ITインフラの老朽化でAWS移行を決断し、セキュリティ対策も見直し
――アイスタイルがCloudFastenerを導入するに至ったきっかけと、導入前に抱えていた課題について教えてください。
近藤氏アイスタイルは1999年の創業以来、実際にその商品を使った生活者から投稿されるクチコミやそれを基にした人気商品のランキングなどを掲載する@cosmeを中心としたデータベースマーケティングを軸として、メディア、EC、実店舗の3つのビジネスでコンスタントに成長を続けてきました。IT領域に関しては自前主義で、オンプレミス環境でサーバーとアプリケーションを自社運用していたのですが、サービスの発展に併せて長年システムの拡張を続けてきた結果、少しずつひずみが生じていました。
その中で、2018年に「@cosme BEAUTY DAY」という通販イベントを開始するにあたり、その数日間にトラフィックが集中する状況を踏まえ、パブリッククラウドの併用を実施しました。それを契機に自前主義にこだわることを辞め、ITインフラをクラウドサービスに移行することを考えるようになりました。そこで「ここで一度しっかりとテクノロジー基盤の見直しをすることが今後の当社の事業成長には欠かせない」と考えて経営層にも浸透させ、2022年に段階的にAWSへ移行することを決意しました。
それまではサイバーセキュリティ対策も自社で実施し、幸いなことにこれまで大きなインシデントに見舞われることはなかったのですが、昨今サイバー攻撃がどんどん多様化・高度化していくなかで、本音を言うと自前で対策を続けていくことに限界を感じていました。決して諦めていたわけではないのですが、「ちょっと打ち手がないぞ」という状態に陥っていたのです。そこでAWSへの移行に併せて、セキュリティ対策を強化するプロジェクトを開始しました。
ツールそのものより一緒に手を動かしてくれるパートナーが欲しかった
――そこでなぜCSCに声を掛けたのでしょうか。
近藤氏AWSに移行することで、当社が抱えていたセキュリティ脆弱性問題の相当部分を解決できますが、100%解決できる訳ではありません。そこで更なる対策をしていくためにパートナーが必要という結論になり、複数のセキュリティベンダーや大手のITベンダーに声を掛けさせてもらったのですが、その1社がCSCでした。実は小池社長とは旧知の仲で、ちょうど小池さんがCSCの社長に就任したという話を聞いて、セキュリティ対策について相談させてもらったのです。
その時私としてはツールそのものよりも、一緒に手を動かしながら対策に取り組んだりそれをドキュメント化してくれたりするような伴走型のパートナーが欲しかったのですが、なかなかその思いを受け入れてくれるベンダーには巡り合えていませんでした。そのような状況で小池社長に、「我々はECや店舗、メディアという複合的な事業を持っています。それに関する情報と課題を共有するので、我々を実験台にして新しいサービスを作ってもらえませんか?」と打診したところ、「是非一緒にやりましょう」と快諾してもらえたのです。それで我々の要求に合わせていただく形で必要な要件やサービスを洗い出し、CloudFastenerの前身となるサービスを用意してもらいました。