データを守ることはビジネスの最重要課題だ。戦略的な情報活用が今後加速していくはずだが、ビジネス成功のために、大容量のデータをいかに効率よく保護するべきか。
登壇した日本ヒューレット・パッカードの ストレージ事業統括本部 マーケティング本部 担当マネージャー、 諏訪 英一郎氏はまず、近年のデータ保護のトレンドとして、
日本ヒューレット・パッカード
諏訪 英一郎氏
(ストレージ事業統括本部 マーケティング本部 担当マネージャー)
- テープからディスクへとバックアップメディアが移行しつつあること
- 仮想マシンの普及でイメージバックアップの活用が進んでいること
- 容量削減のために重複排除の技術が活用されていること
- リカバリーの柔軟性を高めるために複製技術が使われていること
の4つがあると説明した。このトレンドは、バックアップをどのように行っていくかを検討する際にも参考にできるという。
たとえば、ディスクバックアップは、アプリケーションから直接バックアップを管理することを可能にする。また、イメージバックアップは、バックアップの最終目的であるリカバリーを実施しやすくする。重複排除は容量圧縮とともに業務への影響を小さくするのに役立つ。複製技術は複数拠点をまたがってバックアップを持つことで、データのモビリティを高める働きがある。こうしたトレンドや利便性を踏まえ、ユーザーに最適なソリューションとなるのがHPEの提供する「HPE StoreOnce」だ。
「HPE StoreOnceは、自社開発技術を使った新基準のバックアップ基盤です。重複排除済みデータを低帯域で転送しどこにでも保存することや、並列/多重処理でバックアップ/リストア性能を向上させることで、適材適所なバックアップが可能です。企業データ保護の最終ラインとして、海外3万台、国内1800台の実績があります」(諏訪氏)
そのうえで諏訪氏は、国内における代表的なユーザー事例を4つ紹介した。1つめは、サーバーごとに個別のバックアップをとっていたものを、バックアップ基盤として統合したケースだ。アペックエンジニアリングでは、重複排除でデータ量を27分の1に圧縮するといった成果を挙げたという。
2つめは、仮想化により分断された複数のバックアップを1つのバックアップ基盤に統合したケースだ。千葉ろうさい病院では、マルチベンダーによる17システムを1つに統合し、運用負荷を大幅に削減した。また、データ階層化を使って性能とコストを最適化し、画像中心のデータも5分の1にまで圧縮することができた。
3つめは、テープベースの災害対策を、ネットワーク経由の複製により、災害対策のバックアップ取得を自動化したケースだ。中央開発では、全国7拠点のバックアップを統合し、東西拠点でたすきがけでデータを持ち合うことで、広域災害時のリスクを最小化。処理を完全に自動化し運用負荷を下げるとともに、フルバックアップ時間も3分の2に短縮した。
最後は、仮想化基盤のストレージと、バックアップを統合し、性能向上とコスト削減を実現した情報サービス企業のケースだ。この企業では、仮想化基盤に利用しているストレージ「3PAR StoreServ」とHPE StoreOnceを組み合わせ、1次ストレージと2次バックアップを一元管理できるようにした。バックアップ時間は5分の1に、リストア時間は3分の1に短縮し、StoreOnce上のデータは20分の1にまで圧縮できたという。このハードウェア連携バックアップでは、従来型バックアップとの比較で最大17倍の高速転送が可能だという。
諏訪氏は「粒度が高く、長期間のデータ保護が求められます。重複排除や複製技術を使ったバックアップにより高速でシンプルな運用ができます」とアピールした。