2006年の国内IT市場成長率は、日本経済の回復にもかかわらず、前年比1.7%の低水準にとどまる見込みです。PCのリプレイス需要が一巡し、出荷台数が横ばいとなる上、単価下落が大きく、IT市場全体の成長率を押し下げるのが主因です。PCが大半を占める消費者市場では、2006年の成長率がマイナス6.9%と落ち込みます。その一方で、企業・公共部門は2.6%と比較的堅調な成長率となっており、企業の積極的なIT投資が、国内IT市場を下支えしています。
産業分野別のIT市場をさらに詳しく見ると、証券(2006年成長率5.8%)、銀行(同5.2%)、通信/メディア(同3.9%)、組立製造(同3.0%)の成長率が高くなっています。金融業界では、不良債権処理がほぼ終了し、公的資金の返済を終えた大手金融機関の攻めのIT投資が活発化しています。通信業界では、次世代ネットワーク(NGN)関連のインフラ投資が拡大しています。また、日本版SOX法や新会社法へ対応するため、内部統制システムの構築やコンプライアンス対応のIT投資が増加するとIDCでは予測しています。
ITベンダーは、高成長産業に特化したソリューションを開発し、産業内でのシェアを追及することによって業界平均以上の成長を実現する必要があります。「そのためには、個別案件の獲得に奔走するのではなく、1) 共同アウトソーシングセンターやASPといった業種/業務特化型インフラサービスへの投資、2) 業種特化型人材の確保、3) 特定業種におけるブランド確立、といった対策を講じ、得意とする業種での競争力確立と顧客囲い込みを追求すべきである。競合ITベンダーの買収や提携も選択肢として検討すべきであろう」と、IDC Japan IT スペンディング リサーチアナリストの伊藤 芳之は述べています。
なお、2006年上半期(1月~6月)の調査時点で、2006年の国内IT市場規模は11兆8,218億円となる見込みです。2005年~2010年までの年間平均成長率1.9%で成長し、2010年には12兆7,844億円に達するとIDCでは予測しています。
今回の発表は、IDCが発行したレポート「国内産業分野別IT市場 2006年上半期の分析と2006年~2010年の予測」(J7181001)にその詳細が報告されています。本レポートでは、国内の産業分野を18業種に分類し、各産業分野のIT投資規模を10種類の製品分野に分類して提供しています。
(※レポートの詳細についてはIDC Japanへお問合せ下さい。)
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