エンタープライズモバイルに必用な要素とは--6/3主催セミナーより
業務システムのモバイルシフトが本格化しつつある。しかしその一方で、要件の整理が不十分なままでツールの導入自体が目的化してしまったり、制約の多さからモバイルの良さを消してしまったりといったケースも少なくない。そうしたなか、レコモットの代表取締役CEO、東郷剛氏は、「MAM?EMM?そのモバイルデバイスをより安全に、もっと活用するために必要なこと教えます」というテーマを掲げ、実際の事例からビジネスの目的を実現するための「手段」である技術的要素を整理し、解説を試みた。
レコモット 代表取締役CEO
東郷 剛氏
スマートデバイスが普及し、いつでもどこでも使えるようになると、仕事も場所中心から人中心へと変化するというのが東郷氏の持論だ。
「スマートフォン、スマートデバイスを業務に利用するというのがもはや当たり前になりつつある。便利なものをどんどん使っていこうというこの流れは、この先も止まらないだろう」と同氏。
しかしここで問題となるのが、そうした場所や時間の制約を受けずに仕事ができる環境において、セキュリティをどのように維持するかという点である。単にスマートデバイスのセキュリティだけを考えるのは不正解としたうえで東郷氏は、「重要なのは、アプリケーションをきちんとコントロールすることだ」と強調した。
ここで同氏は、エンタープライズモバイルについての衝撃的な実態を示した。社員が端末を紛失した際に、MDMツールなどでリモートワイプを実行した場合の成功率は、なんと7%しかないというのである。例えば悪意のある人間が端末を手に入れた場合、キャリアの電波が届かない場所に持って行ったり、SIMカードを抜いたり、バッテリーを抜いたりといった行動に出る可能性が高い。そうなればMDMツールの管理外となってしまうのだ。また端末自体は無事でも、時間とともにバッテリー残量がゼロとなりリモートワイプが行えないケースもある。
ここで東郷氏は、エンタープライズモバイルに必用な要素を整理した。企業が業務でスマートデバイスを利活用するために欠かせない要素とは、デバイスの管理、堅牢な認証基盤、セキュアなネットワークの3つだ。「だがその目的は、ビジネスアプリケーションを安全に使うことにあるのだ」と同氏は訴える。
そしてスマートデバイス内のアプリケーションをコントロールするためのツールがMAMである。特にBYODの場合、あくまで個人資産であるデバイス自体を管理する必用はまったくない。MAMによってビジネス用のアプリケーションを適切に管理しさえすれば、安全・安心を実現できるのである。しかしEMM(Enterprise Mobility Management)製品を構成する1ツールとして提供されることの多いこのMAMだが、BYODには向かないものも数多く存在するのも事実。そうしたMAMツールには、元々MDMの拡張機能として提供しているものが多く、MDMとMAM、MCMの機能がEMM製品として一体化していて切り離せない。これでは先に述べたように成功率の低いリモートワイプが前提となってしまう。それに個人資産である以上、プライバシーの確保についても問題があるだろう。
一方、BYODを前提としたエンタープライズモバイルに適したMAMとしてレコモットが提供しているのが「moconavi」だ。「セキュアMAM」に位置づけられる「moconavi」は、業務用のワークスペースを持った単独のアプリであり、その中でドキュメントビューワーやメール、カレンダー、セキュアブラウザ、アドレス帳など、仕事に必要なあらゆるアプリを網羅する。
「クラウド/オンプレミスを問わず、様々なサービスを1つのアプリから利用できるのがポイント。電話機能との連携により、端末のアドレス帳にデータが一件も存在しなくても、誰から着信したのか把握することも可能だ」と東郷氏は言う。
このように、エンタープライズモバイルに必用な要件を備えた「moconavi」は、既にメガバンクをはじめ257社14万IDを超える導入実績を誇っており、クラウド型MAM市場では3年連続でシェア1位※を続けているという。
東郷氏はこの日、「moconavi」がWindowsプラットフォームにも対応したと新たに発表した後、「ユーザビリティとセキュリティをトレードオフにせず、両方あきらめないというのが我々の基本的な考え方。簡単に導入して簡単に運用できる「moconavi」でぜひビジネスにモバイルを生かして欲しい」と呼びかけた。
※ ミック経済研究所「コラボレーション/コンテンツ・ モバイル管理パッケージソフトの市場展望 2014年度版」