特別講演:Amazon EC2からAmazon Relational Database Service、そしてAmazon Auroraに至る“道案内”
ランサーズ
開発部インフラチーム リーダー
金澤裕毅氏
パネルディスカッション形式の特別講演は、TechRepublic Japan編集長の田中好伸氏をモデレーターとして、パネリストは、ランサーズ 開発部の金澤裕毅氏とアマゾン ウェブ サービス ジャパンのパートナーソリューションアーキテクト 松本大樹氏で行われた。タイトルは「使い続けているからこそ分かる -- ランサーズに聞くクラウドDBの勘所」。
ランサーズは、Web上で個人などに業務委託を行うクラウドソーシングプラットフォーム「Lancers」を提供する企業だ。Lancers以外にも、コンテンツマーケティング&クリエイターマネージメントシステム「Quant」、スキルシェアリングサービス「pook」などを展開する。
金澤氏によると、AWSの利用は2012年5月からで、当時は突発的なアクセス増への対応が中心だったという。本格的な利用を始めたのは2013年から。金澤氏が中心となって、マネージドデータベースサービスのAmazon Relational Database Service(Amazon RDS)によるMySQLの導入を進めた。金澤氏は、RDS化のメリットについて「マルチAZ配置や自動フェイルオーバーなどによる可用性向上、リードレプリカを手軽に作成できること、任意の時間にDBを戻せること、スナップショット機能などです」と話した。
一度移行してしまえば何でも自由にできる
アマゾン ウェブ サービス ジャパン
エコシステムソリューション部 部長
パートナーソリューションアーキテクト
松本大樹氏
ただ、ビジネスが急速に拡大していく中で、徐々にAmazon RDSでは対応が難しいケースが出てきた。例えば、テレビ番組で紹介された場合などにアクセスが殺到し負荷が急増したときだ。リードレプリカを追加することで対応していたが、Amazon RDSは1マスターにつき5台までという制約があり、対応しきれないケースがあった。また、レプリカ遅延やレプリカ作成時間、フェイルオーバーの速度、サーバ費用などの点でも課題があった。
そこで、これらの課題を解決できるAuroraが登場したことを受け、2016年1月にはAmazon RDSからAuroraへ移行した。Auroraのメリットは「1マスターにつき15台までのリードレプリカが作成でき、作成時間も5分程度。テレビ放映用に13台を確保できるようになりました。また、フェイルオーバーも1分以内で、レプリカ遅延も少なく、メンテなしでカラムを追加できることも多くなった」と解説した。
もっとも、移行作業には、非常時に元に戻せるように備えるテクニックも必要だったという。松本氏は「AWSはランサーズさんや他のユーザーさんからのフィードバックを受けながら、Auroraの機能を改善・進化させてきました。今は機能も充実してきて、Aurora対応の移行ツールも整備されています」と説明した。
最後に金澤氏は「一度AWSに移行してしまえば、何でも自由にできるようになります。まずは移行してしまってから、AWS上でステップアップしていけばいいと思います」とポイントをアドバイスした。