多くの企業が許可している、在宅勤務やリモートワーク
ZDNet Japan読者を対象に実施された同調査は、働き方改革に関する取り組み状況やクラウドサービスの利用実態などについて聞いたもので、総回答社数は746社。そのうち従業員100人以上の企業は614社だった。
回答を寄せた大半の企業では働き方改革をすでに取り組んでいるか、準備を進めており、具体的取り組みとしては「在宅勤務やリモートワークを許可、推奨している」というものがもっとも多かった。また、今や業務にクラウドサービスを使うのは当たり前となっており、その利用状況を調べると、「Office 365」がもっとも多く、次いで「Salesforce」「G Suite (GoogleApps)」と続いている。
さらに、「どのようなクラウドサービス・アプリを活用していますか」という質問に対しては、「メール」がもっとも多く、次いで「スケジューラ」「グループウェア」「チャット」「交通費や精算などの申請、決裁、ワークフロー」と続いている。
SaaSをはじめとする各種クラウドサービスを利用することは、業務の効率化を迅速に進めるため、働き方改革の成功に欠かせない重要な施策だ。そのことはユーザーも分かっていて、社員のコミュニケーションやコラボレーション、また、事務作業を省力化するサービスなどに人気が集中している。
クラウドサービス(SaaS)の魅力については、「自由にユーザーを増やしたり、減らしたりできる」「利用料が安い」といった回答が多かった。ユーザーの増減対応の容易さという点に魅力を感じる、という回答がもっとも多かったのは、回答者の半数以上の職種が「情報システム関連職」ということも影響しているだろう。SaaSは、個別部門が勝手に利用するものでさえなければ、ソフトウェアをクライアントにインストールして利用するものに比べて各段に管理がしやすいからだ。
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つきまとうSaaSに対するセキュリティ懸念
働き方改革を具体的に進める手段として「リモートワーク」を推奨している企業は多い。
しかし、一方で会社支給のノートPCなどを自宅に持ち帰ったり、私用PCから業務に使うSaaSにアクセスすることは禁じている企業もまだまだ少なくない。今回の調査でも、その傾向ははっきり表れている。
ただ、働き方改革をさらに進めていくうちに、オフィスの中だけの効率化では済まなくなるのは明らかだ。報告書を入力するだけのために必ずオフィスに戻らなくてはならない、あるいは、自宅のPCではメールチェックとスケジュール管理はできるが、決裁やミーティング、データ分析などはできない、ということでは、時間管理の自由度にも制限が出てきてしまう。
リモートワークがなかなか進まない理由は、セキュリティの懸念が大きい。多様なSaaSにアクセスできるノートPCやスマートデバイスが盗難に遭い、なりすましの被害を受けたら、顧客情報や重要なビジネスデータが漏えいしてしまう。こうした懸念は、ICTが提供する「便利さ」の裏に必ずつきまとうリスクと言える。
今回の調査でも、「クラウドサービス(SaaS)をもっと活用するためには、どういった懸念を払拭する必要がありますか?」という質問に対して、群を抜いて多かったのが「セキュリティ対策は大丈夫なのか、なりすましやパスワード流出などが不安」というものだった。
「セキュリティをしっかり確保しながら、低コストで便利なSaaSの利用の幅をもっと広げられないか」。もしこれが実現できれば、多くの企業で「働き方改革」の肝の施策であるリモートワークがさらに浸透していくはずだ。
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働き方改革を成功させるための講演を開催
こうしたリモートワークに関するセキュリティの懸念を低減させる方法はいくつもある。「仮想デスクトップ」もその1つだ。
各クライアントから直接、外部のSaaSにアクセスするのをやめ、IT部門が管理するデータセンター内の仮想クライアントがアクセスするようにする。社外で稼働しているデバイスは、会社のデータセンター経由でSaaSを利用することになる。こうすれば、万一、盗難、紛失、不正アクセスなどがあっても、すぐに通信を遮断することができる。こうした手法はVMwareなど仮想化ソリューションを提供するベンダーを中心に提供されている。
今回のアンケート結果の解説・分析と、働き方改革とセキュリティを両立させる方法について、ソフトバンクC&Sでは、7月19日・20日に開催されるイベント「SoftBank World 2018」で講演を行う。「働き方改革」の現場で、現在も多様な顧客にソリューションを提供している同社ならではの「地に足のついた解決策」が聞けるはずだ。