2015年中堅・中小企業におけるクラウドサービス評価に関する調査報告
調査設計/分析/執筆: 岩上由高
ノークリサーチ(本社〒120-0034 東京都足立区千住1-4-1東京芸術センター1705:代表:伊嶋謙ニ TEL:03-5244-6691URL:http//www.norkresearch.co.jp)は2015年の国内中堅・中小市場におけるクラウドサービス評価に関する調査を実施し、その分析結果を発表した。本リリースは「2015年版 中堅・中小企業におけるクラウド活用の実態と展望レポート」のダイジェストおよびサンプルである。
下記のリリース内容は以下のURLにも掲載されております。
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<「中堅・中小企業がクラウドのどのような点を評価しているのか?」を知ることが大切>
■ 最も成功したクラウド活用分野は「情報共有」だが、コスト削減以外のメリット訴求も必要
■ 「クラウド移行による運用費用削減を実現できるか?」は年商規模によっても異なってくる
■ 情報共有分野では「既存アプリ継承」「アドオン」が有効、顧客管理分野では「MA」に期待
対象企業: 日本全国/全業種の500億円未満の中堅・中小企業
対象職責: 企業経営もしくはITの導入/選定/運用作業に関わる職責
調査実施時期: 2015年10月
有効回答件数: 700社(有効回答件数)
※調査対象の詳しい情報については右記URLを参照 (リンク »)
■ 最も成功したクラウド活用分野は「情報共有」だが、コスト削減以外のメリット訴求も必要
本リリースの元となる調査レポートにおいては「運用費用の削減」「セキュリティ強化」「海外拠点展開」「外部サービス連携」などクラウド活用においてユーザ企業が期待する様々な評価項目(11項目)を挙げ、 「情報共有」「会計/決済」「顧客管理」などの業務システム分野(全10分野)/年商/業種といった様々な観点から集計/分析を行っている。※ ここでの「クラウド」の定義や設問項目に関する詳細についてはレポート案内( (リンク ») )を参照
以下のグラフは上記を踏まえた上で、年商5億円以上~50億円未満の中小企業層に対して、最も成功したクラウド利用に該当する業務システム分野を尋ねた結果である。「情報共有」(メール、グループウェア、オンラインストレージサービスなど)が35.0%と最も多く挙げられているが、その他の分野については1割以下に留まっている。クラウドを提案/販売するクラウド事業者や販社/SIerとしては、「ユーザ企業がクラウドのどのような点を評価しているのか?」を把握し、コスト削減だけではないクラウド活用のメリットを訴求していくことが重要となる。次頁以降ではそうした観点からの分析結果の一部をサンプル/ダイジェストとして紹介している。
■ 「クラウド移行による運用費用削減を実現できるか?」は年商規模によっても異なってくる
前頁で述べたように本リリースの元となる調査レポートでは以下のような業務システム分野(10分野)、年商、業種などの様々な観点から、11項目に渡ってクラウド活用におけるユーザ企業の評価を集計/分析している。対象となる業務システム分野や評価項目、評価選択肢は以下の通りである。(詳細は右記のレポート案内を参照 (リンク ») )
【業務システム分野】
[1.情報共有]
メール、グループウェア、オンラインストレージサービス、Web会議システム、ワークフロー、プロジェクト管理
[2.顧客管理]
予約受付サービス、営業支援システム、メール配信サービス、コンタクトセンタ
[3.教育/研修]
eラーニング、コンテンツ配信サービス、マニュアル作成サービス
[4.会計/決済]
財務会計、管理会計、連結会計、交通費精算、請求書発行
[5.データ転送/変換/連携]
ファイル転送サービス、FAXサービス、データ変換サービス、データ連携サービス
[6.セキュリティ]
PC保護、サーバ保護、Webサイト保護、URLフィルタリング、スパムメール対策
[7.運用管理]
システム監視、資産管理、サービスデスク、インシデント管理、ジョブ管理、 バックアップ
[8.販売/仕入/在庫/生産]
販売管理、仕入管理、在庫管理、生産管理、店舗管理、EDIサービス、POSサービス
[9.給与/人事/勤怠/就業]
給与管理、人事管理、勤怠管理、就業管理、名刺管理
[10.Webサイト/ECサイト]
Webサイト構築/運用、eコマースサイト構築/運用
【評価対象項目】
1.運用費用の削減
2.運用作業の削減
3.セキュリティ強化
4.モバイル端末対応
5.社外からのアクセス
6.海外拠点展開
7.国内拠点展開
8.外部サービス連携
9.社内システム連携
10.機能面での豊富さ
11.個別要件への対応力
【評価における選択肢】
「期待:有、成果:○」 期待していた項目であり、 実際に十分な成果が得られた
「期待:有、成果:×」 期待していた項目だったが、 十分な成果は得られなかった
「期待:無、成果:○」 期待していなかった項目だが、 予想に反して成果が得られた
「期待:無、成果:×」 期待していなかった項目であり、 予想通り成果は得られなかった
以下のグラフは上記のデータの一例として年商5億円未満~100億円の3つの年商区分における「運用費用削減」に関する評価結果をプロットしたものだ。(詳細は次頁に記載)
■ 情報共有分野では「既存アプリ継承」「アドオン」が有効、顧客管理分野では「MA」に期待
前頁のグラフと見ると、3つの年商区分がいずれも異なる傾向を示していることがわかる。年商5億円未満の企業層では「期待:有」の割合が7割に達するものの、「期待:有、成果:×」が27.3%を占め、「期待:有、成果:○」の割合は42.4%に留まっている。したがってクラウドを選択することで運用費用を削減したいと考える企業は7割に達するが、実際に実現できている割合は半数強(7割のうちの4割)に留まっている。一方、年商5億円以上~50億円未満の企業層では「期待:有」の割合が5割未満に留まっており、必ずしも大多数の企業がクラウド利用に対して運用費用の削減効果を期待しているわけではないことが確認できる。同年商帯は年商5億円未満と比べて業務システムの導入率や活用率が高く、クラウド移行に相応の労力や費用を要する一方で、年商50億円以上の企業層ほどシステム規模は大きくないため、クラウド事業者に預けることで得られるメリットが得にくい場合もあるものと考えられる。本リリース内では年商50億円以上~100億円の年商帯のみ掲載しているが、年商50億円以上~500億円未満の中堅企業層では「期待:有、成果:○」の割合が年商50億円未満と比べて高い。ただし、企業規模が大きくなるにつれて「期待:有、成果:○」の割合は低くなり、「期待:有、成果:×」の割合が高くなる。企業規模が大きくなるにつれて業務システムも複雑度になり、クラウド移行による運用費用削減を実現するための難易度が高くなることが要因と考えられる。
さらに本リリースの元となる調査レポートでは最も成功したクラウド利用に該当する具体的なサービス名称を自由回答形式で尋ねている。回答件数は限られるものの、提供する側の意図が一切働いていない状態でサービス名称を自由に記述する形式をとった時にどのようなサービス名称が挙げられるのか?を見ることで、今後に向けた何らかのヒントを得られる可能性がある。以下ではそのようにして挙げられたサービス名称の一部を紹介している。
【情報共有】
「Google Apps」(グーグル)、「cybozu.com」(サイボウズ)、「Office 365」(日本マイクロソフト)などが挙げられている。
「情報共有」の代表例であるメールやグループウェアは多くの社員が利用するアプリケーションでもある。そのため、「社員が使い慣れたアプリケーションを変えたくない」という慣れに起因するアプリケーション変更障壁が存在する。
だが逆に、オンプレミス形態と同じアプリケーションの利用を継続できれば、クラウド移行は円滑に進むことになる。
実際、「cybozu.com」は「サイボウズOffice」、「Office365」は「Outlook」といったように、これら2つのサービスはオンプレミス形態で多く導入されているアプリケーションの使い勝手を継承できている。一方、「Google Apps」については販社/SIerが提供する「アドオン」の充実が大きな特徴の一つとなっている。各種アドオンの適用によってユーザ企業に適した機能や使い勝手を実現できるという点も、クラウド活用を成功させる要素として有効であると考えられる。
【顧客管理】
「Sales Cloud/Service Cloud」(セールスフォース・ドットコム)や「CRMate」(富士通)などが挙げられている。中堅・中小企業における顧客管理システム活用は社内を意識したものが依然として少なくない。営業日報の管理などを通じて営業社員の活動を効率化する「SFA(Sales Force Automation)」 はその代表例だ。一方、大企業では『ECサイトである商品を閲覧したが購入まで至らなかった顧客に対して、翌日に該当の商品の魅力を伝える販促メールを送る』といったように顧客の嗜好や行動を踏まえた個別対応業務を自動化する「MA(Marketing Automation)」の活用が進みつつある。人員が限られる中堅・中小企業においては社内を意識した「SFA」だけでなく、こうした社外を意識した「MA」への取り組みも重要と考えられる。販促メール送信などのシンプルなサービスは既に存在しているが、比較的手軽に導入可能なクラウド形態の「MA」が登場すると、中堅・中小企業の顧客管理におけるクラウド利用もさらに進むのではないかと予想される。
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