ZDNet JapanおよびTechRepublic Japan主催、AWS Partner Network協賛で、クラウドの中心的存在である「アマゾン ウェブ サービス(AWS)」をテーマにした5週連続セミナーが開催された。2017年7月13日に行われ第3回のテーマは「Enterprise Migration」。基幹システムのクラウド移行を手がけている企業が登壇したセッションでは、具体的な課題を明確にしたうえで、それにどのように対処するのかなど、実際のクラウド移行で役立つ情報が提供された。ここではその内容をレポートする。
サーバーワークス:AWS移行の最適解は「Lift-and-Shift」
サーバーワークス
代表取締役
大石良氏
サーバーワークスのセッションでは、代表取締役の大石良氏が登壇し、「AWS移行を成功させる3つのポイント」と題する講演を行った。同社は、2007年にAWSの利用を開始し、2009年からはAWS専業インテグレーターとして事業を展開。国内AWSインテグレーターのパイオニア的存在で、これまでに500社を超える導入実績を持ち、在籍するAWS認定技術者も40名を超える。
大石氏は、エンタープライズシステムをめぐる日本の状況について、「人口減少や労働環境の問題から、IT人材を長く雇用して時節に応じた新しい技術を取り入れることが難しくなった」と指摘。そのうえで、日本企業に求められるアクションとして「競争力の源泉になるものにリソースを集中すること」「人手に頼らないオペレーションを確立すること」「これらを若くて優秀な人が興味を持ってやってくれる土壌を準備すること」を挙げた。
このアクションを行うための武器の1つがAWS。中でも、エンタープライズシステムのAWS移行に適したアプローチが「Lift-and-Shift」だ。
AWS移行を成功させる3つのポイント
Lift-and-Shiftは、既存システムをAs-Isの状態で「持ち上げ」て、稼働する場所をオンプレミスからクラウドへと「ずらす」というアプローチだ。具体的には、運用手順などを変えずに、まずはインフラ部分だけを移行する。大石氏は、このアプローチを成功させるポイントを3つ挙げた。
1つめは、アプローチを知ること。「AWSはVPCというSDN機能が充実していて、仮想マシンを移行する周辺ツールも豊富。多くのアプリケーションがBYOLに対応しています。Lift-and-Shiftに向いたクラウドです」と大石氏。
2つめは、パートナーを知ること。AWSには得意分野の異なる数多くのパートナーがいて、移行を支援するさまざまなツールを提供している。サーバーワークスでは管理を自動化する自社サービス「Cloud Automator」やサードパーティの移行ツール「CloudEndure」を提供する。これらの活用がスムーズな移行を助ける。
3つめは、移行範囲を広げること。AWSは、サーバだけにとどまらず「Amazon WorkSpaces」を使ったデスクトップの移行も可能だ。すでにヤマハ発動機やテレビ東京などがAmazon WorkSpacesを活用してVDI環境を構築し、高いセキュリティと生産性の向上を両立させている。
大石氏は、ユーザー事例や移行時の注意点を解説しながら「ぜひAWSへの円滑なマイグレーションを実現してください」とエールを贈った。