2019年 中堅・中小企業のコラボレーション(グループウェア+ビジネスチャット)市場動向
調査設計/分析/執筆: 岩上由高
ノークリサーチ(本社〒160-0022東京都新宿区新宿2-13-10武蔵野ビル5階23号室:代表:伊嶋謙ニ TEL:03-5361-7880 URL:http//www.norkresearch.co.jp)は中堅・中小企業におけるコラボレーション(グループウェア+ビジネスチャット)の 市場動向に関連する調査を行い、その分析結果を発表した。本リリースは「2019年版 中堅・中小企業のITアプリケーション利用 実態と評価レポート」の「コラボレーション」カテゴリにおけるサンプル/ダイジェストである。
<「グループウェア」の継続利用だけでなく、新たな情報共有基盤としての「コラボレーション」に着目することが大切>
■コラボレーション(グループウェア+ビジネスチャット)で情報共有の新たな動向を俯瞰する
■「Microsoft Office 365」が首位に進出、主要ベンダ別では「サイボウズ」が僅かに上回る
■今後は「システム連携」「独自アプリ開発」「社外との情報共有」に関する課題解決が重要
対象企業: 年商500億円未満の中堅・中小企業1300社(日本全国、全業種)(有効回答件数)
対象職責: 情報システムの導入や運用/管理または製品/サービスの選定/決済の権限を有する職責
※調査対象の詳しい情報については右記URLを参照 (リンク »)
■コラボレーション(グループウェア+ビジネスチャット)で情報共有の新たな動向を俯瞰する
本リリースの元となる調査レポート「2019年版中堅・中小企業のITアプリケーション利用実態と評価レポート」では1300社に渡る ユーザ企業を対象に計10分野の業務システムに関するシェアと評価を集計/分析している。2018年まではその中の1分野として 「グループウェア」を『スケジューラ、メール、掲示板、ToDoといった情報共有を担うアプリケーション』と定義していた。昨今では 短時間の情報共有を頻繁に行う場面に適したビジネスチャットなどの手段も登場してきている。従来の定義ではグループウェア を以前から継続利用している市場を捉えることはできるが、ビジネスチャットを含む新たな情報共有の動向を把握しづらくなる。 そこで、2019年からは『グループウェアやビジネスチャットを含む社内外のコミュニケーションと情報共有を担うアプリケーション』 として「コラボレーション」という分野を定義し、グループウェアを包含する形でシェアや評価の集計/分析を行っている。
次頁以降では上記のように視点を広げた時の中堅・中小企業におけるコラボレーション市場の動向を分析した結果の一部を サンプル/ダイジェストとして紹介している。
■「Microsoft Office 365」が首位に進出、主要ベンダ別では「サイボウズ」が僅かに上回る
本リリースの元となる調査レポートでは、『ビジネスチャットは従来のグループウェアを補完し、共に新たな情報共有基盤へと 進化していくのか、それとも既存のグループウェア市場を侵食するのか?』や『ビジネスチャットを含めた新たな情報共有への 取り組みは年商規模によってどう変わってくるか?』に関する分析を行っている。こうした今後の展望を理解する際には、従来 のグループウェア製品/サービスのシェア動向を俯瞰しておくことが重要となる。
以下のグラフは導入済み製品/サービス(年商500億円未満全体)を複数回答で尋ねた結果のうち、主要な製品/サービスの 導入社数シェアを2017年、2018年、2019年で比較したものだ。
上記のグラフでは主要な製品/サービスを以下の4つのタイプに分けて整理している。
タイプ1: クラウド形態の割合が相対的に高く、コラボレーションとしてのシェアでは2018年よりも高い値を示しているもの
「Microsoft Office 365」「サイボウズOffice」「サイボウズガルーン」「desknet's NEO」「G Suite」
タイプ2: クラウド形態の割合が相対的に高く、コラボレーションとしてのシェア数値が2018年とほぼ変わらないもの
「アルファオフィス」「J-MOTTO」
タイプ3: 社内設置の割合が相対的に高く、コラボレーションとしてのシェア数値が2018年より高いか、変わらないもの
「IBM Notes/Domino」「eValue NS/V」「Microsoft Exchange Server」
タイプ4: 社内設置の割合が相対的に高く、コラボレーションとしてのシェア数値が2018年より低くなっているもの
「StarOffice/OfficeForce」「Groupmax」「TeamWARE」
2019年の導入社数シェアの動向を見ると、2018年まで首位を堅持していた「サイボウズOffice」が2位となり、「Microsoft Office 365」に首位を譲る結果となっている。ただし、3位には2018年と同様に「サイボウズガルーン」が位置しており、グループウェア における最も主要な製品/サービスのベンダ別シェアではサイボウズが日本マイクロソフトを僅かに上回っている。
「IBM Notes/Domino」は順位を落とし、「desknet‘s NEO」が4位、「G Suite」が5位に順位を上げている。ただし2018年~2019年 のシェア数値自体は横ばいであることから「IBM Notes/Domino」は日本IBMからHCIテクノロジーズへと移管され、既存ユーザ 企業を維持するフェーズに入ったと捉えることができる。
タイプ4は国産ベンダがグループウェア市場に投入した製品/サービスである。昨今では積極的な拡販施策や機能強化がなく、 NEC、日立製作所、富士通の3社いずれも「Microsoft Office 365」を並行して取り扱っている。こうした大手国産ベンダの動向も 「Microsoft Office 365」が導入社数シェアを大きく伸ばしている要因の一つとなっている。
ここではタイプ2とタイプ3に関する分析は割愛しているが、調査レポートでは4つのタイプの更なる詳細と共に、シェアの維持/ 拡大に向けた取り組みに関する提言を述べている。
■今後は「システム連携」「独自アプリ開発」「社外との情報共有」に関する課題解決が重要
さらに本リリースの元となる調査レポートでは、次頁に列挙された様々な選択肢を設けて、コラボレーション製品/サービスの 活用に際して「評価/満足している機能や特徴」や「現時点で抱えている課題」を尋ねた結果を集計/分析している。
以下のグラフ「現時点で抱えている課題」を尋ねた結果を年商500億円未満全体で集計したものだ。(調査レポートには年商、 業種、従業員数、製品/サービスなどの様々な観点を軸として集計したデータが含まれる)
上記のグラフを見ると、
「既存の基幹系システム(ERP/会計/販売など)と連携できない」(19.7%)
「独自アプリケーションをユーザが自分で作成できない」(20.5%)
「社外(顧客や取引先)との情報共有ができない」(20.5%)
といった項目が2割前後で比較的高い値を示している。この点を踏まえると、新たな情報共有基盤としてのコラボレーション製品/サービスの活用においては従来のグループウェアとして細かい機能改善よりも、
・他のシステムとの連携
・独自アプリケーション作成
・社外との情報共有
といったように「社内から社外へ」かつ「グループウェアからグループウェア以外のシステムへ」と課題に関する意識が拡大してきている傾向が垣間見える。調査レポートではこうした「現時点で抱えている課題」に加え、「製品/サービスが今後持つべき機能や特徴」(今後のニーズ)に関する分析も行い、ベンダや販社/SIerが注力すべきポイントについて述べている。
補記:「課題/ニーズに関する設問項目」と「製品/サービスの選択肢一覧」
本リリースの元となる調査レポートでは、前頁までに記載した内容に加えて、導入済みの最も主要な「コラボレーション」製品/ サービスに関して「評価/満足している機能や特徴」(※1)、「現時点で抱えている課題」(※2)、「今後持つべき機能や特徴」を 様々な観点から尋ねている。以下では※1と※2の選択肢を列挙している。
「評価/満足している機能や特徴」 を尋ねた設問における選択肢 (※1)
<<機能に関連する項目>>
既存の基幹系システム(ERP/会計/販売など)と連携できる
独自のアプリケーションをユーザが自分で作成できる
働き方改革に沿った取り組みを支援または実践できる
社外(顧客や取引先)との情報共有も行える
ワークシェアリングを支援または実践できる
モバイルワークを支援または実践できる
テレワークを支援または実践できる
ビジネスチャットの機能が包含されている
ワークフローの機能が包含されている
ファイル共有の機能が包含されている
メール関連の機能が包含されている
ビデオ会議の機能が包含されている
<<個別の機能要件への対応力>>
プログラミングをせずに項目や画面を作成できる
プログラミングをせずにデータ連携を実現できる
公開されたテンプレートを取捨選択できる
<<クラウドに関連する項目>>
パッケージとクラウドを選択/併用できる
様々なクラウドサービスと連携できる
<<クライアント環境に関連する項目>>
スマートデバイスに適した画面が用意されている
Webブラウザで大半の機能が利用できる
<<その他>>
導入や保守サポートの費用が安価である
バージョンアップの費用が安価である
バージョンアップが適切に継続している
「現状で抱えている課題」 を尋ねた設問における選択肢 (※2)
<<機能に関連する項目>>
既存の基幹系システム(ERP/会計/販売など)と連携できない
独自アプリケーションをユーザが自分で作成できない
働き方改革に沿った取り組みを支援/実践できない
社外(顧客や取引先)との情報共有ができない
ワークシェアリングを支援/実践できない
モバイルワークを支援/実践できない
テレワークを支援/実践できない
ビジネスチャットの機能がない、または不十分
ワークフローの機能がない、または不十分
ファイル共有の機能がない、または不十分
メール関連の機能がない、または不十分
ビデオ会議の機能がない、または不十分
<<個別の機能要件への対応力>>
プログラミングしないと項目や画面を作成できない
プログラミングしないとデータ連携を実現できない
公開されたテンプレートが十分に提供されていない
<<クラウドに関連する項目>>
パッケージとクラウドを選択/併用できない
クラウドサービスと連携することができない
<<クライアント環境に関連する項目>>
スマートデバイスに適した画面が備わっていない
Webブラウザでは限られた機能しか利用できない
<<その他>>
導入や保守サポートの費用が高価である
バージョンアップの費用が高価である
以下に列挙したものは本リリースの元となる調査レポートにおいて選択肢に記載した「コラボレーション」製品/サービスの一覧 である。選択肢に掲載される製品/サービスは過去の調査結果や最新の市場状況に基づいて選定を行い、前年の調査で自由 回答の中から多く挙げられたものは選択肢として新たに追加し、一定期間以上シェア数値がないものは割愛するといった形で 年毎に調整を行っている。販売終了となったものも一定期間は選択肢に残るが、回答件数が僅かになった段階で除外となる。 製品/サービス毎の評価や導入費用についてはサンプル件数が一定以上の条件を満たした(※)のみが対象となる。
製品/サービス名 開発元
サイボウズOffice(※) サイボウズ
Microsoft Office 365(※) 日本マイクロソフト
desknet's NEO(※) ネオジャパン
サイボウズガルーン(※) サイボウズ
G Suite(※) グーグル
IBM Notes/Domino(※) HCLテクノロジーズ(日本IBM)
eValue NS/V(※) OSK(大塚商会)
J-MOTTO リスモン・ビジネス・ポータル
アルファオフィス 大塚商会
Slack Slack
InCircle(※) AI CROSS
Chatwork Chatwork
LINE WORKS ワークスモバイルジャパン
Microsoft Teams(※) 日本マイクロソフト
Confluence/Trello Atlassian
Tocaro Too
ChatLuck ネオジャパン
Microsoft Exchange Server 日本マイクロソフト
Microsoft Sharepoint Server 日本マイクロソフト
ntra-mart Accel Collaboration NTTデータイントラマート
IBM Connections Cloud HCLテクノロジーズ(日本IBM)
StarOffice/OfficeForce NEC
Groupmax 日立製作所
TeamWARE 富士通
INSUITE ドリーム・アーツ
POWER EGG ディサークル
Group Session 日本トータルシステム
GlobalWare パナソニックソリューションテクノロジー
NI Collabo Smart NIコンサルティング
WebOffice 富士通マーケティング
GRIDY グループウェア / Knowledge Suite ナレッジスイート
Bizca DTS(アスタリクス) わくわくオフィス NECネクサソリューションズ
Zoho Workplace ゾーホージャパン
上記以外のパッケージ製品またはサービス
ERP/基幹系システムの一機能として利用
独自開発システム
本リリースの元となる調査レポート
『2019年版 中堅・中小企業のITアプリケーション利用実態と評価レポート』
10分野の業務アプリケーション(ERP、会計管理、生産管理、販売・仕入・在庫管理、給与・人事・勤怠・就業管理、ワークフロー、コラボレーション、CRM、BI・帳票、文書管理・オンラインストレージサービス)のシェアと評価を網羅
【対象企業属性】(有効回答件数:1300社)
年商: 5億円未満 / 5億円以上~10億円未満 / 10億円以上~20億円未満 / 20億円以上~50億円未満 /50億円以上~100億円未満 / 100億円以上~300億円未満 / 300億円以上~500億円未満
従業員数: 10人未満 / 10人以上~20人未満 / 20人以上~50人未満 / 50人以上~100人未満 /100人以上~300人未満 / 300人以上~500人未満/ 500人以上~1,000人未満 /
1,000人以上~3,000人未満 / 3,000人以上~5,000人未満 / 5,000人以上
業種: 組立製造業 / 加工製造業 / 建設業 / 卸売業 / 小売業 / 流通業(運輸業) /
IT関連サービス業 / 一般サービス業 / その他(公共/自治体など)
地域: 北海道地方 / 東北地方 / 関東地方 / 北陸地方 / 中部地方 / 近畿地方 / 中国地方 /四国地方 / 九州・沖縄地方
その他の属性: 「IT管理/運用の人員規模」(12区分)、「ビジネス拠点の状況」(5区分)
【分析サマリの概要】
各分野について、以下の章構成からなる分析サマリ(各30ページ前後)で重要ポイントと今後に向けた提言を詳説
第1章:製品/サービスのシェア動向
「導入率」「製品/サービスの導入社数シェア」「製品/サービスの導入年」「製品/サービスの導入背景」といった設問項目の集計結果から重要ポイントをピックアップし、製品/サービスのシェア動向に関する分析を行っている。
第2章:運用形態と端末環境
導入済みの最も主要な製品/サービスにおける「運用形態」「端末環境」「導入費用」といった設問項目の集計結果から重要ポイントをピックアップし、製品/サービスのシステム環境に関する分析を行っている。
第3章:現状の評価/課題と今後のニーズ
導入済みの最も主要な製品/サービスに関して「評価/満足している機能や特徴」「現時点で抱えている課題」「今後持つべき機能や特徴」を尋ねた設問項目の集計結果から重要ポイントをピックアップし、今後どのような機能を充実させていくべきか?などに関する分析と提言を行っている。 【レポート案内(設問項目、試読版など)】 (リンク »)
【価格】 180,000円(税別)
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