2013年4月18日、SharePointに特化したカンファレンス「SharePoint User カンファレンス Japan 2013」(SPUC2013)が開催された。SharePointを知り尽くしているAvePoint Japan株式会社(以下、AvePoint)の主催による本カンファレスは、毎回盛況を博しており、今回は定員を前回の3倍以上となる1,000名に拡大した。それでも早々に満員となり、注目の高さをうかがわせた。
前回は、SharePointを「導入するかどうかを検討する」ことにフォーカスを当てた内容になっていた。しかし、現在はSharePointが「いつ、どの業務に導入 / 適用するか?」を議論するフェーズに入っていることから、今回のSPUC2013では「SharePoint 2013」が日本企業のワークスタイルにどんな変革を起こすのか、その変革を実現する為に知っておくべき「留意点」は何なのかにフォーカスを当てている。このため、現場のSharePointエキスパートが生の声で語るセッションが中心となった。
SPUC2013は、AvePointの代表取締役である塩光献氏によるKeynoteで幕を開けた。AvePoint 米国本社の VP of Engineering も兼任する塩光氏が率いるAvePointは、SharePointとともに成長してきた会社だ。塩光氏は、「2013年、エンタープライズ情報基盤として進化し続けるSharePoint」と題し、AvePointの顧客が10,000を超えて成長を続けていること、部門別では「開発・R&D」での導入が特に増えており、業種では公共や金融をはじめとするエンタープライズ規模での導入が進んでいると述べた。
一機能から始まったSharePointは、次世代ビジネスプラットフォームへと進化を遂げ、さらに進化を続けている。AvePointの顧客では「SharePoint 2007」から「SharePoint 2010」へ移行するケースが目立ち、さらに今回SPUC2013参加者の6割以上が「SharePoint 2013へ移行したい」と考えており、SharePointの活用が進んでいること、SharePointとともに進んでいこうという意識が顕著であるとした。
特にこれからのビジネスは、「グローバル化」「イノベーション主導」「組織の分散化」「Hyper-Connected & Hyper-Competitive」「デジタルネイティブ世代」「BYOD」がキーワードになるとして、「SharePoint 2013」はこういったトレンドに対し、情報をひとつの基盤に統一することで企業の価値を高めるとした。SharePointの導入によって、従来は業務の中に散在していた情報を柔軟に活用することが可能になる。
塩光氏はさらに、「SharePoint 2013」の導入による次世代ビジネスプラットフォームは、「BI」「検索」「モバイル」「ソーシャル」の4つの側面でビジネスにイノベーションを引き起こすとして、それぞれの側面でのSharePointの有効性を詳しく説明した。その実現には、「Windows Azure」と「Office 365」の活用も欠かせないという。これにより、ビジネス要件とその活用、技術要件とその統制のバランスを見つけ出し、ビジネスの現場に活かせるとした。
Keynoteの詳細な内容については、「資料」を参照して欲しい。
続いて、マイクロソフト社のSharePoint製品管理部門ディレクターであるMichal Gideoni氏によるSpecial Keynote「SharePoint - ビジネス コラボレーションの新しい形」が行われた。Michal氏は、SharePointが登場して10年以上経過しているが、現在はビジネスを取り巻く環境が大きく変化していると述べた。特に大きな変化として「インターネットのさらなる普及」「情報量の大幅な増加」「検索という作業の一般化」の3つを挙げた。
従来は企業がWebサイトを構築することが難しく、ファイルの共有も思うようにはいかなかった。さらに検索の精度もいまひとつで、しかも時間がかかっていた。それがSharePointによって、誰も容易に企業のWebサイトを構築できるようになり、ファイル共有によるコラボレーションも可能にし、そして高速で有効な検索を実現した。SharePointは企業のプラットフォームとして、誰でも容易に活用できることを戦略としており、20億ドルのシェアを獲得、それがイノベーションを起こしているという。
またMichal氏は、新たな変革として「クラウド」「モバイル」「ソーシャル」を挙げた。こうした変化は常に続いており、企業も変わらざるを得ない状況が続いているとした。Michal氏は、SharePointにも新たな変革への対応を積極的に取り込んでおり、その一環としてネイティブアプリを提供、iPhoneとiPadから「SharePoint 2013」のニュース・フィードとドキュメントにアクセスできるようにした。
さらに「SharePoint 2013」で実現する新しいコラボレーションの形として、メールを中心とした新機能のデモを行った。受信したメールからミーティングの約束を返信したり、メール内に地図やスケジュールを表示、ミーティングの設定などを紹介した。たくさんのウィンドウを開く必要がなく、すべてインラインで表示できることを強調した。もちろん、従来通りに別ウィンドウで表示することも可能だ。なお、このデモは米国にある環境にリモートアクセスして行われており、オンラインでもオフラインでも操作できることを証明した。
Michal氏は「Office 365」および「Office Web Apps」との連携もデモを交えて説明。「ピープルカード」によって、ニュース・フィードをはじめ「Outlook」や「Lync」でも、人を軸に一元化された表示が可能であることを示した。こういった機能はWindows PhoneやiPadなど、プラットフォームに限定されず活用でき、各方面から高い評価を受けているという。今後はさらに「Yammer」との連携を深め、ビジネスに変革を起こす最適なプラットフォームにしていくとして、Special Keynoteを締めくくった。
SPUC2013ではこのほか、「Tech Session」および「Non-Tech Session」の2種類のセッションがそれぞれ5セッション行われた。「BI」「検索」「モバイル」「ソーシャル」という、まさにSharePointによってビジネスにイノベーションを引き起こすテーマのセッションが並び、しかも、いずれも実際にSharePointを活用している現場の事例であるため、すぐに自社で活用できる実戦的な内容となっていた。どのセッションも満員の盛況となり、SPUC2013は華やかに幕を閉じた。