2015年中堅・中小企業における「生産管理システム」の利用実態とユーザ評価
調査設計/分析/執筆: 岩上由高
ノークリサーチ(本社〒120-0034 東京都足立区千住1-4-1東京芸術センター1705:代表:伊嶋謙ニ TEL:03-5244-6691URL:http//www.norkresearch.co.jp)は2015年の国内中堅・中小市場における「生産管理システム」の利用実態とユーザ評価に関する調査を実施し、その分析結果を発表した。本リリースは「2015年版中堅・中小企業のITアプリケーション利用実態と評価レポート」の「生産管理システム」カテゴリに関するサンプルおよびダイジェストである。
<スクラッチによる独自開発システムからの移行を訴求できるか?シェア拡大/獲得のカギ>
■組立製造業において生産管理システムの導入率が過半数を超える境界線は年商20億円
■スクラッチによる独自開発システムのシェア減少はパッケージ移行を訴求する貴重な契機
■従来型のカスタマイズ手法やテンプレート適用だけでは独自開発システムの方が高評価
対象企業: 日本全国/全業種の500億円未満の中堅・中小企業
対象職責: 以下のいずれかの権限を持つ社員
「情報システムの導入や運用/管理の作業を担当している」
「情報システムに関する製品/サービスの選定または決裁の権限を有している」
調査実施時期: 2015年7月
有効回答件数: 1300社(有効回答件数) ※調査対象の詳しい情報については右記URLを参照 (リンク »)
■組立製造業において生産管理システムの導入率が過半数を超える境界線は年商20億円
本リリースの元となる調査レポートでは13種類に渡る業務アプリケーションの導入社数シェアやユーザ企業による評価に関するデータが網羅されている。各種データは年商別、従業員数別、業種別、所在地別といった様々な観点から確認することができる。生産管理システムは製造業における導入が多くを占めるため、業種別で見た集計結果が特に重要となる。以下のグラフは組立製造業における生産管理システムの導入率を年商別にプロットしたものだ。
ここでの生産管理システムとはERPの一機能ではなく、単体の業務アプリケーションとして導入/運用されているものを指す。
組立製造業においては年商20億円以上になると導入率が過半数を超えることがわかる。年商帯の高い企業層における導入率が7~8割程度まで高くならない理由としては、ERPの一機能として生産管理システムを導入/運用しており生産管理システム単体での導入/運用に該当しないことが主な要因と考えられる。 製造業にとって生産管理システムは本業に直結する業務アプリケーションであることから、今後も新規導入や更新/刷新の機会があると予想される。
調査レポートでは生産管理システムを開発/提供するベンダや販社/SIerがシェアの拡大/獲得を目指す上で留意すべきポイントについて詳しい分析を行っている。次頁ではその一部をサンプル/ダイジェストとして紹介する。
■スクラッチによる独自開発システムのシェア減少はパッケージ移行を訴求する貴重な契機
以下のグラフは年商500億円未満の中堅・中小企業全体に対して、導入済みの生産管理システム製品/サービス(複数回答可)を尋ねた結果を製品/サービス別にプロットしたものだ。ここではサンプル/ダイジェストとして、導入社数シェア上位7つの製品/サービスと独自開発システムに絞ってデータを掲載し、前回調査(2014年7月実施分)と今回調査(2015年7月実施分)を比較している。
ここで留意すべきなのは「GLOVIA smart製造(PRONES/MES/PROFOURSなど)」「生産革新シリーズ/CoRE-Chain/Quickシリーズ」「EXPLANNER/J」「MCFrame」といった導入社数シェア上位の製品/サービスがシェアを伸ばしているのに対して「独自開発システム(完全なスクラッチ開発) 」の割合が14.7%(2014年)から6.8%(2015年)へと大幅に減少している点だ。
つまり、完全なスクラッチ開発からパッケージ導入への遷移が起きている可能性が高いと考えられる。(ここでは割愛しているが、本リリースの元となる調査レポートでは「独自開発システム(完全なスクラッチ開発) 」のシェア減少が大きい年商区分はどこか?などに関する詳しい分析を行っている)
したがって、生産管理システムを開発/販売するベンダや販社/SIerが中堅・中小企業における導入社数シェアを伸ばす手段としては「スクラッチによる独自開発システムの減少が大きい年商帯を主なターゲットとしてパッケージへの移行を訴求する」ことが有効と考えられる。
■従来型のカスタマイズ手法やテンプレート適用だけでは独自開発システムの方が高評価
前頁で述べた「スクラッチによる独自開発システムの減少が大きい年商帯を主なターゲットとしてパッケージへの移行を訴求する」を効果的に進めるためには「独自開発システム(完全なスクラッチ開発) 」の生産管理システムを導入/運用するユーザ企業がどのような点を評価しており、現在どのような課題を抱え、今後はどのような機能を望んでいるのか?を把握する必要がある。本リリースの元となる調査レポートでは上記のそれぞれについて詳細な項目を列挙して尋ねている。以下に列挙したものは「導入済みの製品/サービスに関して評価/満足している機能や特徴(複数回答可)」に関する選択肢の概要である。
(実際の選択肢は31項目に渡る)
費用面の項目:
「導入時の初期費用が安価である」「バージョンアップ時の費用負担が安価である」など
原価管理に関連する項目:
「原価が超過した場合の原因特定と改善提示ができる」 「廃棄やロスの発生を考慮に入れた原価管理が行える」など
生産計画に関連する項目:
「需要変動を生産計画に迅速に反映させることができる」「個別生産と繰返生産の双方に対応できる」など
調達に関連する項目:
「企業や拠点を跨いだ部品/原材料の管理が行える」「手配した部品情報をBOM/マスタに確実に反映できる」など
システム基盤に関する項目:
「パッケージとクラウドを適材適所で混在させることができる」「他のシステムとデータベースを一元化できる」など
その他の項目:
「 RoHS、REACHなどの規制に迅速に対応できる」など
以下のグラフは上記に列挙された選択肢の中から3つを抜粋し、 「独自開発システム(完全なスクラッチ開発) 」と「全てのパッケージを含めた生産管理システム全体」のそれぞれにおける結果を比較したものである。「独自開発システム(完全なスクラッチ開発)」の回答件数が若干少ない点に注意が必要だが、この結果は生産管理システムパッケージを開発/販売するベンダや販社/SIerにとって、「独自開発システム(完全なスクラッチ開発)」からパッケージへの移行を訴求するためのヒントとなる。
項目1や項目2は主にパッケージが該当する評価項目である。だが、個別ニーズへの適合性という点から「独自開発システム(完全なスクラッチ開発)」が高い評価を得ている結果と読み取ることができる。また、パッケージを個別にカスタマイズすると、バージョンアップ時にカスタマイズ箇所が支障をきたすことも少なくない。「独自開発システム(完全なスクラッチ開発)」の場合は生産管理システム自体のバージョンアップは存在しないため、項目3についてもパッケージと比べて評価が高くなりやすいと考えられる。上記の点だけを見ると、スクラッチによる独自開発システムからパッケージへの移行は難しいように思える。だが、ここで述べている以外にもパッケージへの移行につながるニーズが幾つか存在しており、調査レポート内ではそれらについて詳しく解説している。
調査実施時に選択肢として挙げた製品/サービス一覧
本調査においては生産管理を「製造業における部品表や製造工程の管理などを主に担うアプリケーション」と定義している。この定義に基づき、アンケート回答者は生産管理を含む13種類のアプリケーションカテゴリから導入済みのものを選び、選ばれたカテゴリの中から導入済みの製品/サービス名を選択する。
生産管理の製品/サービスには、ERPを構成するラインアップの1つとして提供されているものと、単体の生産管理システムとして提供されているものがある。また、販売管理などに相当する機能も兼ね備えユーザ企業からはERPとして認識されているものもある。こうした背景から、本調査においては生産管理に該当する製品/サービスが生産管理のカテゴリだけでなく、ERPのカテゴリにも含まれる場合がある。
生産管理の製品/サービスとしてのシェアや評価は本ドキュメントで全て網羅されているが、「自社の製品/サービスは単体の生産管理のみならず、ERPとしての性格も持ち合わせている」という場合はERPに関する分析サマリも併せて参照することによって、より広い情報を得ることができる。
また、以下の選択肢は過去の調査結果に基づいて、自由回答の中から多く挙げられたものは選択肢として新たに取り上げ、逆に一定期間以上シェア数値がないものは割愛するといった形で年毎に調整を行っている。
MCFrame 東洋ビジネスエンジニアリング
GLOVIA smart製造(PRONES/MES/PROFOURSなど) 富士通
EXPLANNER/J NEC
SCAW生産管理システム/型番管理システム NTTデータビジネスシステムズ
OBIC7生産情報システム オービック
Factory-ONE電脳工場 エクス
glovia G2(glovia.comを含む) 富士通、グロービアインターナショナル
FutureStage(旧TENSUITE for Fabrication) 日立システムズ
Quick SEIBAN/KAKOU/BLEND OSK(大塚商会)
CoRE-Chain OSK(大塚商会)
生産革新 Ryu-jin、遉(さすが) OSK(大塚商会)
生産革新 Fu-jin/Raijin/Blendjin OSK(大塚商会)
R-PiCS リード・レックス
CSMoRE Global メイソンシステム
MAPS システム技研
TPiCS ティーピクス研究所
TECHS テクノア
NewRRR 生産管理 電算システム
GEMPLANET/WEBSKY 日立製作所
AToMsQube クオリカ
rBOM 大興電子通信
GUI-PACK/生産管理(iSeries Siteを含む) 日本IBM
NC生産くん ニッセイコム
UNIMEX II 日本ユニテック、ニュートラル
ERPを構成する機能モジュールの一つとして利用
上記以外のパッケージ製品またはサービス独自開発システム(オープンソースをベースとしたもの)
独自開発システム(ベースとなるものがない完全なスクラッチ開発)
本リリースの元となっている「2015年版中堅・中小企業のITアプリケーション利用実態と評価レポート」の詳細は下記URLを参照
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