エンタープライズ分野にも対応する、これからの主力スイッチ
AX3830Sは、データセンタだけでなく企業のネットワーク、いわゆるエンタープライズ向けとしても役立つものだ。
エンタープライズの中小規模LANでは、コストを抑えるため、コアスイッチをシャーシ型スイッチからボックス型スイッチにリプレースするケースがある。但し、一般的にシャーシ型スイッチと比較して、ボックス型スイッチは機能が劣る傾向にあるので、中小規模LANのコアスイッチとしての要件を満たす製品であるかが重要である。
その点で、AX3830Sは10G/1G混在環境でもシャーシと比較して、安価にシステム構築できる上、アラクサラが長年培ってきた豊富なルーティング機能を備えている。AX3830SはOSPFやBGPなどのダイナミックルーティングプロトコルやIPv6、マルチキャストに対応しており、コアスイッチとして十分な能力を有している。つまりAX3830Sであれば、エンタープライズ向けコアスイッチとして、十分に対応できるということだ。

また、AX3830Sならネットワーク・パーティションによって仮想ネットワークも構築できる。
この機能はグループ分けされた企業や大学、自治体などのLANを1つに束ね運用を効率化させるものだ。

エンタープライズ分野でネットワークの仮想化を、というニーズは年々強まっている。各部門ごとに運用されているネットワークを1つに束ねれば、運用負荷は激減し、設備投資も合理化できる。そしてその束ねたネットワークを仮想化技術を使って論理的に独立したものとして管理するわけである。
しかし、従来のネットワーク仮想化ソリューションは、キャリアなど広域バックボーンでの使用を前提としたものが多く、一般企業や公共機関などで利用するには、オーバースペックでコスト高、という問題があった。その問題を解消するのが、ネットワーク・パーティション機能なのだ。
具体的には、VRF(Virtual Routing and Forwarding)およびVLAN(Virtual LAN)によってネットワークを論理的に分割し、VPN(Virtual Private Network)を構成する。VRFは装置内に論理的に分離された複数のルーティングテーブルを保持し、各ルーティングテーブルに従ってパケットを転送する機能だ。VRFにより、複数の拠点に分散したコンポーネントで構成する単一の仮想ネットワークを構築することができる。イメージとしては各部門のサーバネットワーク間で仕切りを設け、組織間の情報を遮断できるようになると考えればいいだろう。物理的にコアスイッチに集約されているが、論理的には仕切りが設けられ、セキュリティが保たれているのである。そして運用管理は一元化を実現しているというわけだ。
さらに、データセンタ、エンタープライズ共に、ITシステムの省電力化が求められているが、AX3830Sは最大消費電力250Wと10G多ポートボックス製品としては省電力化を実現している。
このようにAX3830Sはデータセンタ、エンタープライズ双方の現場の実情を熟知した設計となっている。より安全で高い信頼性を維持したネットワークを確立することで、クラウドに対する不安を一気に払拭する製品ともいえるAX3830S。悩めるシステム管理者の頼もしい味方となるに違いない。
