求められる「俊敏性の高いガバナンス」
セルフサービスBIの活用を考えるとき、業務部門とIT部門がどう協調するかは大きな課題だ。クリックテック・ジャパンのソリューション・コンサルティング部部長の横川健氏は講演で、業務部門とIT部門が協調し、俊敏性の高いガバナンスを実現していくためのアプローチを提案した。
クリックテック・ジャパン
横川健氏
ソリューション・コンサルティング 部長
横川氏はまず、これまでの典型的なガバナンスは、業務部門とIT部門との綱引きだと指摘した。業務部門には、データに基づく課題解決を迅速に行いたいという強い要望がある。一方、IT部門にはデータにまつわるリスクを低減するためにセキュリティや管理性を高めたいという要望がある。それぞれの要望を満たすために綱引きし、結果としてガバナンスが保たれる。
ただ、こうしたガバナンスのあり方は、現場の自由度が増すにつれ、適正を保つのが難しくなる。特に、セルフサービスBIについては、活用が広がるとデータが部門部署に分散し管理が行き届かなくなる。実際、BIをめぐって集中から分散への動きが加速しており、ガバナンスが崩壊しているケースが急増しているという。
「ガバナンスが崩壊すると、BIを利用するユーザーは、どこにどんなデータがあるのかがわからなくなってきます。マスターが複数存在するケースまであります。扱うデータがそもそも異なるので、BIによって得られる結果も変わる。これでは、データに基づく課題解決を迅速に行いたいという要望は満たせません」
そこで必要になるのが俊敏性の高いガバナンスだ。横川氏によると、俊敏性の高いガバナンスは、IT部門と業務部門による綱引きではない。IT部門と業務部門をエンパワーメントするようなガバナンスのあり方となる。
データ活用の企業文化を構築に向けて
俊敏性の高いガバナンスを構成するためには、再利用性、セキュリティ&コントロール、管理性、パフォーマンス&拡張性といった要素を満たす必要がある。そのための土台となるのが、複数のデータソースを統合して一元的に管理するクリックテックのプラットフォームだ。
「信頼性とITの拡張性を確保しつつ、ビジネスユーザーにアジリティをもたらし、データの取りこぼしが起こらないようにします。クリックテックではそれを実現するために、基盤、アプリケーション、付加価値サービスなどを一貫したプラットフォームとして提供しています」
具体的には、アプリケーションとして、ガイド付き分析のための「QlikView」やレポーティング&コラボレーションのための「QlikNPrinting」がある。また、Webアプリケーションに組み込んで利用したり、カスタム分析を行うためのプラットフォーム製品「Qlik Analytics Platform」がある。さらに、セルフサービスBIとしてプラットフォーム製品「Qlik Sense Enterprise」を提供する。
「クリック製品の特徴は、大きく3つあります。1つめは連想技術と呼ばれる、データの関連性を自動で認識して人間が判断しやすいかたちに統合する技術を有すること。2つめはあらゆるニーズに対応できるプラットフォームであること。3つめは、セキュリティとガバナンスの効いた環境で利用できることです」
そのうえで、横川氏は、Qlikを使って、俊敏性の高いガバナンスをどう実現するのかをデモで紹介。データはすべてサーバ上で一元的に管理され、ユーザーごとに異なる画面構成や異なるアクセス権限、共有権限で利用できることなどを解説。最後に「業務部門とIT部門が協調し、データを活用していく企業文化の構築に役立ててほしい」と訴えた。