企業が「データ活用能力」を高める上で足りない要素--Domo Japan川崎氏に聞く - (page 2)

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2021-11-29 11:00

[PR]日々のビジネスの中で「データ活用」に関する現状に、不満や物足りなさを感じているビジネスパーソンは少なくないだろう。自分たちのビジネス状況を正しく把握し、それを企業の成長に貢献するためのアクションへとつなげる――本当の意味での「データ活用」を実現するために、多くの組織に足りないものとは何なのだろうか。

「新しい働き方」で重要さが増すデータの統合とオープン化

-近年のデジタルトランスフォーメーション(DX)に対する関心の高まりや、コロナ禍の影響などで、自社のデータをクラウド上で扱うことに対する企業の意識は変化していますか。

川崎氏以前から現在のITトレンドに合わせる形で、法律の改正なども少しずつ行われており、企業のクラウド活用については、メリットとリスクの双方の正しい理解が進んでいたと思います。そこに、新型コロナウイルス感染症の世界的な流行が起き、クラウド活用を加速させた側面があるのは確実でしょう。企業がこれから将来にわたってビジネスを継続し、成長していくためには、クラウドの積極的な活用、リモートワークの導入など、ビジネス活動全体のデジタル化を推し進めていくことが必須であると明白になったと思います。

ただ、こうなると、データにまつわる新たな課題が生まれる懸念もあります。IDサービス企業のOktaが行った調査によれば、2020年時点で1社当たり88種類のSaaSアプリケーションが利用されているそうです。こうした環境では、SaaSを活用すればするほど、それぞれのサービスごとにデータが蓄積されていきます。これは、新たなデータのサイロ化をもたらす原因にもなり得ます。データを統合するオーケストレーション領域の重要性は、ますます高まっていくだろうと見ています。

また、時間と場所に縛られないリモートワークが拡大すると、従来は対面で偶発的に生まれていたようなコラボレーションやコミュニケーションがどうしても縮小していきます。それでも仕事としての作業をこなせるため、社内の他の人たちが何をやっているかといったことへの関心が薄れていきます。いわば、「業務のサイロ化」とも呼べる状況です。

このような「データ」と「業務」のサイロ化が進むと、企業としての活力は急速に失われる恐れがあります。

-その状況を避けるために、企業は何ができるでしょうか。

川崎氏ポイントは、やはりデータの「統合」と「民主化」だと思います。複数のSaaSを使い、現場のメンバーが離れていても、全体の状況を全員が知ることができる環境を作っていくことがチームをまとめ、機動性を高める上で有効です。

同時に、マネジメントにとっての課題が、「権限委譲」を適切に行うことです。データを見て何かに気づき「アクションを取りたい」と思った従業員がいても、権限がなければ何もできませんから、次第にアクションをしたくないと思うようになってしまいます。社内の至るところで同時多発的に小さな意思決定が行われ、アクションを誘発するような仕組み作りも必要になるでしょう。

近年は「VUCA(変動性、不確実性、複雑性、あいまいさ)」という略語も使われていますが、経営者にとっては、少し先の未来予測すら難しい、不安定なビジネス環境が今後も続くはずです。昨日まで「正しい」とされていた情報が翌日には価値を失ってしまうようなことが起りかねない環境でビジネスを成長させていくためには、リアルタイムにデータを参照しながら、組織として素早くアクションをとっていくことが不可欠になります。

現場で働く従業員たちが担う役割は、「経営者が見るためのデータを入力する」ことではありません。経営から現場まで、全員がデータを見て考え、アクションを起こして、それらをつなげられる体制が必要です。ビジネスのスピードを上げていくための、データの民主化と同時多発的な意思決定が可能な組織へと変革することは、重要な経営課題になっていくでしょう。

これは、いわば「日本企業の体質を変えていく」といった壮大な話かもしれません。改めてDomoという企業に戻ってきて、そうした領域にも一石を投じることができたらと考えています。

企業の状況に応じて効果的な「データ活用」の環境作りを支援

-日本企業が「データ活用」を新しいフェーズへ移行させていくに当たって、Domoが行える具体的なサポートはどのようなものですか。

川崎氏企業の状況を見ながら、「トップダウン」と「ボトムアップ」をうまく組み合わせて、データ活用ができる環境作りをお手伝いができると思います。

データ活用に対する経営層の意識が高い企業であれば、経営ダッシュボードやレポートといったビジネスレイヤーの可視化の部分から導入をスタートすることもできます。また、経営層よりもミドルクラスのマネジメントに課題を感じている企業であれば、経営層が興味を持ちそうなデータを、リアルタイムに可視化してプッシュすることで「便利だ」と感じてもらえるような仕組みを、まずは小規模に始めてみることもできるでしょう。経営層にとっては、これまで見たくても見ることができなかった情報が「見える」環境があるだけでも、データ活用への興味が高まります。時間と手間を掛けずにそうした仕組みを作り、広げていくことを繰り返せば、企業のデータ環境は変わっていくはずです。

経営層の意識が変わったら、次はより多くの従業員がデータを見て、活用する企業文化を醸成していく段階です。こうした企業文化を醸成していくには、組織の中間層に、データ活用を推進する役割を担う人を置くと効果的です。ツールを導入するだけでなく、自分たちの業務に有用なデータや、その見せ方を考え、実際に使ってもらうための方法を考える、いわばデータの「アンバサダー」のような役割を担う人材です。こうした人材の育成においても、Domoでお手伝いできることがあると考えています。

また人材育成と言えば、少し気の長い話ですが、高校一年生向けに「Domo for Good 未来のBI Leader育成プロジェクト」を開始しました。これは、Domo社員による、データを活用したプレゼンテーション力を養う授業を実施後に、生徒たちがビジネスパーソンの前でプレゼンテーションをする機会を設けています。このような取組みを通して、IT業界の底上げを図り、日本企業の競争力向上に少しでも貢献できればと考えています。

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