Javaをテーマにしたイベントでは国内最大規模となる「Java Day Tokyo 2014」。今年は5月22日に品川プリンスホテルで開催される。「Java Day Tokyo」という形での開催は今年で2年目。海外からJavaのキーパーソンが多数来日して直接に解説する貴重な機会となる。午後からのセッションの見どころについて日本オラクルのJavaエバンジェリスト 寺田佳央氏に聞いた。
日本オラクル株式会社
Javaエバンジェリスト
寺田佳央氏
今回のJava Day Tokyoでは今年(2014年)3月にリリースされたJava SE 8に関する講演が中心となります。前回よりも規模を拡大し、Java SE 8の概要や重要な機能をたっぷりと紹介します。Javaに携わる開発者には必ず見てほしいです。
Javaの開発に直接携わっているキーパーソンが直々にJava SE 8について講演する貴重な機会ですので、オンライン版のJava Day Tokyoも開催し、基調講演とトラックAをすべて聴講できるようにします。
トラックAはキーパーソンによるJava SE 8解説
まずA-1はオラクル・コーポレーション Simon Ritterの「Java SE 8概要」です。Java SE 8の全体像や重要な機能を解説する予定です。A-2「Lambda式の概要」とA-4「Lambda式とストリームAPI、並列処理の詳細」はオラクル・コーポレーション Stuart Marksがラムダ式について解説します。Marksはラムダ式の開発に携わった人物です。A-2が入門編、A-4がストリームAPIも含めた実践編です。
ラムダ式はJava SE 8で利用可能な関数型のプログラミング手法です。1つのメソッドだけで定義されたインターフェースならラムダ式に置き換えることができます。長々と記述していたコードを簡略化できるため、開発生産性やコードの可読性を向上させられる利点があります。
従来型の記述をしているコードでも、開発環境がNetBeans 8ならラムダ式に変換する機能もあります。ラムダ式にすると繰り返し処理が外部イテレートから内部イテレートになるため、並列処理がしやすくなります。
ただしラムダ式には向く処理と向かない処理があります。ラムダ式で効率良く開発するにはどうするか、ラムダ式でやってはいけない「アンチパターン」にはどんなものがあるかをA-4でじっくり解説します。なおA-4は最初に満席になったセッションです。実践的なノウハウに関心が高まっているのを感じます。
A-3「Exploring JavaFX 8」はStephen ChinによるJavaFX技術解説です。JavaFXは次世代型のリッチ・クライアント・プラットフォームです。アプリケーション内でJavaライブラリを利用できるため、エンタープライズ向けのリッチクライアントアプリケーションを開発できるようになっています。
それだけではありません。近年FX技術はRaspberry Piなど組み込み機器のUI開発でも利用されています。組み込み機器でJavaFXを用いることに関してはB-4「JavaFXを使用した組み込み機器におけるクールなユーザー・インタフェースのご紹介」があります。
NashornやIoTへの対応も見逃せない
新しいJavaScriptエンジンとなる「Nashorn」もJava SE 8の注目機能です。JDK 8をダウンロードすれば利用できます。従来のJavaScriptエンジンRhinoに比べると、より高速にJavaScriptを実行できます。NashornについてはD-4「JavaScript Running On JavaVM: Nashorn (新JavaScriptエンジン) 」にて解説します。
組み込み系に関するセッションも多数用意しています。先述したB-4のほかにも、B-1「スケーラブルな組込インテリジェンスを実現するJava Embedded 8」がJavaを用いた組み込み系のセッションになります。
組み込み系の導入事例もあります。D-3「富士通セミコンダクターのプラットフォームSoCとJavaへの取り組み」やD-4「Java・OSGi搭載サービスプラットフォームのご紹介」がそれにあたります。日本のメーカーがJavaをどのように活用しているか、実際のようすが分かると思います。D-2「Javaを活用するユーザー企業の最新事例ご紹介」もご期待ください。
セキュリティ対策のためにもJava EE 7への移行を
昨年のJava Day Tokyoを振り返ると、話題の中心はリリースされたばかりのJava EE 7でした。当時はまだ概要や紹介という段階でした。まだ実行環境が少ないとはいえ、システム開発の現場ではそろそろ現実的にJava EE 7への移行を検討している段階ではないでしょうか。
今年のJava Day Tokyoではより実践的なJava EEに関するセッションを用意しています。例えばB-2「JavaEE.Next(): Java EE 7, 8, and Beyond」ではJava EE 7だけではなく、将来展望も含めてオラクル・コーポレーションのReza Rahmanが語ります。続くB-3「Java EE 7とJavaScript/HTML 5を使用したリッチ・クライアント開発について」も同じくReza Rahmanが最新技術を用いた開発を解説します。
ほかにも、Java SE 8の活用を想定したJava EE 7について考察した C-1「Java SE 8時代のJava EE 7アプリケーション開発」、楽天株式会社様のC-4「J2EE世代からJava EE世代へ移行せよ」のような導入事例もあります。
展示にも要注目!会場で最新のJavaを体感してほしい
会場に足を運ぶことがあれば、ぜひ展示もご覧ください。Javaストアには各種グッズのほか、Javaで制御可能なRaspberry Piや、株式会社アフレルによる「教育版レゴ マインドストーム」の販売があります。どちらも数量限定ですので、興味のあるかたはぜひお早めに。
繰り返しになりますが、基調講演とトラックAはオンライン版Java Day Tokyoで聴講できます。時間や場所の制約があり、会場に足を運べなくても、こちらのイベントに登録することでJava Day Tokyoに参加できます。会場に来られる方も、5月中はアーカイブ版を後から聴講可能なので、たとえば参加したいセッションが同じ時間帯に重なった場合にトラックA以外のセッションを聴講して後でトラックAの録画を見たり、参加したセッションをもう一度見たりできますね。
来場できない方も、来場できる方も、オンライン版のJava Day Tokyoへの登録もお勧めします。
Java Day Tokyoは経験者にはより詳細で実践的な情報を得られる場であり、初心者にはJavaの世界を知る入口になると思います。経験者から初心者まで、どんな人にも有意義なイベントですので、5/22に会場に来られる方は会場で、来られない方はオンライン版で、「Javaの今」をぜひ体感してほしいです。私たちもここからムーブメントを作っていきたいと考えています。