"判子待ち"のタイムロスを作らないスピード感

rakumoワークフローのもう1つのアドバンテージは、クラウドサービスであることだ。
標準ブラウザでURLにアクセスするだけですぐに利用できるのはもちろん、スマートフォンやiPad向け専用アプリも用意されている。クラウドワークスで広報を務める村田拓氏は、「スマホへの対応も十分で、ネットワークがつながっていればどこでも使えます。承認する立場の社員が出張したりセミナーなどで外出したりすることも多い。通常、こうしたケースでは"判子待ち"で業務が中断してしまいますが、rakumoワークフローであれば、そうした時間のロスは発生しません。これは、スピード感を持ってビジネスを推進するうえでも非常に重要です」と語る。
インターネットで完結できる仕組みは、間違いなく業務の効率化に直結する。ワークフローに費やす時間は必要だが、それが業務の足かせになっては本末転倒だ。そうした観点からも、rakumoワークフローを導入したことでビジネス・チャンスを掴んだケースは少なくないという。
「例えば、一度は見送った案件で、『今日の午後3時までに返答頂ければ、半額で対応します』というオファーがあったとしましょう。担当者としてはぜひ利用したいが、意志決定者が出張で不在だったとします。一般企業なら、『時間的に無理』とあきらめなければなりませんが、rakumoワークフローなら『今日の3時まで確認してください』とコメントを付けて承認申請できるのです」(村田氏)

また、同社は2013年後半、出退勤管理の「rakumoタイムレコーダー」も導入した。目的は、タイムカードのデジタル化と労務管理である。こちらも決め手となったのは、「コストと機能とのバランス」だったという。佐々木氏は、「自分たちにとって必要十分な機能を搭載していたのが、rakumoタイムレコーダーでした。勤怠管理ソフトの中には、給与計算ソフトと連動しているものもありますが、給与計算ソフトはすでにあるので必要ない。われわれがほしい機能を、ピンポイントで提供してくれるツールが、rakumoタイムレコーダーでした。これにより(紙ベースのタイムカードからの)転記作業から開放されました」と語る。
rakumoタイムレコーダーの導入に必要なのは、Felicaリーダーのみだ。Felicaリーダーと組み合わせることで、SuicaやEdyをかざすだけで、打刻ができる点も従業員からも好評であるという。
クラウドワークスは今年1月、経済産業省が創設したベンチャー企業表彰制度「第1回 日本ベンチャー大賞」において、審査委員会特別賞を受賞した。佐々木氏は、「注目されているとはいえ、まだまだ規模も小さく、提供しているサービスも発展途上です」と謙遜する一方、今後はサービスメニューをさらに拡充し、21世紀の新しいワークスタイルを提供していきたい」と、その抱負を語る。
社内組織が大きくなれば、内部統制の仕組みも階層化して複雑になる。しかし、村田氏は、この点についてまったく心配していないという。
「rakumoワークフローの提供する機能はシンプルですが、拡張性と柔軟性は高い。組織が大きくなったとしても『スピード感を持ってワークフローを回す』という原則は揺るがないと考えています」(村田氏)
