場所や時間に拘束されることなく働ける「テレワーク」が人気だ。人材活用の新たな戦略として、多くの企業も関心を寄せている。政府は2013年に「世界最先端IT国家創造宣言」を閣議決定し、テレワークの普及を推進。テレワークに対する需要が、さらに拡大することは間違いない。
そのような状況において、今、もっとも注目されている企業がある。2011年に創業した「クラウドワークス(CrowdWorks)」だ。同社は、仕事を依頼する企業と、それを請け負う個人(フリーランス)が、オンラインで仕事をマッチングできる仕組みを提供している。「クラウドソーシングサービス」と呼ばれるこの仕組みは、インターネットを介して場所を問わず仕事を依頼できることから、個人/企業ともに利用者が急増。矢野経済研究所が公開した「BPO市場・クラウドソーシング市場に関する調査結果2013」によると、2012年で約100億円だった同市場規模は、2017年には1473億8000万円に成長すると予測されている。
クラウドワークスは、2015年1月末日時点で約30万人の登録者を擁し、サービス開始からわずか2年半で5万社が利用、すでに200億円以上の仕事がやり取りされている。登録・依頼・提案はすべて無料で、経済産業省、ヤフー、伊藤忠グループといった団体/企業が同社サービスを活用している。クラウドワークスは、クラウドソーシングサービスの代名詞になっていると言っても過言ではない。なお、2014年12月には東証マザーズ上場も果たしている。
急成長する企業が直面する課題の1つに挙げられるのが、内部統制の整備だ。創業時は3名でスタートしたクラウドワークスだが、現在はアルバイト従業員も含め、約65名が働いている。クラウドワークス取締役CFO(最高財務責任者)を務める佐々木翔平は、「マザーズ上場の準備をはじめたのが2013年の中頃だったのですが、それまでは属人的な管理でも会社は回っていました。例えば、個々の従業員が『○○が必要なので買ってよいですか』とメールで連絡してくる。業務効率の観点から考えれば、決してよいものではありません。このままでは限界があると判断し、内部統制ツールの導入を検討したのです」と語る。
内部統制ツールを選択する際に考慮したポイントは、コストとスペックとのバランスだったという。同社が内部統制ツールとして必要としていたのは、ワークフローシステムの部分のみ。一般的な企業向けワークフロー管理ツールはオールインワンのパッケージが多く、オーバースペックであると判断した。「必要な機能を棚卸しし、現在利用している『Googleアカウント』との連携を検討した結果、スペック的にもコスト的にも納得できる『rakumoワークフロー』に決定したのです」(佐々木氏)
一目でステータスが理解できる直感性
日本技芸の「rakumoワークフロー」は、使いやすさを最優先に設計された、ワークフローのクラウド型サービスである。米国グーグルの「Google アカウント」認証機能や「Gmail」などと連携して利用できるのが特徴だ。社内業務に不可欠な申請・承認・決裁機能などを搭載する。ワークフローの設計は個別にカスタマイズが可能だ。例えば、経費申請フローを金額によって変更するといった細かい設定ができる。
佐々木氏はrakumoワークフローを「UIが直感的で、とにかく使いやすい」と評価する。通常、こうしたサービスを新たに導入する際には、従業員のトレーニングが必須だ。しかし、rakumoワークフローは、そうした必要がまったくない。複雑な業務フローも、一画面で俯瞰できるように工夫されている。佐々木氏は、「(rakumoワークフローの)画面を見れば、『何が、どのステータスにいるのか』をすぐに把握できる。申請する立場の従業員からも、承認する責任者からも、操作について質問や要望があがったことはほとんどありません」と語る。
また、付加情報を追加できる「コメント機能」も社内コミュニケーションに有用だという。同機能は、申請・承認の際にコメントを記入したり、回覧の際に連絡事項を追加したりできるものだ。例えば、申請への承認・却下・差し戻しを行う際に、その理由を一言付け加えることで、情報共有や業務の可視化も実現できる。電子化で社内コミュニケーションが希薄なるといった懸念は一切不要だ。クラウドワークスではカレンダーやメールはグーグルのサービスを利用しており、全社員にアカウントがある。そうした既存システムとの連携も、評価のポイントとなったという。