IDC Japanは8月9日、国内企業の情報システム部門の変化に関する調査結果を発表した。競争力強化や業務プロセス改革などを目的とした、いわゆる攻めのITに関する領域である「戦略的IT投資」を推進する専任組織を設置する企業は70%を超え、その中でも情報システム部門内に設置する企業が45%に上るという結果が出た。
クラウドやモバイル、ソーシャルなどの第3のプラットフォームなどを活用した戦略的IT投資の実施では、情報システム部門が中心的な役割を担う企業が多い。一方、ユーザー部門や専任組織が関与することも多く、従来のIT投資よりも情報システム部門とステークホルダーの関係は複雑化しているという。
戦略的IT投資における情報システム部門とユーザー部門の関係を分析すると、ユーザー部門が主導的な役割を担い、情報システム部門が後方支援する垂直分業型や、両者が協業する水平協業型など6種類のパターンに分けられるとした。
戦略的IT投資をすでに実施/実施予定の企業では、情報システム部門は拡大傾向にあり、業務効率化や人材育成を進めつつ、より早い段階から戦略的IT投資に関与する傾向が見られる。
しかしながら、IT予算の不足(実施予定企業の29.2%)、IT戦略の方向性が不明確(実施予定企業の33.8%)、情報システム部門の人材不足(実施企業の65.5%)といった課題に直面する企業が多く見られると説明している。
IDCは、ITサービスベンダーに対し、国内企業の戦略的IT投資の推進パターンを情報システム部門だけでなく、ステークホルダーとの関係性などを複合的に捉える必要があると指摘。変化に対応した提案や変化を先取りした提案を進めるべきと提言している。
情報システム部門の規模変化:専任組織の設置状況別(IDC提供)