2012年中堅・中小企業における「クライアントPCセキュリティ」の利用実態とユーザ評価

ノークリサーチは2012年の国内中堅・中小市場における「クライアントPCセキュリティ」の社数ベースの導入シェアおよびユーザ企業による製品/サービス評価に関する調査を実施し、その分析結果を発表した。

株式会社ノークリサーチ

2012-10-29 14:00

<クラウドやスマートデバイスの進展によっては同分野の枠組みが変わる可能性も> ■導入社数シェア上位が順位を堅持する中、ASP/SaaS形態の動向にも注意を払うべき ■ASP/SaaS形態での導入は全体に占める割合はまだ少ないものの着実に増加している ■今後はスマートデバイスとクライアントPCのセキュリティを一元的に捉える必要がある ■「導入/サポートの価格」以外の品質面での評価が導入社数シェアには大きく影響する ■バックアップや運用管理・資産管理も含めた統合的なソリューションが求められている
PRESS RELEASE(報道関係者各位) 2012年10月29日

2012年中堅・中小企業における「クライアントPCセキュリティ」の利用実態とユーザ評価

調査設計/分析/執筆: 岩上由高


ノークリサーチ(本社〒120-0034 東京都足立区千住1-4-1東京芸術センター1705:代表:伊嶋謙ニTEL:03-5244-6691URL:http//www.norkresearch.co.jp)は2012年の国内中堅・中小市場における「クライアントPCセキュリティ」の社数ベースの導入シェアおよびユーザ企業による製品/サービス評価に関する調査を実施し、その分析結果を発表した。本リリースは「2012年版中堅・中小企業のITアプリケーション利用実態と評価レポート」の「クライアントPCセキュリティ」カテゴリに関する速報である。


<クラウドやスマートデバイスの進展によっては同分野の枠組みが変わる可能性も>
■導入社数シェア上位が順位を堅持する中、ASP/SaaS形態の動向にも注意を払うべき
■ASP/SaaS形態での導入は全体に占める割合はまだ少ないものの着実に増加している
■今後はスマートデバイスとクライアントPCのセキュリティを一元的に捉える必要がある
■「導入/サポートの価格」以外の品質面での評価が導入社数シェアには大きく影響する
■バックアップや運用管理・資産管理も含めた統合的なソリューションが求められている


対象企業: 日本全国/全業種の500億円未満の中堅・中小企業
対象職責: 以下のいずれかの権限を持つ社員
「情報システムの導入や運用/管理の作業を担当している」
「情報システムに関する製品/サービスの選定または決裁の権限を有している」
調査実施時期: 2012年8月
有効回答件数: 1400社(有効回答件数)
※調査対象の詳しい情報については右記URLを参照 (リンク »)


■導入社数シェア上位が順位を堅持する中、ASP/SaaS形態の動向にも注意を払うべき
以下のグラフは年商500億円未満の中堅・中小企業に対し、「導入済みの製品/サービスのうち最も主要なもの」を尋ねた結果(導入社数ベースのシェア)である。※調査実施に選択肢として挙げた製品/サービスの一覧は本リリースの末頁を参照
2012年の導入社数シェア順位は2011年の調査結果と変わらず、「ウイルスバスターコーポレートエディション/ビジネスセキュリティ」「ノートンシリーズ/Symantec Endpoint Protection」「McAfeeシリーズ」の順となっている。
パッケージの導入社数シェアについては上位三製品で75%を占めている状況が続いており、大きな変動が起きる可能性は今後も低いと考えられる。一方、現時点では「その他の製品/サービス」に含まれる形となっているがASP/SaaS形態での導入も徐々に進みつつある。トレンドマイクロ、シマンテック、マカフィーの上位三社のASP/SaaS形態によるサービス(OEMによる他社提供も含む)はいずれも2.0%以下とまだ少ないが、新規導入およびパッケージからの遷移の双方の点で同形態の推移を今後も注意深く見ていく必要がある。


■ASP/SaaS形態での導入は全体に占める割合はまだ少ないものの着実に増加している
以下のグラフは「導入済みの製品/サービスのうち最も主要なもの」の運用形態を尋ねた結果である。
「ASP/SaaS形態のサービスとして利用」については2011年が2.0%、2012年が2.3%と微増となっている。ただし、具体的な製品/サービス名称を挙げた前頁の設問中でASP/SaaS形態に該当する選択肢の割合を合算した値は2.3%よりも多くなっている。
つまり、ASP/SaaS形態を利用しながらも、ユーザ企業自身がそれを認識していない可能性があると考えられる。クライアントPCセキュリティではASP/SaaS形態であっても各PCにはパッケージと同様にモジュールが配布されるため、ASP/SaaS形態と認識していないケースがあるものと推測される。また、クライアントPCセキュリティはインターネット接続サービスやキャリアを経由した導入も多い。そのため、ユーザ企業を対象とした調査では他のアプリケーション分野と比べてASP/SaaS形態の導入状況を把握しづらい面もある。今後は導入時期や購入先などといった多角的な視点から導入状況を尋ね、更なる実態把握に努めていく必要がある。


■今後はスマートデバイスとクライアントPCのセキュリティを一元的に捉える必要がある
以下のグラフは「導入済みの製品/サービスのうち最も主要なもの」の端末環境を尋ねた結果である。
「スマートフォン」については2011年では1.8%、2012年では4.1%、「タブレット型端末」については2011年では1.8%、2012年では3.8%となっている。
クライアントPCセキュリティにおける端末環境とは「これらの端末を保護対象とするか?」といった意味合いとなる。スマートデバイスのセキュリティ対策についてはクライアントPCセキュリティとは別に製品/サービスが提供されているケースも多い。
その点を踏まえると、この数字は「導入済みのクライアントPCセキュリティと同じベンダが提供するスマートデバイス向けのセキュリティ製品/サービスを導入している割合」に相当すると推測される。
既にクライアントPCとスマートデバイスの双方を一元的に管理する製品/サービスも登場してきているため、「クライアントPCセキュリティ」というカテゴリそのものの枠組みを再考する必要が生じる可能性も十分考えられる。


■「導入/サポートの価格」以外の品質面での評価が導入社数シェアには大きく影響する
本調査では
「導入/サポートの価格は妥当か」
「機能が足りているか」
「動作が軽快かどうか」
「自社の要件に合致しているか」
「初めてのユーザもすぐに操作を習得できるか」
「慣れたユーザにとって操作が煩わしくないか」
「他システムとの連携手段が整っているか」
「不具合や誤動作はないか」
「プログラミングによる機能の追加/変更(カスタマイズ)がしやすいか」
「設定変更などプログラミングを伴わない形での機能の追加/変更がしやすいか」
といった数多くの項目について五段階評価で製品/サービス別にユーザ企業による評価を行っている。
以下および次頁にかけてのグラフは「導入済みの製品/サービスのうち最も主要なもの」の評価をユーザ企業に尋ねた結果のうち、以下の三項目についての結果を製品/サービス別にプロットしたものである。
「導入/サポートの価格は妥当か」
「動作が軽快かどうか」
「不具合や誤動作はないか」
「導入/サポートの価格は妥当か」については運用/保守の費用が無償である「ウイルスセキュリティZERO」が最も高い評価となっており、同製品における価格面の評価が高い状況が続いている。しかし、このことが導入社数シェアの拡大には必ずしも直結していない。クライアントPCセキュリティについては価格以外の要素が製品/サービスの選択に影響を与えているといえる。
クライアントPCセキュリティにおいては「動作が軽快かどうか」や「不具合や誤動作はないか」も重要な評価項目となる。
前者については主要パッケージの中では「ESET NOD32 Antivirus/ESET Smart Security 」が比較的高い評価となっている。後者については主要パッケージの中で大きな差は見られないが、「McAfeeシリーズ」(本調査におけるマカフィー製品の総称を表すもの)の評価がやや高くなっている。
【評価ポイント算出方法】
五段階評価結果を「大変不満:-5ポイント」「多少不満:-3ポイント」「どちらでもない:0ポイント」「まあまあ満足:3ポイント」「大変満足:5ポイント」と重み付けし、ある評価項目「項目a」について、「A社の「大変不満」という回答件数= H1」「A社の「多少不満」という回答件数= H2」「A社の「どちらでもない」という回答件数= H3」「A社の「まあまあ満足」という回答件数= H4」「A社の「大変満足」という回答件数= H1」と定義した場合に、以下の計算式によって算出している。
A社の項目aに関する評価ポイント
= ( H1×(-5) + H2×(-3) + H3×0 + H4×3 + H5×5) ÷ A社の項目aに関する回答件数合計
(各製品/サービスの利用件数自体が少ない場合には、その点に留意が必要である)


■バックアップや運用管理・資産管理も含めた統合的なソリューションが求められている
以下のグラフはクライアントPCセキュリティの活用における今後の指針または重視事項を尋ねた結果である。
「クライアントPCバックアップとの統合」「運用管理・資産管理との統合」「必要な機能が全て揃ったワンパッケージでの製品/サービス提供」といった項目が多く挙げられている。
ユーザ企業としては運用管理・資産管理やクライアントPCのバックアップも含めた「統合的なソリューション」を求めているといえる。
以下のグラフは上記と同じクライアントPCセキュリティの活用における今後の指針または重視事項を尋ねた結果を年商別に集計したものである。
いずれの年商帯においても「クライアントPCバックアップとの統合」「運用管理・資産管理との統合」「必要な機能が全て揃ったワンパッケージでの製品/サービス提供」といった項目が多く挙げられている。
このことから、中堅・中小企業全般において先に述べた「統合的なソリューション」へのニーズが高いと考えられる。


■調査対象製品/サービス一覧
本調査ではクライアントPCセキュリティを「PCがマルウェアなどに感染するのを防止するアプリケーション」と定義している。(SaaS形態については下記で表記されているサービスに加えて、同ベンダが提供するパッケージまたはサービスがOEMとして他社を通じてサービス提供されている場合も含まれる)導入社数ベースシェアに関する設問に掲載した選択肢は下記の通りである。

ウイルスバスターコーポレートエディションまたはビジネスセキュリティトレンドマイクロ
McAfeeシリーズマカフィー
ノートンシリーズまたはSymantec Endpoint Protection シマンテック
ウイルスセキュリティZERO ソースネクスト
ESET NOD32 Antivirus またはESET Smart Security キヤノンITソリューションズ
Kaspersky Open Space Security Kaspersky Labs Japan
エフセキュアクライアントセキュリティ/アンチウイルスワークステーションエフセキュア
AhnLab V3 Corporate Edition アンラボ
セキュリティプラットフォームハミングヘッズ
Microsoft Security Essentials 日本マイクロソフト
KINGSOFT Internet Security キングソフト
ウイルスバスタービジネスセキュリティサービス(SaaS形態) トレンドマイクロ
エフセキュアプロテクションサービスビジネス(エフセキュアビジネスセキュリティも含む) (SaaS形態)エフセキュア
McAfee SaaS Endpoint Protection(McAfee Total Protection Serviceも
含む) (SaaS形態)マカフィー
Panda Cloud Office Protection(Panda Managed Office Protectionも含む) (SaaS形態)Panda Security
Symantec Hosted Endpoint Protection (SaaS形態) シマンテック
AhnLab MySaaS (SaaS形態) アンラボ
Windows Intune (SaaS形態) 日本マイクロソフト
Business Security Technical Service(BSTS) (SaaS形態) 富士通マーケティング
SHILDIAN NETservice またはMaLion Internet Security (SaaS形態) インターコム
beat(SaaS形態) 富士ゼロックス
上記以外のパッケージ製品またはサービス
独自開発システム(オープンソースをベースとしたもの)
独自開発システム(ベースとなるものがない完全なスクラッチ開発)


本リリースの元となっている「2012年版中堅・中小企業のITアプリケーション利用実態と評価レポート」の詳細は下記URLを参照
(リンク »)
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東京都足立区千住1-4-1東京芸術センター1705
TEL 03-5244-6691 FAX 03-5244-6692
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