クラウドの進展が引き起こすネットワークの負荷増大
社会インフラや、企業インフラの安全性と信頼性は必要不可欠なもの。それを支えるスイッチやルーターの品質への期待は年々増大している。とくにデータセンタ、あるいは企業内のシステムで広がるクラウド化の進展にともない、帯域の安定的な確保とネットワークを効率的に稼働させることが重要な課題として取り上げられるようになった。アラクサラは、こうしたユーザーの抱える課題に正面から取り組む注目企業だ。
クラウド化の進展は、言い方を変えれば仮想化の進展といえる。1台のサーバに多くの仮想マシンが作られ稼働する。これによって、ユーザーはサーバを集約し、効率的にシステムを構築、運用することができる。
しかし、一方でサーバへの負荷が増大するとともに、ネットワークにもこれまでにない負荷がかかるようになった。負荷への対応のために高性能の機器が数多く開発されているが、ユーザーとしてはできるだけ、高性能でありながら、より汎用性のある機器を購入したいというニーズがある。現状のネットワーク構成にも適用でき、ネットワーク全体のグレードを上げた際にもしっかりと対応できる機器が求められているのである。
アラクサラがこのほど満を持して開発したボックス型10G多ポートスイッチ「AX3830S」はまさにこうしたニーズに対応した製品だといえる。
10G化が進む中で、スムーズな仮想化連携を実現する製品
昨今、サーバの10G化にともない、サーバを収容する10G対応スイッチのニーズが高まっている。一般的なサーバラック(42U)では、ボックス型スイッチをラック最上部のToR(トップ・オブ・ラック)に冗長のため2台設置し、1Uサーバを最大40台搭載する。AX3830Sは1Uの筐体サイズでSFP+/SFPポートの共用ポート数を44ポート実装しており、40台の1Uサーバを収容することが可能だ。SFP+/SFP共用ポートは10GBASE-R(SFP+)と1000BASE-X(SFP)両方に対応している。1Gにも10Gにも使えるポートを持つということは、将来10G化を目指すデータセンタやエンタープライズユーザーにも導入しやすい製品ということになる。

また、AX3830Sは10G接続を低価格化できるダイレクトアタッチケーブルを採用しており、1m、3m、5mの長さにはもちろん7mにも対応することを検討している。7m対応となれば、ラック内のケーブルの取り回しも余裕ができ、運用の効率化も期待できる。
前述したように仮想化が進む現状では、いかに多数の仮想マシンを収容できるかが鍵となる。クラウドシステムにおいて、ネットワークがボトルネックにならないよう細心の注意を払わねばならない。1台の物理サーバに複数の仮想マシンを収容すると、物理サーバあたりの必要な帯域が増大するので、ネットワーク帯域を十分すぎるほど確保しなくてはならない。
AX3830Sはデータセンタなど大規模システムにおいてはコアスイッチとしての役割も果たす。各ラックに設置されたToRスイッチとしてサーバを収容し、さらに複数あるラックからのアクセスをコアスイッチとして収容する。コアスイッチの能力として、AX3830Sはずば抜けたものを持っている。例えばラック数が300台、42Uラックに搭載可能な最大サーバ数が40台、サーバ1台あたりの仮想マシンの数が10台というケースでも難なく対応する。このケースでエントリされるMACアドレスは12万MACとなるが、AX3830Sは13万MACまで収容可能だ。
このように、AX3830Sは「データセンタ内の仮想マシンの収容数」がビジネスの正否に直結するデータセンタ企業にとって強い味方となってくれるのだ。