2017年年商と業種に基づく新規IT投資の有望セグメント判別

ノークリサーチは階層ベイズ推定の手法を用いて、年商/業種に基づく新規IT投資の有望セグメント判別を実施し、その結果を発表した。

株式会社ノークリサーチ

2017-12-12 14:00

<「従来のクロス集計」と「新たな分析手法」の中間に位置するアプローチも存在する> ■年商/業種/地域によって担当部門が分かれているケースにも対応できる分析手法が必要 ■企業属性によって確率が変動する場合には「階層ベイズ推定」を用いたモデリングが有効 ■「一部の積極的なユーザ企業」も許容できるモデリングは調査実施負担の節減にも役立つ
PRESS RELEASE(報道関係者各位)2017年12月12日

2017年年商と業種に基づく新規IT投資の有望セグメント判別

調査設計/分析/執筆:

ノークリサーチ(本社〒120-0034 東京都足立区千住1-4-1東京芸術センター1705:代表:伊嶋謙ニTEL:03-5244-6691URL:http//www.norkresearch.co.jp)は階層ベイズ推定の手法を用いて、年商/業種に基づく新規IT投資の有望セグメント判別を実施し、その結果を発表した。本リリースは「2017年版中堅・中小企業におけるIT投資の実態と展望レポート」の調査データにノークリサーチが提供している「カスタムリサーチプラス」の手法を適用した分析例である。


<「従来のクロス集計」と「新たな分析手法」の中間に位置するアプローチも存在する>
■年商/業種/地域によって担当部門が分かれているケースにも対応できる分析手法が必要
■企業属性によって確率が変動する場合には「階層ベイズ推定」を用いたモデリングが有効
■「一部の積極的なユーザ企業」も許容できるモデリングは調査実施負担の節減にも役立つ


本リリースの元となる調査レポート『2017年版中堅・中小企業におけるIT投資の実態と展望レポート』
※サンプル属性、設問項目、集計データ例、試読版は右記のURLから参照可 (リンク »)


■年商/業種/地域によって担当部門が分かれているケースにも対応できる分析手法が必要
昨今はITソリューションが多様化しており、年商別や業種別のクロス集計を行うだけでは「どのITソリューションをどのような優先順で訴求すべきか?」を判断することが難しい。こうした状況では、以下のリリースで紹介しているように「階層クラスタ分析によるグループ分類を行った上で、ベイジアンネットワーク分析によるITソリューションの有望な訴求方法をシミュレートする」などの手法が有効なアプローチとなってくる。
『2017年24分野のITソリューションに基づく中堅・中小企業のIT投資意向分類』(階層クラスタ分析)
(リンク »)
『2017年シミュレーションを用いたITソリューション訴求の優先度判断』(ベイジアンネットワーク分析)
(リンク »)
上記で紹介しているアプローチでは従来の年商や業種の区分にとらわれないグループ分類やシミュレーションを行っている。
だが、ベンダや販社/SIerの部門が年商/業種/地域によって分かれているケースも少なくない。そのため、単なるクロス集計に留まらない新たな手法を活用しつつ、年商別や業種別に分けられた結果を得ることのできる「折衷案」が必要となってくる。
以下のグラフはそうした対策の一つとして、階層ベイズ推定を用いて「新規に投資するITソリューション件数」を年商別および業種別にシミュレーションした結果である。これによって、年商別や業種別に部門が分かれている場合も「3件以上の新規ITソリューション投資を見込めるのは何割か?」などを部門毎に把握できる。次頁以降では、その詳細について述べていく。


■企業属性によって確率が変動する場合には「階層ベイズ推定」を用いたモデリングが有効
本リリースで用いるデータが含まれる調査レポート「2017年版中堅・中小企業におけるIT投資の実態と展望レポート」では、中堅・中小企業を対象として以下に列挙された24分野に渡るITソリューションの投資意向を尋ねている。
(詳細は右記参照 (リンク ») )
【新規ビジネスや業務改善と関連する項目】
S2-1.RPA(Robotics Process Automation)
S2-2.業務システム自動化/MA
S2-3.IoT(Internet of Things)
S2-4.人工知能/機械学習
S2-5.ワークスタイル改革
S2-6.高度なセキュリティ
S2-7.ビッグデータ
S2-8.越境ECサービス
S2-9.スマートデバイス
S2-10.FinTech
【端末や機器と関連する項目】
S2-11.音声指示/音声操作
S2-12.ウェアラブル
S2-13.VR/AR
S2-14.ドローン
S2-15.対話型ロボット
【クラウド関連の項目】
S2-16.IaaS/ホスティング
S2-17.サーバレス/FaaS
S2-18.移行型のPaaS活用
S2-19.補完型のPaaS活用
S2-20.移行型のSaaS活用
S2-21.補完型のSaaS活用
【業務委託と関連する項目】
S2-22.クラウドソーシング
S2-23.間接業務アウトソーシング
S2-24.IT運用管理アウトソーシング
「これら24分野のITソリューションをどのような優先度で訴求すべきか?」を定量的に判断するためには、前頁で述べたように従来の年商や業種の区分にとらわれないグループ分類やシミュレーションが必要となる。だが、「合計24分野のうちで新規に投資しようとユーザ企業が考えているITソリューション項目数は幾つか」(ソリューション内容を踏まえた優先度付けではなく、件数を把握する)といった要約データについては、年商/業種/地域に基づく分析やシミュレーションを行うことができる。
この場合、「24項目から幾つが選ばれるか?」の確率分布を考えることになるので、左図のような二項分布がシミュレーションにおけるモデリング候補となる。だが、調査レポートの元データ(年商500億円未満のユーザ企業700社を対象としたアンケート調査結果)全体に二項分布を適用しようとすると、理論上の分散が1.44であるのに対して、実際の分散は12.1と大幅な過分散状態となる。
したがって、全体を1つの二項分布と見なすのは無理があり、年商/業種/地域などを加味した分析が必要であることが確認できる。また、年商区分などを限定したデータについても同様に過分散となっていることから、個別の影響(年商が低いにも関わらず、IT投資に積極的なユーザ企業など)も考慮しなければならない。
適切なモデリングを選ぶために調査レポートの元データを確認してみると、以下のような傾向が見えてくる。
・年商が高くなるにつれて、新規投資ITソリューション項目数も増える・業種によって、新規投資ITソリューション項目数の分散が異なる(地域による同様の傾向は見られない)
・年商/業種/地域に加えて、ユーザ企業毎の違いも見られる(IT投資に積極的な一部のユーザ企業など)
つまり、「二項分布の確率p(ITソリューションに新規投資する割合)」は年商毎/業種毎/ユーザ企業毎に変動しており、それを加味したモデリングが必要となる。この場合に有効な手法の一つが「階層ベイズ推定」である。「ベイズ推定」はノークリサーチが提供するカスタムリサーチ・プラスで既に以下のような実施例があるが、ここでは更に階層を設けたモデルとなっている。
(「2017年ERP投資額シミュレーションに基づくソリューション訴求の優先度決定」 (リンク ») )


■「一部の積極的なユーザ企業」も許容できるモデリングは調査実施負担の節減にも役立つ
以下では前頁に記載したモデルに対して、MCMC法(Markov Chain Monte Carlo Method)を用いたシミュレーションを実施した結果について述べる。先に例示した「ERP投資額シミュレーション」ではMCMCの計算に「Random Walk Metropolis-Hastings」法を適用したが、ここでは更に高速な「Hamiltonian Monte Carlo」法を適用した。前頁のa,b,div,σ1,σ2の事後分布を得るため、4つのチェーンに対して1000回のwarm-upを行った後、更に1000回分の結果(全チェーン合計で4000サンプル)を算出した。Gelman-Rubinの判定条件に基づくR-hat値は全パラメータで1、Gewekeの判定条件も全チェーンの全パラメータで1.96未満となったことで収束と判断した。このパラメータを元に年商毎かつ業種毎に新規投資ITソリューション件数が幾つになるか?をシミュレートしている。
左図のグラフは年商5区分&業種8区分=合計40区分の元データにおけるサンプル件数を横軸、縦軸に新規投資ITソリューション項目数平均値の元データ(青点)とシミュレーション結果(橙点)をプロットしたものだ。
元データの件数が少ない場合(左側の部分)にはIT投資に積極的な一部のユーザ企業に平均値が引きずられ、青点(元データ)が上振れしている。一方、シミュレーション結果の橙点はそうした個別データによる影響を吸収している。
外れ値の除去/補正という対処方法もあるが、企業属性を適切に反映したモデリングによって、「IT投資に積極的な一部のユーザ企業の存在」も意味を持つデータとして取り入れつつ、全体としてバランスの取れたシミュレーションを行うことができる。
今回のシミュレーションの対象となる企業属性は
年商:5億円未満、5~50億円、50~100億円、100~300億円、300~500億円(5区分)
業種:製造業、建設業、卸売業、小売業、流通業(運輸業)、IT関連サービス業、一般サービス業(8区分)
の組み合わせで、合計40区分となる。
左図はその一部について、シミュレーション結果を元に「新規投資ITソリューション項目数が1件以上、3件以上、5件以上になる割合」を算出したものだ。
従来のクロス集計においても、区分毎にサンプル件数を十分確保すれば、現状に関して同じような集計/分析を行うことはできる。ただし、40区分を網羅するためには多くの費用/期間が必要となる。
そこで冒頭で述べた「年商/業種にとらわれないグループ分類やシミュレーション」とこうした手法を併用して、限られたサンプル件数を最大限に活用できれば、年商/業種/地域などで部門が分かれている場合も今後の戦略立案に有用なデータを得ることができる。


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