1969年創業の昭和リースは、営業力の強化を目的に2017年11月からロボティックプロセスオートメーション(RPA)のロボット開発に本腰を入れている。完全内製にこだわり、バックオフィスにRPAを導入。約1年の運用で「人員減でも担当社員が定時退社できる」まで効果が現れているという。
事務職廃止で総合職への職制転換を図る
業務効率化が喫急の課題となっている企業にとって、RPAは有力な解決手段となる。ただし、導入企業の事例は多いとは言えず、費用対効果が得られるかどうかを心配する声も少なくない。
「われわれが得た費用対効果は560%以上。そのメリットは確実にある」と力説するのは、昭和リースでオペレーション企画管理部 部長を務める藤本裕哉氏だ。
2月にRPAベンダーBlue Prismが開催した「RPA・デジタルワークフォース カンファレンス 2019」にユーザー企業として登壇した藤本氏は、「完全内製で実現したRPA化への取り組みと効果」と題して講演。RPA導入からその運用、今後の挑戦までを語った。
昭和リース オペレーション企画管理部 部長 藤本裕哉氏
新生銀行グループの昭和リース(従業員数507人)は、対外的な付加価値の増大を目的に、営業力強化を図っている。そのために着手したのが、人事面の改革と営業フロント面のシステム化、そしてバックオフィスの効率化だ。最初は組織体制を大幅に変更した。
まず、各営業拠点に営業担当者と事務職をペアで配置していた業務体制を刷新。事務職を廃止し、全員を総合職に転換させた。その上ですべての事務作業をバックオフィスに集中させ、事務作業を標準化、平準化した。
これまで、商談から契約の検討に入るまでの「引き合い」と「見積り」の作成は、各営業所が独自のやり方で行ってきた。ここにRPAを導入し、一気通貫のシステムとすることで、業務効率の向上を図ったのである。
業務体制刷新のプロセス。事務職をバックオフィスに集中させ、支店(営業部店)は客と向き合う営業拠点とした
RPA導入の概念実証(PoC)では、Blue Prismを含む2製品を「既存システムとの連携」「ライセンス体系」「サーバ型vsデスクトップ型」の観点から比較した。
既存システムとの連携では、メインフレームとの“相性”や動作可能なブラウザの種類がポイントとなる。その結果、Blue Prismではない製品は、メインフレームのデータが一部文字化して読めなかったという。