インテル、ノートPC向け次世代「Centrino」プラットフォームを発表

文:Tom Krazit(CNET News.com) 翻訳校正:緒方亮、藤原聡美、長谷睦

2007-05-09 23:17

 Intelの「Centrino」ブランドの次世代製品が、米国時間5月9日にサンフランシスコで発表された。これまで「Santa Rosa」という開発コード名で呼ばれてきた新プラットフォームは、「Core 2 Duo」プロセッサ、チップセット、ワイヤレスチップの3つを組み合わせたCentrinoパッケージの最新版だ。その最大のポイントの1つとして、IT管理者の業務を助けるIntelのデスクトップPC管理技術「vPro」を、ノートPCユーザーでも利用可能にしたことが挙げられる。

 Santa Rosaは「Centrino Duo」と「Centrino Pro」という2つの名称で販売されると、Intelの広報担当Connie Brown氏は説明した。フラッシュメモリや、より高速なWi-Fi接続への対応など、新プラットフォームの詳細機能の大部分については、かなり前から話題になっていた。

 これ以外にも、新プラットフォームではIntelのノートPC向け統合型グラフィックスチップの性能向上を目指している。これは、競合するAdvanced Micro Devices(AMD)の追い上げを受けて、Intelが優先的に取り組んでいる分野だ。

 AMDからの猛追はあるものの、このところのIntelは勢いを取り戻し、ノートPC市場に重点を置いて設計した高性能の新プロセッサのおかげで、AMDから市場シェアを奪い返している。多くのアナリストがPC販売数の伸び悩みを予測する2007年において、市場シェアの拡大は特に重要な課題だ。

 企業向けPC市場では、過去3年間に企業が積極的に購入を行ったことに加え、「Windows Vista」へのアップグレードについても様子見ムードが漂い、現在は新しいPCの購入が控えられる傾向にある。しかし、Intelの幹部たちは、Centrino ProとVistaが相乗効果を発揮し、2007年末に向けて企業の購買意欲を促進するだろうと期待している。実のところ、IntelのIT部門自体も、いましばらくはPCの新規購入を控えようという構えなのだ。

 Centrino Proを用いると、企業には大量の社内ノートPCの管理がしやすくなるというメリットがある。具体的には、IT管理者によるソフトウェアのアップデートがずっと容易になるほか、仮想化技術も利用可能になる。他の市場と比較すると、企業向けPC市場では、デスクトップPCからノートPCへの移行が少し遅れているが、2011年までにはクライアントPC全体の半分以上をノートPCが占めると予測されている。

統合型グラフィックスか「ディスクリート」(単機能)型か

 一方、Centrino Duoでは、「Mobile Intel 965 Express」チップセットファミリーが刷新され、グラフィックス性能が改善している。ノートPCでは、画面表示を担うグラフィックス機能はチップセットに統合されていていることが多く、この場合、NVIDIAやAMD傘下のATIなどが提供するグラフィックス専用の「ディスクリート」チップは搭載されない。これはコスト上の問題のほか、バッテリの駆動時間も関係している。グラフィックス統合型のチップセットを使うと、独立したグラフィックスチップを搭載するよりも消費電力が抑えられるからだ。

 統合型のグラフィックス性能は、PCの利用時間の大半を電子メールの送受信やウェブサーフィンで過ごすというユーザーには十分なものだ。

 これに対しMercury ResearchのアナリストDean McCarron氏は「ほとんど1日中、静止したテキストを表示するような使い方なら、統合型のグラフィックス機能でも問題はない。ただ、ゲーム向けのプラットフォームとしては劣悪だ」と話している。

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