中堅・中小企業では61%が仮想化を導入済み
日本の中堅・中小企業における仮想化技術の導入と活用状況、その満足度はどの程度か。また、どのような課題を現場のIT担当者は認識しているのか。ZDNet Japanとヴイエムウェアが仮想化導入に関する共同アンケートを実施したところ、従業員数規模1000人以下の企業に所属する回答は305件に上り、中堅・中小企業における仮想化導入の現状が見えてきた。
※なお、従業員数規模を問わない総回答数は429件。本ホワイトペーパーではこの305件の回答を分析対象としている。
本調査では、半数以上の約61%の回答者が仮想化を「導入済み」と回答した。残り39%の未導入企業においても導入に関して前向きな姿勢を見せており、約20%が「未導入ではあるが、興味はある」を選んでいる。多数を占めた61%の導入済み企業においては、その利用状況には発展途上の面もあり、ここでも中堅・中小企業を対象とする仮想化市場が成長中の分野であることを強く示唆している。
仮想化技術は登場以来、大手企業の有する大規模システムで導入実績を伸ばし、基幹システムなどでも積極的に利用する事例が増加している。しかしながら、中堅・中小企業では基幹システムやミッションクリティカルな業務システムでの運用は15.4%に留まっているのが現状。使われ方として、拠点や部門単位でのサーバー統合の目的での利用が多く、この現象はまさに仮想化技術の普及初期における大企業での導入形態と類似していることから、中堅・中小企業においては大企業での導入事例をなぞる形で現在、活発な普及が進んでいることがアンケート結果から明らかになった(詳細な数値はホワイトペーパーを参照)。仮想化市場に参入しているベンダーが中堅・中小企業向けのソリューションを積極的に開発・提供しており、仮想化市場が拡大していることも関係しているだろう。
満足度の高い仮想化導入、これからの課題は「運用管理の効率化」
仮想化技術の導入目的は「機器コスト削減(46.9%)」と「物理サーバー削減などによる省スペース化(45.6%)」が多数を占めた(複数選択)。満足度も高く、約3割の回答者が導入目的に対し、「全体的に達成できた」と回答。残りの約3割も「部分的に達成」と回答した。アンケート結果では、比較的最近(1~3年程度)に導入した回答者が多いことから、「機器コストの削減」のように導入すれば即効果が実感できるものが、仮想化の効果としてユーザーに強く実感されていることがわかった。
一方で、今後の課題として「運用効率の向上」や「パフォーマンスの改善」が挙げられ、それぞれ回答者の3割以上。これら未解決の課題を抱える担当者は、パフォーマンスやリソース利用の効率化、セキュリティなど、効果をすぐには実感しにくいものの改善をこれからの課題として認識しており、最も有効な解決策としては「適切な管理ツールの選択」を行うことと考えていることも判明した。
アンケートの結果から中堅・中小企業における仮想化の導入の目的、製品選定基準、目標達成の実感、満足度、次なる対策の導入基準のいずれも深く関係するのはコスト対策であることがわかる。一方、管理運用における課題についても回答者の最多回答である「現場には管理を一元的に効率化できる管理ツールが必要」という点は、中堅・中小企業の仮想化が、「物理集約」のステージから「プライベートクラウド構築」のステージへ進むために重要なポイントとなるであろう。
詳しいアンケート結果の内容は下記リンクのレポートをぜひ参考にして欲しい。