上~20億円未満 / 20億円以上~50億円未満 /50億円以上~100億円未満 / 100億円以上~300億円未満 / 300億円以上~500億円未満
従業員数: 10人未満 / 10人以上~20人未満 / 20人以上~50人未満 / 50人以上~100人未満 /100人以上~300人未満 / 300人以上~500人未満/ 500人以上~1,000人未満 /1,000人以上~3,000人未満 / 3,000人以上~5,000人未満 / 5,000人以上
業種: 組立製造業 / 加工製造業 / 建設業 / 卸売業 / 小売業 / 流通業(運輸業) /IT関連サービス業 / 一般サービス業 / その他:
地域: 北海道地方 / 東北地方 / 関東地方 / 北陸地方 / 中部地方 / 近畿地方 / 中国地方 /四国地方 / 九州・沖縄地方
その他の属性: 「IT管理/運用の人員規模」(12区分)、「ビジネス拠点の状況」(5区分)、「職責」(2区分)
【対象分野】
P1. ERP
P2. 生産管理
P3. 会計管理
P4. 販売・仕入・在庫管理
P5. 給与・人事・勤怠・就業管理
P6. ワークフロー・ビジネスプロセス管理
P7. コラボレーション(グループウェア/Web会議/ビジネスチャット)
P8. CRM
P9. BI
P10. 文書管理・オンラインストレージサービス
【設問構成】
有効回答件数1300社の中堅・中小企業に対して、まず最初に上記に列挙した10分野の業務アプリケーションのうちで 導入済み/導入予定の分野を尋ねる。その後、「導入済み/導入予定」と回答した分野について、製品/サービス名称を列挙した社数シェア、運用形態、端末形態、導入年、導入費用、課題とニーズ(分野によって選択肢は異なる)など、計31問を尋ねた結果を集計/分析している。また、上記の10分野とは別に業務アプリケーションの導入/更新に関する全般的な方針についても尋ねている。
【集計データ】
10分野のそれぞれについて、計31問に渡る設問を年商/業種/地域といった計7区分の属性別に集計したMicrosoft Excel形式の集計データが収録されている。シート数は10分野 × 31設問 × 7属性 = 2170に達し、これに設問同士を掛け合わせた幾つかのシート(設問間クロス集計データ)が加わる。
さらに、2024年版では「導入済みと導入予定のシェア比較」、「運用形態(オンプレミス/クラウド)や端末環境の変化」、「ニーズ項目に関する今後と現状の比較」など、販促やマーケティングの施策にすぐに利用できる要約データをまとめたMicrosoft Excel形式のファイルも新たに収録されている。
【分析サマリ】
各分野について、以下の章構成からなる分析サマリ(PDF形式、 10~20ページ)が収録されている。
第1章:製品/サービスの導入状況とシェア動向
第2章:運用形態と端末環境
第3章:製品/サービスの評価、課題、ニーズ
付表:選択肢として記載した製品/サービス一覧
さらに、2024年版では「クラウドERP/コンポーザブルERP」、「クラウド経費精算」、「生成AI」、「中小向けHRTech」、「中小向け業務フロー改善」など、分野固有の重要トピックについて従来よりも更に詳細な集計/分析を行い、今後の有効策を提言している
【発刊日】 2024年10月23日(予定) 【価格】 225,000円(税別) 特定分野のみの個別販売は行っておりません

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株式会社 ノークリサーチ 担当:岩上 由高
〒160-0022 東京都新宿区新宿2-13-10 武蔵野ビル5階23号室
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