大震災の教訓から、災害対策が施されたデータセンターにITインフラを移すことを検討し始めた企業は少なくない。どうしても止められないシステムは、より安全な場所で管理すべきだし、そこに集約して運用する方が省力化でき省エネにもなる。
最近、企業に注目されているプライベートクラウドについても同様だ。自社で一からプライベートクラウドを構築すると莫大な費用と労力がかかるから、資金力のある巨大企業を除けば、クラウド事業者からプライベートクラウド環境を借りることになる。
では、業務システムを動かす基盤として、どのようなプライベートクラウド環境が最適なのだろうか。プライベートクラウドを必要とする動機としては、ITリソースを機動的かつ柔軟に管理したいということだろう。そして、仮想化技術を用いたサーバーの統合・集約化によるTCOの削減にも期待したい。もちろん、業務システムの基盤であるため、高可用性・高性能、さらにはネットワークセキュリティへの対策も求めたい。
VMware vSphereをベースとした信頼性の高い基盤を利用者がコントロールできる
このような観点から今回ピックアップしたのが、データセンター大手のビットアイルが提供するプライベートクラウド。同社のリソースメニューの中から、特に「SOD-NEXTプライベートクラウドパッケージ」に注目した。
「SOD-NEXTプライベートクラウドパッケージ」は、VMware vSphere4をベースとしたクラウド環境であり、利用者にvCenterによるクラウド管理機能を提供。仮想サーバーだけでなく仮想化基盤をまるごと提供する。
また、物理サーバー、ネットワーク、ストレージを冗長化。VMware HAやvMotionにより可用性を確保した。複数の業務システムを1台の物理サーバー上に集約化した環境で、物理サーバーが停止した場合にも対応できる。利用者は冗長化済みの基盤を即時利用できる。
しばしばクラウド環境においては、ディスクI/Oやネットワークをボトルネックとするパフォーマンスや安定性の低下が懸念されるが、同パッケージでは、10GbpsイーサネットやFCoE(ファイバーチャネルオーバーイーサネット)、ストレージ仮想化装置による大容量データキャッシュ等のテクノロジーを採用することにより、高速なディスクアクセスを実現している。
さらに、プライベートクラウドで業務システムを回す場合、ネットワークアクセスが心配になるが、同パッケージでは手軽なSSL-VPNでアクセスするサービスを提供する。企業のネットワークを引き込んだり、個別に回線や機器を用意したりすることも可能だ。
また、リソースの許す限り仮想OSをいくら立ち上げても定額料金である点も特長だ。自社でデータセンターを持てない中堅企業にとっては、たいへん利用しやすい高品質のプライベートクラウドと言えるだろう。事業継続性の確保と同時に、サーバー集約によるTCO削減も期待できそうだ。