これらの課題を解決するため当社は、大規模解析の要であり最も計算時間がかかるソルバー部の計算プログラムの高速化に有効な反復解法の第一人者である国立大学法人九州大学(所在地:福岡市西区元岡744番地、総長 久保千春、以下、九州大学)情報基盤研究開発センター 先端計算基盤研究部門 藤野 清次教授の先進的な研究成果を初めて商用製品に取り入れ、「FJKSWAD」の大幅な高速化を図りました。また、解析モデルの形状や規模などの特性に応じて複数の解析方法から最適解法を自動選択する機能(特許出願済)を実装し、効果的な解析を可能にしました。
これにより、これまでできなかった1,000万自由度(注1)レベルの大規模モデルの解析がPC環境でも可能になり、解析用に対象モデルを簡略化せずに完成品と同じ状態で解析したり、部品単位ではなく完成体で解析したりできるようになります。また、新製品は特に、大規模な解析に有効で、たとえば、従来12時間要していた350万自由度のモデルの解析が10分で行えるようになるなど、最大約70倍の速度向上結果が得られており、反復解法が有効なモデルでは、解析時間を大幅に短縮できます。
【 販売価格、および出荷時期 】
■製品名(価格:税別)
・FJKSWAD V7L2/Intro(60万円より)
・FJKSWAD V7L2/Basic(120万円より)
・FJKSWAD V7L2/Standard(180万円より)
・SMP並列化オプション(80万円より)
■出荷時期
12月末より
【 販売目標 】
2018年度末までに約250本(オプション含む)
【 「FJKSWAD V7L2」の強化ポイント 】
1.大規模解析の要であるソルバー部の計算プログラムの高速化
当社は、大規模解析の要であり最も計算時間がかかるソルバー部の計算プログラムの高速化に有効な反復解法の第一人者である九州大学の藤野 清次教授とともに、藤野教授が研究している反復法MrsR法(ミセスアール法)の活用に2013年より取り組んできました。2015年4月には、九州大学様と同研究に関する契約を結び、その成果を今回「FJKSWAD V7L2」の解法の一つとして採用しました。
また、新製品には、スーパーコンピュータ「京(けい)」(注2)などのアプリケーション高速化におけるチューニングで培ったノウハウをもとに、計算順序や計算ロジックの改善を図りました。また、マルチプロセッサ環境で性能を引き出す計算ロジックを組み込み、計算処理の並列化(共有メモリ型)にも対応しました。
これらにより、反復解法が有効なモデルでは、解析スピードを最大約70倍高速化できるなど、解析時間を大幅に短縮することができるようになります。
2.解析モデルの特性に応じて複数の解析方法から最適な解法を自動選択
市場競争が激化する製造業では、製品設計の初期段階から品質を高め製品の付加価値を高める取り組みを強化しており、解析の対象物が年々広がっています。しかし、モデル形状の特性や解析モデルの規模、解析条件などにより解法の得手不得手もあり、全てのモデルに対して最良な解法はありません。そこで、「FJKSWAD V7L2」では、複数の直接解法や反復解法を採用し、その中から、パラメータ化した解析モデルの様々な特性に応じて最も高速に計算できる解法を自動選択する機能(特許出願済)を実装しました。
【 商標について 】
記載されている製品名などの固有名詞は、各社の商標または登録商標です。
以上
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このプレスリリースの付帯情報
用語解説
(注1) 自由度:
解析モデルの規模を表す単位。自由度の値は、解析モデルを構成する点の数(節点数)をもとに算出される。
(注2) スーパーコンピュータ「京(けい)」:
文部科学省が推進する「革新的ハイパフォーマンス・コンピューティング・インフラ(HPCI)の構築」プログラムの中核システムとして、理化学研究所と富士通株式会社が共同で開発を行い、2012年に共用を開始した計算速度10ペタフロップス級のスーパーコンピュータ。「京」は理研の登録商標で、10ペタ(10の16乗)を表す万進法の単位であるとともに、この漢字の本義が大きな門を表すことを踏まえ、「計算科学の新たな門」という期待も込められている。
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