ビジネススピードに開発速度をどう合わせるか
ビジネスニーズに迅速に対応できるアプリケーション開発が強く求められるようになってきた。昨今では、2年、3年といった開発期間に余裕を持ったプロジェクトは少なくなり、半年から1年という短期開発が主流になりつつある。アプリケーション開発に時間をかけていると、その間にビジネス自体が変わってしまい、開発したアプリケーションが時代遅れになってしまうのだ。
こうしたことは消費者向けのWebアプリケーション開発だけでなく、基幹システムと連携するような業務アプリケーションやB2Bアプリケーションの現場でも起こっている。
短期開発の要求が高まる中、企業のIT部門やそのパートナーは、いかに効率よく品質のよいアプリケーションを開発していくかということに日々苦労しているはずだ。
代表取締役
シニアUXアーキテクト
東 賢氏
そんな状況に対して「開発用の部品をうまく組み合わせることで、優れたユーザーエクスペリエンス(UX)を持つアプリケーションをもっと効率よく開発できることを知ってほしい」と訴えるのが、インフラジスティックス・ジャパンの代表取締役でシニアUXアーキテクトの東賢氏だ。
「要件定義や基本設計の段階からユーザーインタフェース(UI)コントロールを検討していく必要があります。多くの場合、実装段階で検討に入り、テスト段階になって機能不足や機能ギャップが見つかり、それらの修正にさらなるリソースを割くことになります。前倒しで検討することで手戻りを防ぎ、工数の削減と迅速な開発が可能になります」
例えばリストやチャートなど、画面を構成する各要素が具体的にどのように動作するかの検討は、開発の工数に大きくかかわるものであるのに、実際には後回しにされがちだ。その結果、実装やテスト段階になって「リスト上で◯◯をキーにソートできないのは困る」「Excelでできることがデータグリッドではできない」「タブレット上でピンチ操作してもサイズが大きくならない」といった想定外の事態に遭遇することになる。
「手戻りによる工数の増加は、開発コストの増加に直接跳ね返ってきます。リリースまでの時間も遅れるので、ビジネスの機会損失につながるリスクもあります。また、リリース後アプリケーションを安定して改善していくことも難しくなります。UIコントロールをベースに要件を定義するといったような発想の転換が必要なのです」と、東氏は強調する。
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開発効率の向上に不可欠なUIコントロール製品
実際に、当初からUIコントロールの機能を把握して、開発の生産性とUXの品質を高めている企業もある。
業務アプリケーション開発における「要件定義」の段階で、ボタンやリストなどの標準UIコントロールに加え、高機能データグリッドなどサードパーティ製UIコントロールも利用することで、必要な要件を綿密につめることができる。そこで使われたUIコントロールはそのまま実装、テストまでコードとして引き継いで利用可能だ。こうすることで、要件定義で想定した機能が実装やテスト段階で不足するといった「機能のギャップ」が原則として発生しなくなるのだ。
また、視覚要素であるUIを中心に会話するため、プログラマーではないビジネス側の人材が要件定義や基本設計に携わることができるというメリットもある。実際、ある企業のIT部門では、ビジネス部門がIT部門と一緒にUIを見て要件定義やシステム設計を進めているという。
「UIコントロール製品の利用はグローバルでは一般的ですが、日本ではまだこれからといった状況です。Webの世界では、たとえばjQueryなどのライブラリを使ってUI部分の開発を効率化することが広く行われています。業務アプリケーション開発でも、先進的な企業はOSSのフレームワークなどを用いて効率化を図りはじめているところです」(東氏)
インフラジスティックスが提供するInfragistics Ultimateはグローバルでの採用実績5万社でFortune 500のほぼすべての企業が利用している製品だ。国内でも数多くの実績があるが、グローバルと比較すると、UIコントロール活用の認知度はまだ低いと言わざるを得ない。実際、開発の現場においては、HTML5やモバイルのネイティブアプリに慣れたビジネスユーザーから「スマホのアプリでは当たり前にできることが、業務アプリケーションではなぜできないのか」と聞かれることが多いのだという。実際にはできないのではなく、できることが知られていないのだ。
国内では、米インフラジスティックスとグローバルレベルで包括提携している富士通(プレスリリース)がユーザーだ。富士通では、国内外の富士通グループのエンジニアがインフラジスティックスの主力製品「Infragistics Ultimate」を活用し、顧客満足度の高いソリューションを効率的、迅速に構築する体制を築いている。