子供向けプログラミング学習が注目を集めている。春休みには、NHK教育で厚切りジェイソンが出演する子供向けプログラミング学習番組も放送されて、注目を集めていた。ITシステムの普及に伴って、プログラミングが基礎教養のひとつと認められ始めているのだ。
では、大人たちはどうだろうか。一般のビジネスパーソンにとって、企業活動を効率よく進める上で、PCを含んだ情報システムは、今や欠かせない存在である。しかし、その多くは、Excelなどのオフィスアプリケーションまたは大規模な業務専用システムによって行われている。その中間の規模で、自分たちで業務を効率化する手段は欠落しているのが実情ではないだろうか。
そこで登場したのが、Excelライクな操作感とビジュアルプログラミングを融合させたWebアプリ作成ツール「CELF」である。一般の業務部門のスタッフでも利用でき、大規模なシステム開発を必要としない、この画期的なツールの概要と活用例を紹介しよう。
SCSK CELFの概要と特徴
CELF=ビジネス効率化ツール
SCSKが開発・販売する、Webアプリ作成ツール「CELF」は、システム開発事業者ではなく、一般の業務部門を対象としたビジネス効率化ツールである。
ある程度まとまった規模の業務のために、情報を入力・確認・編集できるツールを用意しようとすると、これまではExcelなどの表計算ソフトを使ってファイルベースで情報共有することが一般的であった。しかし、このような表計算ツールを使った場合、次のような課題がある。
ファイルベース共有の課題
- 思いどおりの操作画面を作ったりメンテしたりするのに時間と手間がかかる
- 複数メンバーや拠点で共有しようとすると、ファイルが分散してしまう
- 基幹系システムや他のアプリケーションのデータベースと連携が難しい
また、専用の業務システムを開発するために、システム開発会社などに外注すると、業務規模以上に、コストもかかってしまうし、開発期間もかかってしまう。特定のシステム開発会社にロックインされることにもなりがちだ。
必要なのは、一般の業務部門で直接利用でき、Excelと専用業務システムの中間規模で、業務系アプリケーションを開発・運用できる手ごろな手段ではないだろうか。
Excelとビジュアルプログラミングが融合したWebアプリ作成ツール
そこで登場したのが「CELF」である。使い慣れたExcelのような操作性を持ちながら、ブロックを組み合わせるようなビジュアルなプログラミングが可能になっている。これは最近、子供向けプログラミング学習でも話題になっているScartchと同じような手法だ。そのために、特別な技術スキルを持たない一般業務部門のスタッフでも、自分たちで業務系Webアプリを開発できる。
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さらに、開発したアプリは、ネットを通じて、関係部門に配備できる。また、オフラインで作業したり、入力中のデータを一時的にローカルに保存したりすることも可能である。さらに、基幹システムのデータを利用して、自由に帳票などを開発・出力するといった使い方も可能だ。
そこで、このCELFを活用できる3つの用途を解説しよう。
活用例1:予算実績管理
大きな企業では、年度末に予算案の作成や各期の実績データを集めるために、定型のExcelファイルを配布して、そこに各部門で必要な情報を入力。それを経営企画や会計部門が集約するという声が多い。つまり、未だにExcelによるファイルベースで運用しているのだ。しかし、このような業務スタイルでは、次のように多くの課題を抱えている。
課題
- ファイルの提出状況の管理が煩雑
- ファイルフォーマットを勝手に変更されてしまう
- 配布後にファイルフォーマットを変更できない
一方で、ファイルフォーマット自体も、毎年のように改定されたり、経営層がみたいポイントが変化したりするし、外部のシステム開発会社に外注するには、コストやスピード感の面で意外と難しいというのが実情だ。
導入効果
そこで、CELFを利用すれば、経営企画部門や会計部門でアプリとして作成し、それを各部に配布してデータを一元管理できる。そのおかげで、Excelとの操作性を維持しながら、運用業務(集計作業、入力作業)の負荷軽減、情報集約のリアルタイム化といった効果が得られるのだ。
活用例2:個別帳票の作成
次の例は、地方自治体や官公庁の地方拠点に申請・報告などが必要になる企業での活用である。たとえば、人材派遣業や介護事業・学校教育事業などが考えられるだろう。
課題
このような地方自治体などに提出する書類は、内容が同じでもフォーマットが異なっていることが少なくない。毎年のように、書類のフォーマットが変更される。そのために、共通のシステムから、各地域の担当者が提出書類のテンプレートにわざわざ転記して印刷している場合が少なくない。
導入効果
このような帳票の作成にCELFを利用すれば、業務システムから取り出したデータを、各拠点の担当者が書類テンプレートを読み込んで印刷する簡易帳票ツールとして活用できる。
活用例3:社内配備の標準業務アプリツール
冒頭でも述べたように、多くの企業活動で、Excelなどの表計算ツールやメール・掲示板といったコラボレーションツールは、欠かせない存在となっている。
課題
しかし、これらのツールではアプリケーション開発力は決して高くないにも関わらず、特別な技術スキルを必要とするために、敷居の高いものになってしまう。そこで、一般事業部門が独自に、専門の業務アプリケーションなどを導入してしまうケースも増えているが、IT部門としてはIT全般統制の観点から、それをコントロールしたいと考えている場合も多いだろう。
導入効果
そこで、共通の業務アプリツールとして一般業務部門にCELFを配備すれば、特別な技術スキルがなくても、業務アプリを作成・運用できるようになる。特に、基幹システムのデータを利用可能にすれば、業務管理ツール+基幹データで、さまざまな業務の効率化が実現できるだろう。
このように、Webアプリ作成ツールCELFであれば、Excelライクな操作感とビジュアルプログラミングで、一般の業務部門でも利用でき、大規模なシステム開発を必要としない。従来、放置されがちだった中間規模の業務の効率化手段として、大きな効果を発揮するのではないだろうか。