2021年 中堅・中小企業における東京オリンピック開催の是非と今後のIT活用の関連

ノークリサーチは中堅・中小企業が2021年夏のオリンピック開催の是非とその後の様々な影響に対処していくためにどのようなIT活用を望んでいるか?に関する調査を行い、その結果を発表した。

株式会社ノークリサーチ

2021-05-24 12:30

<開催/延期/中止の各々で今後求められるIT活用提案は何か?を知っておくことが大切> ■中堅・中小企業においても「延期/中止すべき」が6割超、地域による傾向差は見られない ■「開催すべき」は卸売/小売で若干多く、建設/運輸で若干少ない、職責の違いも影響する ■「開催」のマイナス要素はコロナ禍の長期化、プラスはインバウンド回復だが時間を要する ■「延期/中止」のプラス要素はコロナ禍の収束早期化、マイナス要素は賠償や負債の発生 ■「延期」の場合は金融サービス連携、「中止」の場合は商材開発に寄与するIT活用が重要
PRESS RELEASE(報道関係者各位) 2021年5月24日

2021年 中堅・中小企業における東京オリンピック開催の是非と今後のIT活用の関連

調査設計/分析/執筆: 岩上由高


ノークリサーチ(本社〒160-0022東京都新宿区新宿2-13-10武蔵野ビル5階23号室:代表:伊嶋謙ニ TEL:03-5361-7880 URL:http//www.norkresearch.co.jp)は中堅・中小企業が2021年夏のオリンピック開催の是非をどのように考えており、さらにその後の様々な影響に対処していくためにどのようなIT活用を望んでいるか?に関する調査を行い、その結果を発表した。本リリースは2021年夏に発刊予定の「2021年版 DXとコロナ禍を踏まえた中堅・中小企業のIT投資レポート」の先行版として位置付けられる。


調査対象企業: 年商500億円未満の中堅・中小企業700社(日本全国、全業種)(有効回答件数)
調査対象職責: 経営層およびIT活用の導入/選定/運用に関わる立場
調査実施時期: 2021年5月中旬 ※調査対象の詳細は本リリース末尾を参照


<開催/延期/中止の各々で今後求められるIT活用提案は何か?を知っておくことが大切>
■中堅・中小企業においても「延期/中止すべき」が6割超、地域による傾向差は見られない
■「開催すべき」は卸売/小売で若干多く、建設/運輸で若干少ない、職責の違いも影響する
■「開催」のマイナス要素はコロナ禍の長期化、プラスはインバウンド回復だが時間を要する
■「延期/中止」のプラス要素はコロナ禍の収束早期化、マイナス要素は賠償や負債の発生
■「延期」の場合は金融サービス連携、「中止」の場合は商材開発に寄与するIT活用が重要


■中堅・中小企業においても「延期/中止すべき」が6割超、地域による傾向差は見られない
ノークリサーチは中堅・中小企業のIT活用に関する調査/分析を通じてIT企業を支援し、ユーザ企業とIT企業の橋渡しを担う第三者調査機関である。東京都を含む複数の地域では依然として緊急事態宣言が続く中、2021年夏の東京オリンピック開催の是非を巡っては様々な議論が交わされている。複数の世論調査では国民の7~8割が今夏の開催に反対している状況だがIT企業としては「日本において多数を占める中堅・中小企業がオリンピック開催の是非をどう考えているか?」を知っておくことが大切だ。また、開催/延期/中止のいずれの結論に達したとしても、その後の経済環境は厳しさを増すと予想される。そのため「開催/延期/中止のそれぞれのプラス/マイナス要素を踏まえた上で、今後どのようなIT活用が求められるか?」を把握し、準備を進めておく必要がある。そこで、ノークリサーチでは2021年5月中旬に中堅・中小企業を対象とした調査を実施し、上記の点に関する分析を行った。本リリースはその要点をまとめたものである。(調査対象企業の詳細などは本リリース末尾を参照)
以下のグラフは「今夏に東京オリンピックを開催すべきか?」を年商500億円未満の中堅・中小企業に尋ね、首都圏(東京都、埼玉県、千葉県、神奈川県)とそれ以外の地域に分けて集計したものだ。地域による顕著な傾向差は見られず、企業としての意向においても、「開催すべき」が約17%に留まる一方、「延期/中止すべき」は6割超に達していることがわかる。次頁以降では更に詳細な分析結果について述べていく。


■「開催すべき」は卸売/小売で若干多く、建設/運輸で若干少ない、職責の違いも影響する
以下のグラフは前頁に述べた結果を業種別に集計したものだ。全体平均と比較した場合、「開催すべき」の割合は卸売業と小売業で相対的に高く、建設業と運輸業で低い。一般サービス業を含めたその他の業種は全体平均とほぼ同様の値である。無観客や緊急事態宣言下においてもオリンピックを開催した場合、卸売業や小売業は関連する物品の販売などが少なからず見込めるが、接客を伴う一般サービス業では効果が期待できない。また、建設業におけるオリンピック関連需要は既にピークを過ぎており、運輸業としても開催によって新型コロナ変異株の感染が拡大すれば、eコマースの利用拡大に伴う宅配需要を担うだけの人員確保も難しくなってくる。中堅・中小企業における東京オリンピック開催の是非を把握する上では、こうした業種別の背景を理解しておくことも大切だ。
さらに、以下のグラフは中堅・中小企業に対して「今夏に東京オリンピックを開催すべきか?」を尋ねた結果を以下に列挙した回答者の職責別に集計したものだ。
経営層(IT関連にも直接的に関与):企業の経営に関わる立場であり、IT関連投資の決裁を下す立場
経営層(IT関連には間接的に関与):企業の経営に関わる立場であるが、IT関連投資の決裁には直接関わらない立場
IT関連(経営にも直接的に関与):ITの導入/選定/運用作業に関わり、社内の経営層に対する提案も行う立場
IT関連(経営には直接関与しない):ITの導入/選定/運用作業に関わるが、社内の経営層に対する提案は行わない立場
「開催すべき」の割合は「経営層」で相対的に高く、「IT関連」では低い。「経営層」の中には個人としては開催に反対であっても、企業としては開催されることが企業の存続にとって重要であるケースも考えられる。一方、「IT関連」の職種は在宅勤務に対応するためのITインフラ整備などに追われているため、開催によって更なる感染拡大を招くことは避けたいと考えるのが当然だ。IT企業が今後のIT活用提案を行う上ではこうした職種による立場の違いも意識しておく必要がある。(次頁へ続く)


■「開催」のマイナス要素はコロナ禍の長期化、プラスはインバウンド回復だが時間を要する
東京オリンピックが開催/延期/中止のいずれの結論となった場合においても、IT企業としてはユーザ企業が考えるプラス要素とマイナス要素は何か?を理解し、それに即したIT活用提案を行うことが重要だ。そこで、これまでに述べた調査結果において「開催すべき」と回答した企業に対して、そのプラス要素とマイナス要素を尋ねた結果が以下のグラフだ。(「延期/中止すべき」と回答した企業に関する結果は次頁で述べる)
プラス要素では「困難を克服する姿勢と決断力をアピールできる」および「日本が信頼されてインバウンド需要が回復する」の回答割合が高く、マイナス要素では「新型コロナの新たな変異種が日本で発生する」および「新型コロナの収束が遅れて長期化する」が高い。プラス要素の2項目は選択肢に述べられている効果が仮に生じたとしても、それが中堅・中小企業のビジネスに好影響を与えるまでには相応の時間を要すると考えられる。一方、マイナス要素の2項目で述べられている新たな変異種や収束の遅れは一旦発生すれば中堅・中小企業のビジネスを更に抑圧することになる。
無論、東京オリンピックを開催した場合に想定されるプラス/マイナス要素は上記に列挙されたものが全てとは限らない。だが、中堅・中小企業が考えるプラス/マイナス要素を踏まえると、「マイナス要素は即時に影響が出る一方で、プラス要素の効果が得られるまでには相応の時間を要する」という時間的なギャップが大きな懸念事項となってくる。


■「延期/中止」のプラス要素はコロナ禍の収束早期化、マイナス要素は賠償や負債の発生
その一方で、「延期/中止すべき」と回答した企業に対して、そのプラス要素とマイナス要素を尋ねた結果が以下のグラフである。
「中止すべき」と考える企業はプラス要素として「新型コロナの収束を早めることができる」を挙げる割合が高く、これは「開催すべき」と考える企業がマイナス要素として多く挙げている項目の裏返しとなっている。また、「延期すべき」と考える企業での回答割合が相対的に高いプラス要素は「開催すべき」と考える企業が多く挙げるプラス要素と一致している。そのため、日本が決断力をアピールし、インバウンド需要を回復するためには「開催」と「延期」のどちらが最善なのか?について今後も議論が高まっていくと予想される。一方、マイナス要素では延期と中止のいずれの場合も負債や賠償の発生を上げる割合が高い。こうした財政面の懸念が企業が今後求めるIT活用のニーズにも影響してくる。次頁ではその点について述べる。


■「延期」の場合は金融サービス連携、「中止」の場合は商材開発に寄与するIT活用が重要
今回の調査では東京オリンピック開催の可否だけでなく、東京オリンピックを契機としてIT活用が重要な役割を果たすと予想される経営課題についても以下のような選択肢を列挙して尋ねている。
・働き方の多様化 例) 在宅勤務が可能な環境を整備する
・顧客接点の強化 例) SNSで顧客と対話する機会を設ける
・人材の確保 例) オンライン面接の仕組みを導入する
・販路の拡大 例) 宅配やオンラインでの販売を行う
・資金面での対処 例) 融資付きの会計クラウドを利用する
・商材の開発 例) 巣ごもり消費向け商品を新たに作る
・商圏の拡大 例) 海外向けの販売を新たに始める
・設備の改善 例) 密を回避する店舗設備を導入する
以下のグラフは中堅・中小企業に対して上記を尋ねた結果を東京オリンピック開催に対する考え方を軸として集計したものだ。IT企業にとっては、東京オリンピックが開催/延期/中止のいずれかの結論となった場合、それぞれのケースにおいてIT活用が重要となる経営課題は何か?を事前に把握するためのヒントとなる。
開催/延期/中止のいずれにおいても、「働き方の多様化」「顧客接点の強化」「人材の確保」「販路の拡大」は相対的に高い値となっており、各選択肢の回答割合は開催>延期>中止の順に高くなっている。オリンピック開催の可否がどのような結論になったとしても、まずは「多様な働き方を可能とすることで優秀な人材を確保し、販路拡大と顧客接点強化を同時に進める」といった取り組みに寄与するIT活用を提案していくことが重要となってくる。
「延期」において相対的に値が高い項目としては「資金面での対処」が挙げられる。これは前頁において「準備していた様々なビジネスが負債となる」の回答割合が「延期すべき」と考える企業において高いという結果とも符合する。単なる会計システムから、金融機関とも連携した高度なサービスへの進化などを検討していく価値がある。
「中止」において相対的に値が高い項目としては「商材の開発」が挙げられる。本リリース冒頭のグラフが示すように「中止」の割合が最も高いため、IT企業としては東京オリンピック中止によって棄損したビジネスを補完する商材開発に寄与するIT活用提案が求められてくると予想される。


調査対象となった企業の属性

対象社数: 700社(有効回答件数)
対象年商: 5億円未満 / 5~50億円 / 50~100億円 / 100~300億円 / 300~500億円
対象業種: 組立製造業 / 加工製造業 / 建設業 / 卸売業 / 小売業 / 運輸業 / IT関連サービス業 / 一般サービス業 / その他
対象地域: 北海道地方 / 東北地方 / 関東地方 / 北陸地方 / 中部地方 / 近畿地方 / 中国地方 / 四国地方 / 九州・沖縄地方
対象職責: 以下のいずれかに該当する職責
企業の経営に関わる立場であり、IT関連投資の決裁を下す立場
企業の経営に関わる立場であるが、IT関連投資の決裁には直接関わらない立場
ITの導入/選定/運用作業に関わり、社内の経営層に対する提案も行う立場
ITの導入/選定/運用作業に関わるが、社内の経営層に対する提案は行わない立場


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