ZDNet JapanおよびTechRepublic Japan主催、AWS Partner Network協賛で、クラウドの中心的存在である「アマゾン ウェブ サービス(AWS)」をテーマにした5週連続セミナーが開催された。2017年7月6日に行われ第2回のテーマは「IoT」。IoT関連の製品やサービスなどを提供している企業が登壇したセッションでは、クラウドを絡めたIoTの活用例が紹介された。ここではその内容をレポートする。
富士ソフト:AI活用のニーズに応える新ゲートウェイを開発

富士ソフト
ソリューション事業本部 インフラ事業部
インフラソリューション部 課長
田中基敬氏
富士ソフトのセッションでは、ソリューション事業本部 インフラ事業部の田中基敬氏と営業本部 クラウド&ソリューション事業部の山崎周一氏が登壇し、「IoTのネクストステージ! 〜IoT×AIで顧客と事業者双方へメリットをもたらす真の価値とは?〜」と題する講演を行った。
一般消費者向けの年賀状ソフト「筆ぐるめ」の開発・発売で知られる同社だが、車載用DVRやモバイルWi-Fiルータ、コミュニケーションロボットなど、IoT分野でも長い実績とプレゼンスを誇る。グループ1万人の技術者集団によるハード・ソフトの幅広い技術開発力が武器だ。
AWSについては、2011年4月にソリューションプロバイダーに認定後、「AWS導入支援サービス」の提供を開始。アドバンスドコンサルティングパートナーとしてエンタープライズ分野を中心に豊富な実績を持つ。
田中氏はまず、そうした同社のAWSを使ったIoT成功事例の中から「駐車場管理システム」「心拍検知システム」「農業センサークラウド」などを取り上げ、IoTを推進するうえでの課題とポイントを解説した。
「IoTでは、生成される膨大なデータを収集・蓄積・分析し、そこから価値あるものを生み出していくことがポイント。データ処理がますます重要になっています」(田中氏)
「IoTのネクストステージ」を強力にバックアップ

富士ソフト
営業本部 クラウド&ソリューション事業部
プラットフォーム営業部 主任
山崎周一氏
増え続けるデータの処理でカギを握るのがAIだ。AIに対するアプローチとして、蓄積されたデータをAIサービスによって分析する「バックエンド側で処理するAI」と、蓄積前のデータをクレンジングしてデータを軽量化する「フロントエンド側で処理するAI」の2つを提唱している。
特に、重要なのがフロントエンド側で処理するAIだ。一般にAIというと、サーバ側に集積された膨大なリソースを使ってデータを処理することだけを考えてしまう。だが実際には、生産現場や店舗など、センサーによってデータが生成されるフロントエンド側で、いかにデータをインテリジェントに前処理するかが重要になるという。
IoTにおけるコンピューティングをレイヤーごとに大別すると、「エッジコンピューティング」、「フォグ(霧)コンピューティング」、「クラウドコンピューティング」がある。従来のフォグでは小型データセンターやサーバを必要とし、費用対効果(演算能力と設備費用)といった課題があった。そうした課題を解決するために、富士ソフトが着目したのが「フォグコンピューティングゲートウェイ」だ。
山崎氏は、「このゲートウェイ製品の主な特徴として、‟低消費電力・低コスト・高演算能力を備える「SoC FPGA」搭載”や‟mini PCIeによる外部I/F拡張”が挙げられます。‟レイテンシーを抑止したエッジデバイスへのフィードバック”、‟クラウドコンピューティングの負荷分散に寄与する通信データ削減”といった利点を活かし、フォグ側でのAI活用も視野に入れ、車両走行情報モニタリングや産業機器や食品製造機械のモニタリングおよび制御、遠隔見守りシステムなど種々のニーズに応えます」と説明した。
最後に、田中氏が「IoTとAIを組み合わせるネクストステージの取り組みを、富士ソフトは強力にバックアップします」と話し、講演を締めくくった。